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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
42/309

42、追放理由は気紛れ天気 (2)

今日はグラスハウンド3匹の討伐で、グラスハウンドの牙対策として補助魔法をかける事になった。

噛みつきは攻撃力が高いが、それ以外は攻撃力が低いので防御より回避メインでの立ち回りが有効になる。


「今回はシノブが事前に回避と素早さを上げる風属性の補助魔法『フォローウィンド』を全体にかけるから、土属性の補助魔法をかける事があれば連絡してね。」


私は魔法をかける前にウィルに補助魔法の説明をした。


「どうしてですか?」

「それは、防御力を上げても噛みつきが痛いという前情報と属性の相殺現象が起こるからだね。」


属性の相殺現象とは火と水、風と土、光と闇は属性の力が相殺し合う性質があり、これについては攻撃魔法、補助魔法そして覚えた魔法や使う魔法にも影響する。

例えば火属性の補助魔法に水属性の補助魔法をかけた場合、かけた魔法の前後に関わらず属性の力が相殺してしまう。それが属性の相殺現象である。

属性による優位性(水は火に強い等)はなく単純に力の大きさになり、大きい方の効果が相殺で減少した分だけ残る。(効果や発動時間が減少する)


「分かりました。」

「それじゃあ、シノブ頼んだよ。」

「うん。『フォローウィンドっ!』」


風の加護がパーティー全体を包む。


草原を歩いていくと、はぐれのグラスハウンドを見つける。

見つけて早々ウィルに牙を向けてくる敵に・・・


「アースガードっ!」


ウィルは土属性の補助魔法を自分にかける。

あ・・・相殺現象が発動してウィルのフォローウィンドの効果が弱くなっているのが分かる。


「『加速強化』からの飛び蹴りっ!」


私は咄嗟に敵の横腹へ跳び蹴りをしてウィルへの攻撃を阻止する。ついでに一体討伐。


「ふぅ・・・ウィル、属性の相殺現象はさっき教えたと思うんだけど・・・気をつけてね。」

「はい・・・。」


ウィルはショボンとした声で答えた。

また、偶然にもはぐれ個体に遭遇して戦闘に入る。


「アースガードっ!!」


あれ?説明したはずなんだけど・・・とりあえず、二体目も討伐


三体目・・・

またまた運良くはぐれ個体に遭遇して戦闘。

私に攻撃が来たのに加えて、今度こそ魔法はかけていなかったから安心、安心・・・


「!!」


後ろから飛んできたハチ型モンスターを切った。


「ジェシカさん、そのハチは俺が操ったヤツです。」

「ウィル・・・。」


報告・連絡・相談はしてほしいなぁ・・・少し頭が痛くなる。

ちなみに、戦闘自体は余裕がある分これはちょっときつい。



グラスハウンド3体の討伐後、自宅の応接室にて反省会をする。


「ウィル、何か反省点あるかな?」

「ないですね。」


どう説明しようか・・・


「ウィルはちゃんと報告・連絡・相談をした方が良いと思うんだ。個人の戦闘面では問題はないのだから、パーティーできちんと連携できればウィル自身の負担も減るんだよ?私も説明が足りない部分はあると思うから分からない所があったら聞いてよ。」

「はい・・・。」


ウィルはショボンと落ち込んでしまう・・・言い過ぎだかなぁ。



反省会の後、私は自分の部屋で考え事をしていた。

私自身、そこまで仲間との連携を考えて行動できたかといえば・・・自信はない。

割と突っ走る傾向は私にも有るし、それを棚上げしてウィルに言うのもあんまり気分がいいものでもない。


「う~ん・・・」

「どうしたのジェシカ?」


頭を抱える私にユキが理由を聞いてくる。


「ウィルの事・・・だね。」

「昼間の事?」

「ちょっと言い過ぎたかなぁ・・・って。」


私がそう言うと、ユキは少し考えた後


「どうだろうか。」

「・・・と言うと?」

「ウィルさんがどういった冒険をしてきたかは分からないけど、ジェシカが言ってきた事も間違いではないと思うんだ。ジェシカがウィルさんを仲間と思っているなら尚更だね。」

「まぁ、必要あれば色々話し合ってみるのも良いかもね。」

「そうだね。明日も頑張ろう。」



次の日・・・


「え・・・行きたくない?」


冒険者ギルドにウィルを誘ったのだが、「行きたくない。」の一言だった。

アルマとシノブにウィルのお世話を任せて、私は冒険者ギルドへ向かった。


冒険者ギルドは何やら騒がしかった。

何か冒険者がクエストに失敗したみたいで叫びまくっているんだとか・・・


「くそ、どうなっているんだ。この間まで凄く順調だったのにっ!」

「あのモンスターあんなに強かったのか!?」

「こんなに不調なのはウィルのせいね。」


聞き覚えのある声に様子を見ていると・・・相手もこちらに気が付いた。


「あっ、その・・・この間はすまなかった。」


いきなり偽勇者に謝られた、とりあえず話を聞いてみる事にしよう。


「あんた、この間の追放は見ていたよな?」

「はい。」

「ちょっと、そいつの件でイライラしていてな。そこにあんたの声が耳に入って突っ掛かってしまった。・・・そういえば、あんたはウサギと一緒にいるけどテイマーか?」


ん?テイマーがどうしたのだろう?


「もし、よかったらなんだが・・・俺たちと一緒にあるクエストを受けてくれないか?」

「えぇっ!?」


いきなりのクエスト同行依頼に私は驚きを隠せなかった。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ウィルに関わる問題点と偽勇者からのクエスト同行依頼。

次回はウィルの追放劇のいきさつが語られます。


設定補足:属性の相殺現象

基本6属性間(派生属性は詳細不明)にある属性の相殺現象。

以前に出ていたユキが使っていた「ミストヴェール」は属性の相殺現象を利用した物になり、対象に外部からの熱を遮断する効果を与える。

アルカーナの暑さは火属性による暑さでは無い為、相殺現象は発生しません。

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