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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
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4、それは青天の霹靂の様に (1)

私がいつもの様にギルドで受付をしようとすると・・・


「ジェシカさん、特別クエストです。」


と受付の人から特別クエストの案内状を渡された。

特別クエストはクエストの依頼者から特定の指名がある場合のクエストになる。


「えっと・・・ダンジョン攻略の手伝い?」


勇者パーティーのスカウトが負傷したので、代行をお願いしたいらしい。

場所は北にある古代遺跡かぁ・・・ちょっと遠いね。


「ユキ、どうしようか。」

「特に止める理由はないから、ジェシカに任せるよ。」

「そうだね・・・行ってみようか。」


私達は特別クエストを受ける事にした。

宿には1週間ほど空ける話をして、まずは勇者パーティーの待つ村へ

馬車に揺られて半日、到着した頃には夕方でした。


村では勇者パーティーの歓迎で賑わっていました。


「譲ちゃんも勇者様を見に来たのかい?」

「あ、私はギルドの仕事で勇者さんに会いに来たんですが・・・」


入り口で門番の人に話しかけられたので私は仕事で来た旨を話すと


「そうかい。なら、酒場に行けば会えるだろう。」


門番の人から勇者さんのいる場所を聞けた。



酒場に来ると・・・いきなり酒気の洗礼に遭った・・・


「うっ・・・酒臭い・・・ユキは大丈夫?」

「ちょっときついかも。」

「うん、早めに話をしよう。」


あの人達かな?

黒髪でツンツン頭の体育会系っぽい男性に私は声をかける事にした。


「あ、あの・・・」

「ん?誰?」


それはそうですよね・・・とりあえず自己紹介から始める事にした。


「はじめまして。私、ギルドの特別クエストで来ましたジェシカといいます。」

「ジェシカ・・・あぁ、あの変わり者テイマーさんか。思ってたより若くて美人なんだな。俺の名前はジン、勇者をやっている。飲んでいくか?」


いきなり酒を勧められたが私はユキの体調が気になるので宿の話をした。


「すみません、これから宿を探すので・・・」

「宿か?俺たちが使っている宿で特別クエストの案内状を見せれば部屋を手配して貰えるぞ。まぁ、落ち着いたらこっちに来いよ。」

「お酒は飲めませんが、後で伺いますね。」


私はそそくさと酒場を出て、宿屋に案内状を見せると部屋を手配して貰った。

結構広めだけど、落ち着いた雰囲気はいいかな。


「大丈夫だった?ユキ。」


ベレー帽の上でぐったりしたユキをベッドにのせた。


「ふぅ、助かったよ。僕はここで休んでいるから、ちゃんと仕事仲間と打ち解けておくんだよ。」

「うーん・・・」

「『うーん』じゃなくて、これは仕事付き合いだから。いいね。」


ユキに窘められて、私は酒場に戻る事に。

私もお酒は苦手だし、ベッドでユキとゴロゴロしてたいんだけど・・・


仕方なく1人で酒場に戻り、ジンに話しかける。

落ち着いて見ると右隣に長い黒髪で聖女っぽい綺麗なドレスを着た女性と短い黒髪のローブを着た女性がいた。

見た目は3人とも日本人っぽいな。


「お、来たな。」

「はい。」


とりあえず、お茶を注文して私は席についた。


「あらためて紹介すると・・・おい、大丈夫かアオイ?」


右隣の女性はかなりお酒が入っているみたいでベロンベロンだった・・・


「らいじょうぶだよ~。あ、この人がお手伝いさんね。わらしはアオイ、聖女をやっているわ。よろしくね~。」


うん、呂律が回っていない。

そして、アオイさんの隣で黙々とお酒を飲んでいる女性が


「私はアキラ。魔法使いをしているわ、よろしくね。」


お酒に強いのかな?淡々とした自己紹介をされた。


「ご丁寧にありがとうございます。あらためまして私はジェシカといいます。テイマーをやっていまして、今回のダンジョン攻略のお手伝いに来ました。」

「今日は無礼講だ。楽しんでいってくれ。」


ジンがそういうと、宴は再開される。


「お待たせしました。」


お店の人からお茶と一品ものを渡された・・・これは・・・


「これって・・・」

「これはポテトサラダだ、さっき店主に作り方を教えたんだよ。美味いから食ってみなよ。」


ジンは酒を片手にドヤ顔をきめる。


「いただきます。」


スプーンでポテトサラダを掬って口に運ぶ。

あ、ちょっと雑味はあるけど・・・懐かしい味だ・・・


お母さん・・・


「お、おい・・・ジェシカさん、涙なんか流してどうしたんだよ!」

「え・・・。あ。」


ジンの指摘で私は涙を流している事に気が付いた。

咄嗟に私は誤魔化す事にした。


「あ、このポテトサラダがとても美味しくて・・・この世界にもマヨネーズなんてあったんですね。」

「・・・そうか、気に入ってくれただけだったか。まぁ他の料理も食べていってくれ。」


私は軽く仕事の話をしながら、宴を楽しんだ。



宿に戻ると、ユキが起きていた。


「ただいま。」

「どうだった?・・・あれ、何か暗い?」


ユキにはかなわないな。


「ちょっと懐かしい料理を食べてね、昔の事を思い出しちゃった。勇者さん達、多分だけど私と同じ世界にいた人なんだ。」

「帰りたい?」


ユキの質問に私は自分の長い銀髪の三つ編みを持ち上げて答える。


「帰っても、私の居場所はないから。」


そう、この姿で両親に会っても、きっと抱き締めてはくれないだろう。


「ごめん。」

「ううん、いいんだよ。」


私はユキの頭を撫でた。



そろそろ寝ようと思っていたら、ドアがノックされた。


「はい。」


私がドアを開けると、ジンが入口に立っていた。


「ジェシカさん、ちょっといいか?」



しばらくジンについていくと、小川の近くで立ち止まり・・・


「ジェシカさん、あんたは転生者じゃないか?」


ジンはいきなりそう言った。


「え、どうしてですか??」

「見た目は確かにこの世界の人だが、ポテトサラダにマヨネーズを使う事を知っていたり、『この世界』という発言からして異世界から来たんじゃないか?」


あの時の発言かぁ・・・考え無しだった。


「・・・もし、そうだったらどうするんですか?」


ジンは私に向き直り・・・


「俺がお前の居場所になってやる。だから一緒に来ないか。」


真剣な表情で私に語りかけた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

今回から勇者が登場しますね。

初めてみる同じ異世界人である勇者。それがジェシカにどう関わってくるのか・・・


設定上は勇者パーティーのジン、アオイ、アキラは異世界転移者。

話に出ていませんが負傷したスカウトさんはこの世界の人です。(負傷の為、戦線離脱してます。)

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