96、目覚めたドゥーム (2)
ルークもこの状況を察した上で最初から全力で行く。
少し気になっていたけど、ルークはあの話を聞いたのだろうか?
「ルーク、魔王因子の話を聞いた?」
「えぇ、少し驚きましたが・・・大丈夫じゃないかなって思うんです。」
「大丈夫?」
大丈夫?私は思わずルークに聞き返してしまった。
「はい、大丈夫だと思っています。だからジェシカさん、まずはドゥームを何とかしましょう!」
「そうだね。この話は後からでも大丈夫だから。」
私はルークが大丈夫と言った理由が気にはなる・・・でも、今はそれどころではない事も分かっているので、勝ってからルークに話を聞こう。
あらためて気合を入れ直してから、私はルークと手を繋いだ。
「相手がドゥームなら全力で問題ありませんね。いきますよ、ジェシカさん。エンゲージリング!」
「ありがとうルーク。」
「その魔法は厄介だな。」
ドゥームも私達のエンゲージリングには警戒をしていた。
おそらく時間の弱点には気づいているだろうから早いうちに勝負をつけたい。
「イービルレイ!」
「ブラストレイ!」
ドゥームの魔法を私の魔法で迎撃する。
エンゲージリングでの能力が上がった状態じゃないと話にならない・・・
「援護します!レーヴァテイン!!」
空に放たれた炎の矢は無数の火球を発生させ、そこから一定間隔で炎の矢が放たれる。
以前に見た時より、ルークの魔力も上がっている。
「こざかしい攻撃を!」
ドゥームを攻撃する無数の矢を右手で払うと、矢はいきなり勢いがなくなった様にその場に落ちてしまう。
魔力が上がっていても、ドゥームを倒すには私もルークも実力は足りない。
その事実はあるものの、それでも倒さなくてはその先の未来はない。
「ユキ、アレ・・・いける?」
「(アレ?)」
「神罰だよ。ユキにはつらいだろうけど。」
私はユキに神罰を使ってもらえないかお願いをする。
過去にユキが受けた事を知るとお願いしづらいけど、ユキはあっさりと返した。
「(今の状態なら、僕でも使う事は出来るよ。でも、ジェシカはどうするんだい?)」
「オーバーライドを使おうと思っているんだ。」
神罰との合体。
これなら、ドゥームに・・・
「(危険だよ・・・僕はいい、でもジェシカが・・・)」
ユキは咄嗟に私を止める。
失敗すれば私がただで済まない事は分かっているけど、この方法しかドゥームを倒す方法が思いつかない。
「任せて。きっとユキもルークも悲しませないよ。」
「(・・・分かったよ。天雷を束ね・・・愚かなる者への・・・神罰たれ・・・)」
空に大きな雷球が発生し、雲が空を包む次第に雲は濃くなり日差しは遮られた。
「なんだ、その魔法は!?」
当然ドゥームも気が付く。
「神罰・・・神の稲妻を呼び出す魔法だよ。」
「人間ごときが神の稲妻だと?」
「はい。」
私の周囲に雷の結界が張られている。
この結界は魔法をコントロールする為のもので、雷球と同様に精密に組まれた魔法陣の様なもの。
強固に組まれた結界の中で神の雷を呼ぶ準備をしていく。
エンゲージリングのおかげでこの魔法の仕組みが理解できるけど、無い状態でこんな魔法を見ていればとてもじゃないけど正気ではいられない。
「バカめ、隙だらけではないか!イービルレイ!!」
「させません!」
ドゥームの魔法から私を守る為に、ルークは拳に炎を纏わせ魔法を打ち返す。
「ルーク、ユキ・・・ありがとう。私は・・・頑張るよ!」
「(・・・裁きの光を来たれ・・・神の稲妻・・・神罰!)」
私の周囲に展開していた結界は消え、雷球から巨大な稲妻が発生する。
・・・今だ!!私はテイムコネクトを解除し
神罰をその身に受ける。
「オーバーライド!神罰!!ぐっ・・・」
ユキの制御から離れた神罰が重くのしかかる。
神の稲妻を制御するなんて愚か者のする事かもしれない・・・
「でも、世界を変えて来たのはその愚か者達なんだ!!」
それでも私は神罰とのオーバーライドを求めて手を空へ掲げる。
周囲は稲妻の光に包まれて・・・
「ハァ・・・ハァ、やった成功だ。」
いつもの服装の上に白いローブがかかり、ローブが風になびいていた。
「ユキ、フードの中に。」
ユキをフードにいれ、私はドゥームと対峙する。
「本当に面白い奴だな。良いだろう、神の稲妻とやらを余に見せてみるがよい!」
「もちろん!加速強化!!」
私はドゥームへ突撃する。
「イービルレイ!」
赤紫色の光線が私を狙うも
「させないよ。」
レイピアを抜き、光線を切り裂き無効化する。
これなら・・・
「ジェシカ、時間は忘れたらダメだよ。」
「大丈夫、これなら負ける気がしない!」
「イービルソード。」
ドゥームは剣を一本呼びだした。
以前戦った時より禍々しさは無いものの、禍々しさをも凌駕した強者のオーラを感じる。
それでも、私の中では冷静にドゥームを捉えており
ドゥームの剣を捌きながら、剣戟の応酬を繰り返す。
「やるではないか。だが、これではどうかな?」
ドゥームが持っているのは右手に一本の剣。
つまり、左手には何も持っておらず・・・
「イービルレイ!」
打ち合いの近接した状態から赤紫色の光線を私に放つ。
「させないよ。イージス展開!」
私の隙をついたつもりだろうけど、私にはユキがいる。
フードからひょこりと頭を出してイージスを展開するユキ。
例えテイムコネクトしていなくても、ユキとはちゃんと通じ合っている。
(続く)
最後まで見ていただきありがとうございます。
完全体となったドゥームと対峙するジェシカ達でしたが、その実力に戦力の差を実感する事になります。
ジェシカはユキに神罰をお願いし、神罰とのオーバーライドを成功させます。
設定補足:オーバーライドのルール
基本的にはテイムコネクトと同じである事に加えて
・自分の魔法は対象に出来ない(ただし、テイムコネクト中のパートナーが使用する魔法は可能)
・1つの魔法との合体
・エンゲージリングもしくは制御輪での魔法操作性能の補助が出来ている状態になっている。
以上の3つの条件が必要になってくる為、テイムコネクトよりも条件は厳しくなります。




