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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
80/309

80、月が綺麗なのは元々 (3)

彼女は勇者になった。・・・しかも、僕と同じ青の勇者に。

神様は本当に何を考えているのだろう。


彼女と笑って過ごしていたいから、僕は昔の話をしようと思う。



彼女は僕の為に泣いてくれた。


その時・・・僕は彼女に家族以上の何かをはっきりと感じた。

前々から女の子なのに近すぎる感覚はあったんだけど、昔の話をしてからか彼女に女性を意識する事があった。


その頃からだろうか、彼女も僕を意識したかのように立ち振る舞う様になったのは・・・


ーーー


ユキの500年前の戦いの記憶がない。

神様が介入しているとすれば、ダメな理由があるのだろう。

戦闘の間にテントも吹き飛んでしまい、夜空にさらされていた。


とりあえず今は目の強敵を何とかする事を考えなくてはいけない。


「あの盾便利そうだよね。」

「(えっ、そこなの?)」

「手に持たない魔法盾なら私の戦い方に合っているし、あの防御性能ならもっと戦い方に幅が出ると思うんだ。」

「(ふぅ・・・)」


ユキがため息をついている。


「どうしたのユキ?」

「(僕もジェシカのバカがうつったのかなぁってね。)」

「ちょっ、それどういう事?」

「(まぁ落ち着いてよ、ジェシカ。僕が君の雷魔法を使わせてもらうから防御は僕に任せてよ。意識を集中して・・・僕に雷魔法を渡すイメージをするんだ。)」


ユキの言う通りにイメージをしながら意識を集中する。


「(・・・なるほど、これがジェシカの雷魔法か。面白いね。防御は僕がやるから、シグマから魔法盾の使い方覚えてみるといいよ。)」

「分かったよ、ユキ。」


私はシグマに突っ込みと、シールドラッシュが来た。

飛んでくる盾をユキがシノブを巻き込まない様に小型のスタンフィールドを展開して勢いを相殺、その隙に魔法盾に触れる。


「これがイージス・・・」

「(いけそう?)」

「うん。あ、後で良いんだけどユキがさっき使っていた魔法も共有させてね。」

「(抜け目ないなぁ・・・ま、後でね。)」


ユキにあとで魔法を覚えさせてもらう約束をして、今度はこちらから攻める。


「何をしたのかは知らないが、こちらにもまだまだ実験が残っているのでな。次はこれだな。」


シグマはクスリを取り出して飲む・・・


「ねぇ、ユキ。」

「(なんだい?)」

「シグマの戦闘で何度か薬を飲んでいると思うんだけど、何でだろうね。」


あらためて思うと変だ。

実験という事で軽く流していたけど、もしかして・・・


肉体強化、詠唱加速、風属性の魔法盾の中で純粋なシグマの能力は魔法盾のみと考えると戦い方に合点がいく。


私は間合いを詰めようとするが、やはり魔法盾が来る。

そこで、先程覚えた風の魔法盾を試してみる。


「エリアルバックラー!」


シグマの魔法盾にこちらも魔法盾をぶつける。


「さっきの変な動きは私の魔法を盗む為か。少し余裕を見せすぎたか。」

「私の攻撃はまだあるよ。ライトニング!」


魔法盾の相殺後に意識を集中させて、雷を纏った一突きを・・・


「・・・だが、甘い。」

「!!」


次の瞬間には飛ばされていた。

瞬時に魔法盾張って無かったら危なかった。

おそらく、戦闘になる前に使っていた技・・・


「ほう、あのタイミングでも防ぐか。久々にまともに戦える相手だな・・・腐っても勇者という所か。」

「腐ってはいないし、腐るつもりもない。」

「先代の雷魔法に比べれば弱い・・・が、それは私に対しての躊躇とも取れなくはないと言った所か。はっきりと言っておくが、私はお前を殺せば次はロッソを落とす。実験に付き合わせて言うセリフではないかもしれないが、ロッソを守るつもりがあるなら全力で来い。」

「・・・。」


・・・やはり戦わないとダメなんだな。


「ユキ、アレをやろう。」

「(分かった。)」


私は両手を天に向け詠唱する


「天雷を束ね・・・」

「!!・・・天罰か!先代から受け継いだのか。だが、させんよ。」


シグマは盾を飛ばすが、詠唱中は強力な結界が張られる為に中途半端な火力では詠唱は止められない。


「愚かなるものへの・・・」

「これならどうだっ!!」


あの技を放つが少し結界が揺らいだ・・・


「道標たれ・・・」

「とっておきだ。」


シグマはクスリを取り出すと、何粒か飲み込み息を大きく吸い込む。


「ブラストインパクト!」


結界に張り付いて、掌打を放つ。


「!!」


私を守っていた結界はシグマの技で破壊されて、衝撃が私を吹き飛ばす。

夜空に舞いながら、地面に叩きつけられる。


「くっ・・・」


甘く見ていた・・・青の神剣詠唱中なら問題ないと思っていた。

薬による増強で結界を壊せたとは思うけど、根競べをするほど余裕はない。


「(ジェシカっ!!)」

「大丈夫、まだ・・・いける・・・。」


カラ元気を出す私を察してかユキが落ち込む。


「(僕はジェシカに何も出来ていない・・・)」

「そんな事ないよ、ユキ。」


ユキがいたからここまで頑張ってこれたんだ。


「(君に勇者の使命を与えてしまった・・・)」

「それは神様に会ったらたっぷりと文句を言うからいい。」


確かにユキは青の勇者だった。でも、それは私が青の勇者である理由にはならない。

そんな取って付けた運命なら私は神様に説教するよ。


「(僕は君の気持ちに答えられていないっ!)」

「え・・・?」


私の聞き違いなのだろうか?

君の気持に答えられていない・・・なんて。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

シグマの防御魔法を獲得して反撃に出るものの、青の神剣を妨害されてしまうジェシカ・・・

勝利への目途がつかない中、ユキがジェシカへの思いをもらします。


設定補足:魔盾イージス

モニカの話の中で術者を自動で守る盾というのに興味が沸き、シグマが研究して作った魔法。

盾をイメージする事により、局所的な超防御を可能にし・・・攻撃に転化させる事も出来る。

モニカのしていた話は魔王が装備していたとする伝説の盾らしい。

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