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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
87/309

87、黒の願いはそよ風の様に (1)

みんなと連絡がつき、一旦私の家に集まる事になった。


「何だろう、なんか凄く久々な・・・」

「おいおいジェシカ、そこまで日にちは経ってないぞ。」


私が色々あったせいなのか思った事を言うと、ジンが即座にツッコミを入れる。

この間の会議で目標にしていた事を挙げると以下の通りになる。


ジン・・・白の勇者武器の完成とレイの手伝い。

ルーク・・・赤の勇者武器の調査。

レイ・・・黒の勇者武器の完成。

私・・・制御輪の入手。


そして、これまでで予想外だった要素として・・・


・赤の勇者武器の発展

・魔王四天王シグマの討伐


特に魔王が世界征服に対して躍起ではないので、魔王四天王を退ければ魔王軍の侵攻の脅威も大幅に下がる。


「みんなに集まって貰ったのは、魔王四天王の事なんだ。手紙でも連絡をしたのだけど四天王のシグマを討伐した今、残りの四天王も1人・・・魔王軍を撃退するその前に王様に報告をするべきなんじゃないかと思うんだ。『魔王が世界征服を目的に動いてはいない事』を。」

「そうか・・・しかし、魔王の言葉は信用できるのか?」

「それについては説得力がありそうな事件が王都で起こったからね。モニカは王都全体に睡眠魔法掛けておきながら、調べ物と私と話をした事以外何もやっていないから。」


私の言葉にジンは考え込む・・・


「世界征服を考えていない魔王・・・そして、神を殺すのが目的・・・確かに報告は必要になるな。そういえば、みんなの目的進捗度はどうだ?俺たちは情報が無いまま捜索しているので、進捗度はほとんど進んでいない。」


ジンはまとめるついでに自分の近況報告をした。

私の場合はユキが制御輪がある場所に目星がついていたから入手が早かっただけで、手掛かりがなければ探し物も格段に難しくなる。


「じゃあ、次はルークはどうだ?」

「僕はジェシカさんの協力もあって、今は修行に励んでいますよ。」

「お、おう。・・・何かスッキリしてないか?」

「はい。」


ルークの反応にジンも驚いたみたいで、少し息を整えてから・・・

私の報告になる。


「ジェシカはどうだ?」

「私は制御輪の入手が出来たから、これからはレイの勇者武器の完成に向けて協力をするよ。」

「へぇ、ジェシカは強くなったんだ。ぜひ手合わせしたいなぁ。」


レイがワクワクしながら私に語り掛けて来るけど、今の状態でも勝てるのか怪しいかな。


「まぁ、よろしくね。レイ。」

「うん。よろしく、ジェシカ。」


あらためて、レイと握手をすると・・・


「どうしたの、ジェシカ?」

「そういう事だったんだ・・・」

「え?えっ・・・どういう事??」


戸惑うレイに私はある事を聞いた。


「レイって、西の草原って行った事ある?」

「ううん、たしかあそこのモンスターって強くは無かったよね。神様の試練だからなんかこう凄いものだよね。だから捜索場所から意図的に外していたよ。」


やっぱりそうだ・・・何の為にこんな仕様にしたのか分からないけど。


「実はあそこって新しく発見されたダンジョンがあるんだよ。」


私は確かにあの違和感に気が付いて一度レイに話をしようとしたけど、それが出来なかった。

そして、朧月の塔での流れを考えればこれは神様の介入だ。


「そうなんだ。そこのダンジョンって凄いの?」


レイは私の話からワクワクしているけど


「どうだろう。ダンジョンって周辺の環境に反映されるからね。私が行った時は最後にグラスタートルが26階層を守っていたんだけど。」

「グラスタートル?」


首を傾げるレイに軽く説明をする。


「うん、攻撃を弾く甲羅を持つ亀で、こちらから何もしない限りはおとなしいよ。」

「えっ・・・ジェシカ、その亀の話を聞かせてほしいんだけどっ!!」


あれ?レイが話に食いついている?まぁ、矛盾の話じゃないけど圧倒的攻撃力と圧倒的防御力の対決みたいなものなのかな。

とりあえず、レイにグラスタートルについて分かる事を全部話す事にした。


「楽しみだなぁ♪」

「えっと・・・それは良かったね。」


一体どんな戦いをするんだろうか・・・怖いもの見たさはある。

私とレイの様子に呆れた様子のジンは話を続ける。


「・・・何か目途が立ったみたいだな。そういえば、ジェシカ。制御輪ってどういうものなんだ?」

「あ、この左の中指に付けている指輪がそうだよ。」


私はジンに制御輪を見せる。


「ほう、それが制御輪か。綺麗なも・・・って、ジェシカ。お前・・・中指に付いた制御輪は分かったんだが・・・その薬指に付けた指輪はなんだ?」

「ん?あっ、これは・・・私、結婚するんだ。」

「そうか、それはおめでたい・・・って・・・」


「はぁ!?」

「えっ!?」

「へぇ。」


ジンとルーク、レイと反応はバラバラだった。

そして、ジンは私の肩を掴んだ。


「ちょっ、ちょっと待てよ。俺はお前にまだ渡してないぞ。」

「いや、そもそもジンとそんな仲じゃないよね。」


私はジンの言葉に冷静にツッコミを入れた。


「じゃあ、相手は誰なんだよ??」

「それは僕だよ。」


隣にいたユキが前に出た。

ジンは頭を抱えて・・・


「いくら条件の合う結婚がないからって、ユキは無いだろう。それにユキは結婚してただろ?良いのかよ。」

「うん・・・この気持ちに気付かせてくれたのはジンのおかげでもあるんだ・・・ありがとうね。」

「えぇ・・・」


ジンとルークが渋い顔をする中、レイだけは「おめでとう」と言ってくれた。


「式は勇者としての役目が終わった後だけど、皆には祝福してほしいんだ・・・」


そう言った私の表情を見て、ジンもルークも


「まさか、ユキに先を越されるとは思わなかったが・・・ユキよ、ちゃんと幸せにしてやるんだぞ。」

「仕方ないですね。僕が幸せにしたかったのですが。ユキさん、僕の分までお願いします。」

「分かっているよ。」


納得はしてくれた様だった。

男3人の友情的なものかな?何かいいなぁと私は3人の様子を見ていた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

皆への報告の中で黒の勇者武器の所在が判明して、ジェシカとユキとの結婚の話が出てきます。

草原の迷宮に眠る物、それは一体何なのでしょうか?

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