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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
36/309

36、隣にユキのいないクエストを (2)

レナードが言った調査とは以前に二人で行く事になった東の森の南にある泉の迷宮の調査だ。

あそこもここと同じく地下迷宮だったね。


「あぁ、懐かしいね。」

「そこまで昔の事じゃないからな。」


地下迷宮だとユキの方が相性はいいからね。

あの時はほとんど先制で戦闘を仕掛けられて、凄く楽だったし。


「あの時ほど剣士の自信を無くした事ないな。テイマーなのに剣士以上にモンスターをズバズバ切って行くんだぜ・・・そういえば、今回はおとなしいな。」

「おとなしいというか、レナードとセルリアで楽勝みたいだし。私は後ろで報告書を作っているよ。」

「まぁ、戦闘自体は俺とセルリアでなんとかなっているしな。」


私とレナードが話している隣で、モジモジしたセルリアがいる。


「ほら、セルリア。もっと自分推さないとっ。」


そっと耳打ちすると、ちょっと顔が赤くなる。

はにかむ様子がとても可愛くて、男子ウケ良さそうなんだけど・・・流石に直接聞くわけにはいかないか。


「そういえば、セルリアはギルドではどうなの?」

「せ、先輩!?ちょっとストレート過ぎませんか??」

「それは、先輩テイマーとして試験官を担当した子がどうなのか知りたいのは当然だよ。」

「うぅ~。」


セルリアは恥ずかしさのあまり顔が真っ赤。

私の話にレナードは少し考えて・・・


「そうだなぁ・・・優秀だな。セルリアが受けている採取クエスト・調査クエストの評判は良いな。」

「へぇ、ちゃんと見てもらっているじゃない。良かったね、セルリア。」

「はい・・・。」


よし、そろそろ・・・


「それじゃあ、そろそろ先に進むか。引き続き俺が前衛、セルリアが中衛、ジェシカが後衛で良いか?」

「え、あ・・・うん。」

「どうしたジェシカ?」

「そうだね、先に進もうか。」


レナードは立ち上がった。

・・・もっとセルリアを推すつもりだったんだけど。無理は良くないか。



26階層は凄く広く高い部屋・・・

そこにいたモンスターは予想以上に手ごわかった。


ダンジョンの性質上、ダンジョンの出現した場所のモンスターで生態系が形成されて

奥に進むほど強くなっていく。

25階層までは問題なく倒せていただけに油断していた。


1~5階層がスライム、6~10階層が大きなアリ、11~15階層が大きなハチ、16~20階層が猫っぽい獣、21~25階層が犬っぽい獣。


そして、26階層にいたのは・・・


「おいおい、このモンスターって・・・」

「間違いないね。草原の主グラスタートルだね。」


東の森のオブシディアンナーガの様に生態系にはその土地にあった上位種がいて

西の草原の主というのがこのグラスタートルというカメになる。


このモンスターがいるという事は、倒す必要があるわけで・・・

倒さないと攻略する為の下り階段が出てこない。


5mほどの大きさで普通なら実害はないのでまず戦闘自体はしないが

時々、初心者がこのモンスターにちょっかいを出して痛い目に遭う。


そして、このモンスターの特徴と言って良いのが・・・


「やるしかないのか、くらえっ!!」

「ダメ、レナード!そのモンスターは!!」


剣を大きく振りかぶるレナードに加速して追いついて剣をおさえる。


「あの甲羅に攻撃したらダメなのはレナードも知っているよね!?」


私は床にあった石ころをカメに投げる。

石ころは緩い放物線を描き甲羅に当たると・・・


プシュン・・・パシッ


石ころは弾丸の様にこちらに跳ね返って遠くの壁に当たる。

切りかかろうものなら最後、あの石ころと同じように弾かれて壁の染みに・・・

一体、何倍返しなのやら・・・


「だが、このメンツであれは出来ないだろう?」


実はこのモンスターには弱点があって、ひっくり返してしまうという方法。

ひっくり返した時に甲羅が当たった衝撃で本体をぶっ飛ばす。

カメが絶命するまで甲羅の反射能力が続く為にずっと反射し続けさせるので、かわいそうだけど一番効率がいい。

但し、屈強な人を5人ほど集めてやっとひっくり返す事が出来るほど重いので

このメンバーではちょっときついかなぁ・・・


あと、ひっくり返したとしても・・・


「仮にひっくり返しても・・・ここがダンジョン内だから、カメが絶命するまで壁を乱反射するカメ地獄とかパーティー全滅必至だよね。」

「くそ、ここは一旦退くしかないか・・・25階層に撤退するぞ。」


レナードの一声で私達は一旦25階層に撤退した。



「まさか、ここで一泊するなんてね。」

「仕方ありませんよ。あのカメがとんでもないですから。」

「くそっ、こんな所で足止めとは。」


あれから私1人で魔法を試してみたりしたけど、魔法も反射対象で酷い目に遭った・・・

成果らしい成果と言えば、甲羅以外の場所は非常に硬いが反射はしないという事だろうか。


一泊分は持ち合わせがあるのでダンジョン内で野営をする事になる。

簡単な物にはなるが、温かいご飯というのは気分的に落ち着くもので3人は一息ついた。


小さなたき火を3人で囲み、今後について話す。

明日もカメに挑むか、撤退するか・・・


「あのう・・・私に一つ考えがあるのですが。」


セルリアは恐る恐る手を挙げた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

26階層に出現した西の草原の主、ジェシカ達はどうやって攻略するのか。

そして、セルリアはレナードに近づく事は出来るのか?


設定補足:グラスタートル

西の草原に住む生態系の上位にいるモンスター。

きわめておとなしい草食の大型のカメでちょっかいをかけない限りは安全。

生きている間は甲羅に対して特殊な防壁が張られており、物理・魔法を全て何倍かにしてはじき返す特性がある。

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