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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
39/309

39、その始まりは雷雨の中で (2)

男性が目を覚ますと、ガバッと起き上がり辺りを見回した。


「目が覚めたみたいだね。私はジェシカ、この家の主を・・・」

「どうしたのジェシカ?」

「いや、何か家の主とか格好いい響きだなぁと。」

「・・・時と場所を考えないと締まらないよ。」


私とユキの掛け合いに男性は驚いていた。


「ウサギが喋った!?」

「あぁ、この子はユキ。私のパートナーだよ。」

「僕はユキ、よろしくね。」

「・・・あ、俺・・・ウィルと言います。あの・・・着替えは・・・。」


ウィルは自分の身なりを見て恐る恐る話し出した。

もちろん、私がやったわけではなく


「大丈夫だよ。着替えはこの子に任せたからね、シノブ。私のパートナーだね。」

「はじめまして。」

「えぇっ!?あのプラチナストリングスですか!?」


セルリアから聞いた話だとプラチナストリングスを使役したテイマーはいないらしい。

私の場合も使役とは違うし、まぁ珍しいんだろうね。


それにしても、何で家の前に倒れていたかは聞いておかないとね。


「そういえば、なんで私の家の前で倒れていたの?」

「街の冒険者ギルドのロビーでご覧になっていたと思うのですが、俺は勇者パーティーを追放されたんです・・・それから途方に暮れて・・・ジェシカさんの家の前に倒れていたみたいです。」

「そっか、今日はここで休んでいっていいよ。何か困っていたら、そこにあるベルを鳴らしてくれたら使用人が来てくれるから。」

「・・・ありがとうございます。」


やっぱり、偽勇者パーティーに追放された人だった。

もう少し話を聞いてみたかったけど落ち着いてからで良いかな。


「それじゃね。」

「あの・・・」

「どうかしたの?」

「ジェシカさんって何者なんですか?」


今は話してもゴチャゴチャしそうだしなぁ・・・話を聞いてからかな。


「まぁ、落ち着いてからでいいんじゃないかな。」

「はい。」



自室でのんびりしていると、ユキが机に上がる。


「ジェシカにしては珍しいね。」

「そう?」

「うん。」

「流石にいきなり『君が所属していた勇者パーティーは偽物だよ。』なんて言っても、混乱しか招かないし・・・倒れるほどだから、まずは休息して貰った方が良いんじゃないかな。というか、私の方が情報量多すぎて倒れそう。」


私の言葉にユキは笑っていた。



次の日、朝食にウィルを招いた。

あらためてみると、短髪の群青色の髪の毛で虫も殺さない様な人のよさそうな感じはする。

少しは元気そうに見えるからちょっと安心していると、ウィルは口を開いた。


「ジェシカさん、色々ありがとうございました。」

「元気になったならいいんじゃないかな。」

「あの・・・」


ウィルは聞きたい事があったみたいなので話を聞いてみる。


「ジェシカさんってテイマーなんですか?そちらのユキさんとシノブさんを見る限り契約している動物ですよね?」

「うん、私はテイマーだね。そして、ユキとシノブはパートナーだよ。」

「テイマーであってもこんないい生活が出来るのか・・・ジェシカさん、ご相談があるのですが。」


相談?と疑問がありつつもウィルの話を聞く事に。


「ジェシカさん、俺を弟子にしてくれませんか?」

「・・・え?」

「実は俺もテイマーで、勇者パーティーから『役立たず』と言われ続けて・・・ジェシカさんを参考にすれば何か見えるかもしれなくて・・・。」


参考に・・・いや、ならないんじゃないかなとは思いつつ


「弟子にするかはともかく何で『役立たず』なの?」


使役する動物とテイマー次第では何とかなる物で、セルリアはひいき目を抜いても良い例ではある。

ちゃんとセルリアが出来る事とクラウンが出来る事を把握しているから。


「使役しているのが戦闘向きじゃないんです。」


・・・テイマーさんあるある。

この理屈で言うと、ドラゴンを使役すれば?と言いたくなるから。

偽物とはいえ、勇者パーティーに所属はしていたのだから最初は弱いモンスターでも主従契約の変更は可能なので段階的に強くしていけば良いだけである。ここは偽勇者パーティーの落ち度とも言える。


これ、戦闘を見ないといけないよね。見る限りパートナーもいないので下手すると顔に似合わず動物を酷使する様な人かもしれない・・・


「じゃあ、ウィルの戦闘を見させてもらっても良いかな。」

「はい。」



朝食を終わらせてから、冒険者ギルドに向かった。

討伐クエストもこなした方が一石二鳥だったのだが、受付から衝撃的な事を言われた。


「ウィルさんって冒険者登録されていませんね。」

「・・・え?」


この世界では職業自体は冒険者登録時に決まる物なので・・・


「ウィルって何でテイマーなの?」


この質問は当然の流れになる。

冒険者登録しなければ、自分の職業なんて分からないから。


「俺の故郷はテイマーの集まった村で、両親もテイマーだったから・・・。」


ちなみに、この世界の職業は両親の職業と本人の職業が同じとは限らない。

早速、ウィルの冒険者登録をするとテイマーではあったものの、テイマーだからと言ってそれが結果オーライとはいかない。


“何故ウィルはテイマーとして偽勇者パーティーにいたのか?”

疑問しか残っていない。


「あの、ジェシカさん。」

「どうしたの?」

「『主従契約』って何でしょうか?テイマーになった時に覚えたみたいですが。」

「職業ボーナスかな。職業が決まると、その職業に合った特技や魔法を一つ覚える事が出来るんだよ。テイマーだと大体『主従契約』みたいだけどね。」


ウィルは「へぇ・・・」とつぶやきながら右手を開いたり閉じたりする。


受付経由でギルマスに私が担当試験官になる事を了承してもらい。

ウィルのテイマーとしての実力を調べる事にした。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

元偽勇者パーティーの『テイマー』ウィルの謎。

ジェシカは試験の中でウィルに何を見るのか・・・


設定捕捉:親の職業

基本的には職業は引き継がないものの、クローク家代々伝わる魔法「スピード」等のステータスに関する事は影響したりします。

なので、親の職業と同じ方が何かと良い気がしなくもないですね。

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