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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
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8、新しい風は新たな出会い (1)

私達がギルドにお土産を持っていくと


「あの・・・ジェシカさん、何をやったんですか?」


いきなり受付の人からそんな事を言われた。


「いえ、何の事ですか?」

「ギルドマスターから、部屋に来る様に言われていますよ。」


・・・全く身に覚えがありません。

とりあえず、ギルドマスターの部屋へ。


「失礼します。」

「どうぞ。」


私はドアをノックして部屋に入った。

入ってすぐにギルドマスターから言われたのは・・・


「要件はギルドメンバーの除名になりますね。」


はい?

いきなり除名通知されても困るので、理由を聞く事にした。

すると、マスターは私の疑問にあらためて言い直した。


「あ、すみません。ジェシカさんには勇者認定が下りて給料体系が変わるですよ。今まではギルドからの仕事をこなしての歩合給でしたが、これからは国から給料が入る様になりますよ。」


えっと、契約社員から国家公務員になった感じかな?良く分からないけど。

でも、勇者認定とは??


「勇者ジンさんとの仕事で聖剣に認められたとの報告は受けていますよ。」


・・・まさかと思うけど、あの戦闘って試されていた?

あのツンツン狸・・・こほん。


「あの、生活とかは・・・」


ツンツンたぬ・・・じゃなくて、ジンの件は置いといて

自分の生活がどうなるか気になる。


「その点は大丈夫ですね。生活費は国から下りますし、ギルドの仕事を手伝っていただけるのでしたら、それに応じた報酬も用意致します。」


まぁ勇者になったと言っても何をしていいのか分からないので

引き続きいつもの仕事をしよう。



東の森の調査


「静かだね・・・ん?何か音がする。」


静かな森から微かに聞こえる鳥の声と木が折れる音。

私はテイムコネクトをして、音がする方向へ移動した。


「梟と蛇が争っている?」


3mほどの梟と5mほどの大蛇が戦っていた。


白銀の綺麗な梟と黒光りした鱗の大蛇。

プラチナストリングスとオブシディアンナーガという種類らしい・・・その戦いはどこかの怪獣映画を彷彿させる。


速記で資料をまとめているとユキから


「(ねえ、ジェシカ・・・)」

「ん?どうしたの?」


逃げた方がいいとか安全を考えた意見を予想したら、意外な質問だった。


「(梟を助けないの?)」

「なんで?」

「(あの鳥はこの森では益鳥、逆にあっちの大蛇は害獣なんだよ)」


うーん。


「あの戦闘に乱入はちょっと・・・人が巻き込まれているなら助けには行くけど。」


私が落ち着いて答えていると、梟が大蛇に負けていた。

・・・その梟の近くで小さな梟が飛んでいた。


ギルドに調査資料を提出すると、受付の人からもユキと同じ質問をされた・・・

いや、流石にアレは無理。



次の日、ギルドに行くと

あの大蛇の調査依頼が来ていた。


「ユキ、あの蛇ってどのくらい危険なの?」

「毒は持っていないけど、極めて高い攻撃性と防御力が問題かな。街に来られると厄介だね。」


大蛇の調査依頼を受けて、東の森へ


「さてと、大蛇は・・・!!」


私は殺気を感じて後ろに下がった。

私の立っていた地面は大きくえぐれて、そこに短い銀髪の男の子が立っていた。

どうしてここまで殺気立っているのかが分からない。


「・・・なんで昨日助けてくれなかった・・・。」


はい?


「いや、君・・・誰?」


全く見覚えが無いんだけど。


「昨日、森にいただろう・・・」

「うん。確かにいたね。」


「梟と蛇が戦っているのを見ていたよな・・・」

「うん。ここの調査依頼で来ていたからね。」


「あの梟は俺の母さんだっ!!」


「え・・・テイムコネクトっ!」


この男の子が梟の子供!?

・・・なのは置いといて、今は向けられた殺気を何とかしなくてはいけない。


シンプルに振り上げる拳だけど、当たったら痛いよね。


ここは、ジンの戦い方を参考にしよう。

静かに構え、男の子に攻撃に備える。


集中・・・


拳を受け、力の方向を理解して、いなしながら・・・腕を取り、力の方向を変える。

そして、男の子は地面に叩きつけられる。


「カハッ!!」


叩きつけられた男の子はそのまま気絶した。


「(ジェシカ・・・)」

「やり過ぎたかも・・・応急処置しなきゃ」


・・・


「・・・ハッ!」

「あ、気が付いた?ごめん、ちょっとやり過ぎたね。」


私は男の子に謝った。その上で・・・


「昨日の話・・・君のお母さんを助けなかったのは事実だけど、自然の営みに私達人間が横からズケズケと入っていくのはダメだと思ったからなんだ。」

「でも・・・」


男の子は納得いかない様だ。


「それに、何で私に攻撃するの?君のお母さんを倒したのはあの蛇だよね?」

「それは・・・」


男の子は蛇を倒せないから、私に対してその怒りを向けたのだろう。

私は男の子に手を伸ばす。


「・・・?」

「じゃあ、私が協力するよ。あの蛇が街に来られても迷惑だしね。」


私が蛇の情報を仕入れて、男の子が有利に立ち回れる様にする。

必要あれば私も蛇討伐に協力するという話で男の子に理解してもらった。


「あ、君って名前はあるの?」

「ない。」


男の子は首を横に振った。


「そうだね・・・梟かぁ・・・じゃあ、シノブでどうかな。」

「それでいい。」


梟って何か忍者っぽいし。

その瞬間、テイムコネクトが解除されて私の右手とシノブの右手に光の輪っかが出来て、それが光の糸によって繋がれた。


「これって契約!?」


契約をするとは思わなかったけど、私たちは蛇の討伐を目指す。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

今回は新たな立場と新たな契約の話になりますね。


プラチナストリングスは東の森の生態系上位にいる益鳥で幸運の象徴と言われています。

大きくなると3mくらいの大きさになりますが、危害を加えない限りは人を襲ったりはしません。

人に変身する事も出来る為、知力もかなり高いと推測できます。

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