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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
9/309

9、新しい風は新たな出会い (2)

「シノブ。分かっていると思うけど、ちゃんとあの蛇の情報は手に入れてから戦うからね。」

「分かった。」


あれ?シノブは素直に返事をした。

契約といっても強制命令が出来るわけでもないので予想外だった。


「たぶん、ジェシカがシノブに勝ったからじゃないかな・・・ん?」


シノブのユキを見る目が・・・


「・・・うまそう。」


そういえば梟って猛禽類でウサギは獲物・・・

私は慌てて、シノブを止める。


「シノブ、ユキは食べちゃダメだよっ!!」

「分かった。」


・・・ほっ。

少し手間取ったけど、あの蛇の情報を仕入れよう。


「テイムコネクト、ユキ。」


ユキとテイムコネクトをして、蛇の位置を探る・・・!!

距離はそこまで離れていないので、蛇の調査をする。


オブシディアンナーガは名前通り、鱗は黒曜石の様に硬い。

単純に硬い鱗だけではなく、一枚一枚の鱗がきめ細かく刃が通りにくい・・・


「狙うなら、頭部への攻撃かな。」


弱点が集中する箇所にはなるので、相手も警戒はするはず。

私は蛇の資料をまとめていく。



「アキラさんみたいに氷の魔法とかあればいいんだけどね。」

「魔法、覚えてみる?」


爬虫類系なら氷の魔法効きそうかなと思って口にしたら、ユキからそんな提案をされた。


「え、そんな簡単に使えるの?」

「うん。準備はあるだろうし一旦街に戻ろう。」


そうしたいのはやまやまだけど・・・私はシノブを見ると黙って頷いた。


「俺はジェシカの事が知りたい。」


・・・真顔でそんな事を言われるとちょっと恥ずかしい。



街に戻り、ギルドに資料を提出。そのままオブシディアンナーガの討伐クエストを受けた。

ギルドから少し離れた所に魔法書のお店があり、適正試験を受ける。


「ジェシカさんは・・・適正ありませんね。」


グサッ!と心に言葉が刺さる。

店員さんに言われるまま水晶に手を置いて言われた言葉がこれだった。


「あ、落ち着いてください。適正は無くても魔法は使えますので・・・あれ、空いてないですね・・・。」


空いていないというのは、魔法習得容量の事。

魔法習得容量は生まれながらにして決まっているもので私は空いていないそうだ。


・・・マジですか。


「でも、ジェシカさんは魔法覚えていますね。スピード・・・おそらく加速系の魔法でしょうか。」


もちろん、覚えた記憶はない。

加速系?・・・あ、もしかして・・・


紙とペンを取り出して


「速記」


と唱えると速記が発動した・・・うん、間違いない。

私はテイムコネクトで魔法が発動できていると思っていたけど、それは元々私が覚えていた魔法だった。

速記、速度強化と言っていたけど同じ魔法が発動していたみたい・・・めんどいからそのままでいいや。


更にユキとシノブの適性を見てもらうと

ユキには水属性、シノブには風属性の適正と魔法が覚えられる様だった。


シノブの装備も整えて、討伐に備えて休息をとる。

部屋には私とユキとシノブ・・・狭いね。



次の日、東の森


「テイムコネクト、ユキ。・・・あれ・・・。」


いつもと違う感覚がある。


「(多分、僕が魔法を覚えたからだね。テイムコネクト中ならジェシカも使えるはずだから後で試してみると良いよ。)」

「分かったよ。行こう、シノブ。」


私はシノブの手を取り、討伐対象に向かう。


見つけた・・・

別のモンスターに襲い掛かる所だった。


「シノブ、手伝った方が良い?」

「まずは俺1人に戦わせてほしい。」

「分かった。」


シノブの飛び蹴りが蛇の体に当たる。

少し蛇の体は浮くが、そこまでダメージは受けていない。

食事の邪魔をされた事に怒る蛇に引けをとらないシノブ。


「(ジェシカ、いいの?また自然の摂理とか言うの?)」

「いや、ピンチになったら助けるよ。」

「(う~ん、良く分からないね。)」


私があっさり答えると、ユキは納得いかない様だった。


「その辺はシノブの気持ちの整理が大事だと思うから。」


蛇はシノブを威嚇し、尻尾を振るう。

尻尾の一撃はかなり重くシノブごと振りぬく、体は宙を浮きそこに口を開き・・・


「ストップっ!!ユキ、行くよっ!」

「(メチャクチャだなぁ・・・)」


加速強化・・・バチンッ!?


雷を帯びたレイピアの一撃が蛇の追撃を弾いた。


「えっと・・・これ、何?」

「(多分、僕の水属性と剣の風属性が合わさったんだと思う・・・威力は明らかにこっちが凄いけど・・・)」


吹っ飛ばされた蛇がのたうち回り、怒りに染まる。

私は飛ばされたシノブをキャッチする。


「・・・気が済んだ?」


私がシノブに聞くと、悔しそうに握りこぶしを作る・・・


「ユキ、一旦解除するよ。」


テイムコネクトを解除して、シノブに質問する


「シノブ、まだいける?ここからは私が戦うけど。」

「俺にもやらせてほしい・・・。」

「じゃあ、一緒に行くよ・・・テイムコネクト、シノブ。」


ベレー帽とスカートに梟の羽根があしらわれ、手袋とブーツが強化される。


加速強化っ!


蛇に向かって突っ込む。


振るう尻尾をジャンプでかわし、追撃の牙を更に空気を蹴る事で回避する。


「これがシノブとの能力かぁ・・・」


空中での性能がユキとの能力とは違う。

そこから、空中で受け身をとって蛇の頭を捉える。


「ピリオドっ!!」


頭部に打ち込まれる必殺の一突き、硬い鱗の隙間を縫い・・・ただ一点を貫く。

蛇の脳に伝わる衝撃は時間差となり蛇の体内へ走り体液をまき散らす。


倒れた蛇は地面にドシンっと大きな音を鳴らし力尽きた。


「(これがジェシカの・・・)」


シノブはテイムコネクトに驚いていた。



「帰ろうか・・・。」


私達はシノブの復讐をこのような形で終わらせて街に戻る・・・

ギルドに討伐クエストの完了を報告して自分の部屋に帰る。


「シノブ、復讐は終わったけどこの後どうする?契約は解除できるから自由だよ。」


私がそういうとシノブは首を横に振った。


「俺はまだ弱い。ジェシカ、お前の事をもっと知って正々堂々と戦って勝てたら俺と番になってほしい。」


・・・


「え・・・?あの・・・わ、私は好きな人がいて・・・。」


私はチラッとユキの方を見る。

あ・・・ベッドで寝ようとしている・・・鈍感。

すると、シノブは私の手を取って私の目を見つめる。


「それでも構わない、一緒にいるから俺の事を好きにして見せる。」

「えっと・・・その・・・」


ど、どうしよう・・・

私があたふたしていると、頭の上にふわりとしたものがおりて


「ジェシカは男慣れしてないから、その程度にしてあげなよシノブ。」


自分のベッドにいたはずのユキがシノブを窘めた。


「分かった。」


シノブも理解してくれたみたいでこの場は納めてくれた。


「・・・男慣れしておきなよ。」


ユキがポンポンとフワフワした前脚で頭を撫でる。

そんなユキを私は胸元で抱きしめながら


「うん・・・。」


と静かに答えた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

次回は・・・あの話です。

最近とあるアニメを見て思ったんですけど、普通にアレって大事だよね。と思いまして。



実はジェシカにとっては、シノブが仇討ちする事はあまり望んでいませんでした。

というのも、仇討ちできるほどの実力がなければそこに生きる意味もない事を知っていたので。


この辺はシノブに「・・・気が済んだ?」等の淡々とした台詞を言っているのですが、分かりにくくなっていたらすみません。

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