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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
花の章
305/309

花の章 おまけ ジェシカの結婚

王都・アリステア大聖堂の一室


緊張するなぁ・・・

私は着替えを手伝って貰い、これから起こるイベントにため息を漏らした。


「今更何を不安がっているのさ。夢だったんじゃないの?」

「うん。でも・・・。」


私は結婚する事になった。相手はもちろんルークで、結婚出来る事はとても嬉しいのだけど普通の結婚式とはちょっと訳が違っていた。


「ジェシカ、入るけど大丈夫かな?」


扉の外から父の声が聞こえる。物理的な準備は終わっているんだけど、心の準備が・・・


「うん、どうぞ。」

「失礼するよ。・・・綺麗だね、ジェシカ。・・・ライザにも見せたかったなぁ・・・年を取るとどうにも涙もろくなっていけない。」


部屋に入ってすぐ私のウエディングドレス姿を見るなり、父が涙ぐむ。


「母に見せたかった」とは言うものの、母の場合はこんな楽しそうなイベントがあったら、絶対に参加しているだろうからすかさず父にフォローを入れる。


「大丈夫だよ。お母さんもきっと見てくれているから。・・・さすがにお母さんにみっともない姿は見せられないか。よし、気合入れ直した!」


大きく息を吸い込むとドレスが食い込んで苦しくなるので、軽く上を向いてゆっくりと息を吐く。


「ジェシカも何だかんだでライザさんには弱いよね。」


前世の母とは違ってかなり行動的で言いたい事ははっきり言うタイプだったけど、周りには気配り出来ていて前世の母とは別の方向で尊敬をしている。


「それは大好きなお母さんだからね。そろそろ行こうか。」

「分かったよ。」


ユキは父に抱えられ、いよいよルークの待つ大聖堂の広間へ行く。

父のエスコートで大聖堂に入ると多くの人達でごった返していた。


これが、訳の違っていた理由。

クラウズの捕縛の際に流れていた映像の影響で私とルークが恋人の関係である事が明るみ出た事になり、あらためて貴族間での交際について物議が湧く事になった。


家を継ぐとルークと別れなくてはいけなくなるか、ルークを選んでも後々のクローク家の存続などの問題が明らかになる事で私には恋愛の自由が無いのかという話になっていった。


なんでそんな話になったかといえば・・・


重婚やハーレムが当たり前な世界ではあるものの、それは恋愛の自由が尊重されるからの価値観らしい。

・・・意外といえば意外だった。


私としては家の継続を考えれば相手が限定される事は常識だとは思っていたんだけど、それは前世での価値観でこの世界の貴族の価値観と合っていたかららしい。



物議を鎮静化させる為に行うのが一般の人も参加できる形式での私とルークとの結婚式を挙げる事だった。場所はアリステア大聖堂で大広間はかるく千人は入る。

多くの人達が見守る中、前の席にはジン達やセルリアや街のギルドマスターも参加してくれていた。

大事な事なのでもう一度言うと、ルークとの結婚は嬉しいんだけど・・・個人的には両家の関係者だけでささやかな結婚式の方がもっと嬉しかった。


ルークの新郎姿に見とれながら、私はルークにベールを上げて貰う。

そして、私とルークは司祭に向いた。


この世界でも結婚式は神様の前でお互いの愛を誓いあうもので、多くの人達の前で誓いの言葉を言うのは結構なプレッシャーを感じる。

それから指輪を交換し、誓いの口づけへ。


えっと、こんなに多くの人の前でキスするの?

心臓がバクバクする中かわす口づけに周りの人達が大きな歓声を上げる。


「皆さん、静粛にっ!2人の門出に祝福を。」


司祭の言葉に静けさが戻る。

私達は大聖堂を出ると・・・そこには数えきれない人が大聖堂を囲んでいた。

おめでとうございます!お幸せに!と祝福の言葉が私達を迎える中、私は手に持っていたブーケを投げる。


ゆっくりと放物線を描くブーケ。


パサッ・・・


「私・・・ですか。」


ふわりと自分の手元に落ちるブーケにセルリアは目を見開く。


「はい、先輩に負けない恋愛をしますね♪」

「うん、頑張ってね。」


意気込むセルリアに私はエールを送り、私達の結婚式は終わった。



二次会は知り合いだけで軽く済ませる形になり、私達の結婚式までいてくれたジン達とのお別れになる。


「なんだかんだでお前とルークで何とかしてしまった感があるんだが・・・。」

「そんな事は無いよ。ジン達がいなかったら私達は思い切った行動は出来なかったし、大切な仲間だよ。」

「お、おう・・・にしても、まさかルークと結ばれるとはな。」


まじまじとルークを見るジン。


「えっ、そんな僕達ってつり合ってない様に見えますか?」

「いや、そうじゃなくて。お前っていい奴で僕が先に好きだったのにって雰囲気を醸し・・・」

「ジンさん、ご先祖様と似た様な事を言わないで下さいよ。」


そんなルークの返しにジンは軽く笑いながら


「ははは、冗談だ。まぁこの世界に来れて良かったよ。2人ともお幸せにな。レイはこっち残るんだったな。じゃあ、元気でな。」

「ジェシカちゃんもルーク君も幸せにね。レイちゃんも元気でね。」

「ジェシカ、ルークを離さないようにね。レイ、楽しかったわよ。」


3人ともいよいよお別れ・・・

そういえば、私はちょっと聞きたい事があった。


「アオイ、アキラどうして私とルークの応援をしてくれていたの?」


何かと二人は私達を応援してくれていた感覚があった。だから、お別れの前にちょっと聞いておきたかった。

そんな私を見てアオイとアキラは顔を見合わせて笑った。


「それは2人とも“きょうだい”みたいだったからだね。頑張っている子を見れば自然と応援もしたくなるよ。」

「そうね、私もアオイと同じかしら。2人を見ていると、何か青春っぽいというか。」


そうだったんだ・・・


「アオイ、アキラ・・・ありがとう。」

「どういたしまして。」

「私達が勝手に思ってた事だし。」


ありがとう、アオイ、アキラ。

心の中で再度お礼を言った。


「じゃあな!」


ジン達は手を振ると次第にその姿は消えていく・・・


「元の世界に帰ったんだね。」

「はい。」


寂しい気持ちを埋める様に私はルークと手を繋ぐ。

勇者の役目は本当に終わったんだ・・・私はあらためてこれまでの事を思い返す。


「ジェシカさん、ジンさん達に笑われない様にみんなで頑張っていきましょう。」

「うん。」


これから続く人生に先行きは見えないけど、明るいものになると信じている。


(終わり)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ジェシカの結婚とジン達とのお別れ。

勇者としての役目は終わりましたが、ジェシカ達の人生はこれからという話です。


この話を花の章の最終話にする予定だったのですが、あらためて思うと99話とのつながりがなくなってしまう為に編集し直して、おまけ話とさせていただきました。

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