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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
花の章
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93、戦いを止める為の戦い (1)

西の荒野に乾いた風が吹く、砂埃が舞い視界が霞む・・・

歩みを止めないクラウズの私兵団を私達は迎え撃つ。


「ルーク、分かっているとは思うけど傷つけずにいくよ。」

「はい。エンゲージリングは強すぎるのでやめておきますね。」


そういえば、気になっている事があった。


「そういえば、何で“エンゲージリング”って名前を付けたの?私としてはその・・・嬉しくはあるんだけど、10分で壊れるのは・・・何と言うか・・・」


・・・凄く気になっていた。

だって、エンゲージリングだから永遠とか夢見ちゃうわけで。


すると、ルークはキョトンとした表情で私を見ていた。


「やっぱり10分じゃ短すぎますか?」

「そんな事はないよ。エンゲージリングって言ったら・・・」


婚約指輪なわけで堂々と魔法の名前にするなんてそれはプロポーズとして受け取ってもいいよね?

なんて思っていたら、ルークは首を傾げながら名前の理由を話し出した。


「あれ?そんなにおかしかったですか??魔法発動中は最高の魔法操作を約束する魔法の指輪って意味だったんですけど。」

「え?えーっ!?」


そんなどこかのメロンを彷彿させるネーミングセンスに私は驚いてしまった。


「ど、どうしたんですかジェシカさん!!」

「あのね、ルーク。エンゲージリングって・・・」


私はルークにそっと耳打ちすると、ルークは顔を真っ赤にして立ち尽くしていた。


「すみません、知らなかったとはいえ・・・あ、でも本気ですから。ちゃんとジェシカさんにふさわしい物を用意します。」

「何か要求しちゃったみたいだね。ここは私に任せて。行くよ、ユキ。」

「(防御は任せておいて。)」

「ありがとう、加速強化!」


クラウチングスタートからの敵陣への猛ダッシュ。


「なんだっ!?少女がこっちに突っ込んでくるぞ!?」

「魔法を放て!」

「ファイアバレット!」


突撃する私に向かって魔法が飛んでくる。

火や水、岩など実に様々だけど・・・問題ない。


当たりそうな魔法だけレイピアで切り払い、敵陣の中で大立ち回りをする。

近接に回ればさすがに同士討ちを警戒して魔法を撃ってこないので鳩尾に一発当てて気絶させる。


「これなら傷つけないよね。」


目的はクラウズ一人。

さっき明鏡止水で確認したら私兵団の中央にいた。


「グラスビー行け!!」

「やっぱり来たか・・・。」


青年がハチを操ってこちらに攻撃を仕掛けてくる。

テイマーを連れている事は分かっていたし、獣人のテイムの前に他のモンスターをテイムしている事も予想できた。


「それなら。」


私は意識を集中させる。

青年とハチの間に感じる魔力の流れ・・・これが主従契約に違いないだろう。

幸いグランナディアには攻め込まれていないけどいざという時の切り札は用意しておくべきだった。


これは諸刃の剣だ・・・

私もテイマーなのだから、自分にされたらと思うととても心苦しいものがある。


だけど、主従契約で悲しむ未来があるのなら!


「私がやるしかないんだっ!!」


青年とハチの間にある魔力の流れを私は寸断した。

ハチは何も無かった様に草原の方に飛んでいき、私は青年のわき腹に一発当てて気絶させた。


主従契約が解除されると思っていなかったのか、他のテイマーの動きが慎重になる。


「引いてください、私はクラウズ前当主に用があるだけです。」


レイピアを掲げると、海が割れる様にクラウズまでの道が開かれていく・・・

私兵団もテイマーたちに攻撃が出来ず、無力化に成功していた。

そのあたりは分別が付いている様で、傷つけないように行動していたのは間違いなかった様だ。


クラウズの所へ進むと豪華そうな鎧を着て大剣を構えたクラウズの姿があった。



「来たか、クローク家の小娘。私の目的を邪魔するとは本当にむかつく小娘だ。」

「クラウズ前当主、大人しく裁きを受けて下さい!」

「裁きを受けるのはどちらかな?私には協力者がいてな、その人のおかげで私はこのように・・・」


大剣を片手で振り回す。

そして、大きく地面に向かって振りかぶる。


「危ない!」


危険な予感がした。

クラウズの大きく振りかぶった刃をレイピアで受け止める。


大剣を受け止めた瞬間、衝撃が私を含め周囲に飛び周りにいた人達を吹き飛ばした。

受け身をとって咄嗟に周囲を確認したけど、良かった・・・けが人はいないみたい。


「覚悟するがいい小娘!!」


大剣の刃を私に向けて高々に宣言する。

協力者が誰かは分からないけど、クラウズが強くなっているのは分かった。

王城で初めて会った時はカイゼルひげを携えた初老の人だったはずだけど、そんな見た目を裏切る人物はいなかった・・・あ、モニカはおいといて。


「させない!」


私はクラウズの懐に潜り込もうとする。

大剣であれば懐に入り込めばそれだけで威力の軽減は見込める・・・しかし、クラウズもそこまで甘くはない。


「ウォーターボール!」


懐に潜り込もうとした所に水球が直撃する。


「ふふふっ、私もかつては神童と呼ばれていた時代もあった。だから小娘程度に遅れをとる事はないぞ。」

「くっ・・・。」


少し油断していたかもしれない。

予想以上のクラウズの強さに私はどうクラウズを捕えるのか考えていた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ルークから聞く事の出来たエンゲージリングの名前の由来。

あらためてクラウズと決着をつける為にジェシカは突撃しますが、予想以上に強化されているクラウズが立ちはだかります。


設定補足:クラウズ

かつては王都一の神童と謳われ、ヤマニ家の当主候補として冒険者としても魔法使いとして優秀だったらしいが・・・ヤマニ家当主になってからは私欲にとらわれて見る影はなくなっていた。

この事はジェシカは知っておらず、クラウズとの戦闘で初めて知る事となります。

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