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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
花の章
296/309

92、揺れる王都 (2)

ヤマニ家に入った私は痕跡を元に捜索を開始する。

大きな屋敷ではあるものの、今の私には悪意の痕跡を辿るだけ・・・


ヤマニ家の当主書斎


ここがかなり痕跡が濃くなっている。


「(お嬢、大丈夫か?俺でもこれはちょっときついんだが。)」

「問題ない・・・とは言えないけど、耐えられなくはない。」


書斎の中に充満する悪意の痕跡から書類を引っ張り出してくる。

どうやら、ジンの言っていたヤマニ家の不正に関する書類なのだろう。


「これと、これと・・・これ・・・あ、何か本棚の奥からも痕跡があるね。」


書類は後でジンが確認しやすい様に書斎の机の上に置いて・・・

本棚の奥にあった仕掛けを動かす。


ゴゴゴ・・・


何かロールプレインゲームを彷彿とさせる仕掛けだなぁと思いつつ、奥に行ける様になったので私はさらに奥へと進む。


「・・・ゲンさん、男の人ってやっぱりこういうの好きなの?」


お約束の物がボロボロと出てきた。

でも、奥に痕跡が伸びており・・・


「(俺は知らんが・・・お嬢、まぁ突っ込んでやるなよ。今は屋敷の探索が優先だな。)」

「そうだね。」


とりあえず、無視する事にしてさらに奥へ。


「これは・・・」


最奥と思しき部屋は真ん中に机があるシンプルな部屋だった。

その上には書類がつまれており、私は一番上に載っていた書類を見た。


「!!」


当たり・・・らしい。

ヤマニ家が秘密裏に冒険者ギルドからテイマーを引き抜いていた事と一般人に冒険者登録をさせて、その中からテイマーを引き抜いた。


一般人に冒険者登録をさせたのは人数が足りなかったからとは推測できる。

しかし、理由は分からない・・・何の為に?


「先輩!ここにいましたか。すぐに外へ出てください!!」

「外?」


セルリアが秘密の小部屋に入ってきて、外に出る様に促した。

そういえば、外が騒がしい。



外が騒がしかった理由は空に映し出された映像が原因だった。

その映像は前ヤマニ家当主クラウズが大声で演説をしていて、後ろにはクラウズの私兵らしきものが展開されていた。

場所はおそらく西の荒野だ。進行方向からグランナディアへ向かっていると推測する。


「諸君、我々は国王に騙されていた!!国王は魔王と手を組み、私クラウズ=ボルドール=ヤマニを当主の座から引き剝がした!口封じである!!しかし、私はその横暴には決して屈しない!!故に私は王国への反逆を始める!!私は国王の様に国民を騙す様な事はしない!!私と共に歩む者には相応の報酬を用意しよう!!」


オオオォォォ!!


クラウズに扇動される王国の国民が一部王城へ向かっていた。

国民の暴動自体は・・・


「モニカ、国民を傷つけない様に王城を守れる?」

「それで良いのか?」

「うん、クラウズを捕えれば収まるだろうから時間を稼いでくれるだけで大丈夫だよ。」

「うむ、インビジブルウォール!」


とりあえず、見えない壁を王城周辺に張ってもらい誰もケガをしない様にして貰ってと・・・


それにしても・・・おかしい・・・


クラウズが王国に恨みがあるのは仕方ないとして、このタイミングで動き出す理由が分からない。

そして、私達がモニカと共闘関係にあるのを知っていて繋がりがある人物は一人しかいない。


「俺をどうするつもりだ?」


ソラルは捕縛されていたものの、何か上から目線で私を睨んでいる。

目的地は分かっているから、別に吐かせる必要はない。


「まぁ、罪は償ってください。それ以上は私から言う事はありません。」

「・・・親父が言う様に本当に嫌な奴だなお前は。」


兵士が先導してソラルを連行していった。

ジンはため息をつきながら、その一部始終を見ている。


「ジン、ありが・・・あたっ!」


私がジンに話しかけると、頭にチョップされた・・・

え?え?え?・・・


すると、ジンはやれやれと言いたそうな表情で私を見つめる。


「お前なぁ・・・どうしてこういきなりなんだよ!!いきなり振られても分かるか!」

「え、いや・・・ジンなら分かるかなぁって。」

「おいおい、俺は超能力者じゃないんだぞ。とりあえず、モニカがヤマニ家の不正に関する資料を用意してくれたから何とかなったが・・・とりあえず、今は西の荒野だ。セルリアさんから話は聞いた。グランナディアとテイマー、お前ならこの2つを聞いて分かるだろう?」


まさか・・・クラウズの目的って・・・

王宮への暴動はおとりで、目的地はグランナディア。

テイマーを連れているのは獣人に主従契約を結ばせる為・・・そんな事をすればまた王国とグランナディアで戦争が始まる。


「まぁ、あくまで可能性だ。しかし、あまりにも出来すぎているから気をつけた方がいいな。」

「そうだね、気をつけるよ。モニカ、西の荒野へお願い出来るかな。」

「うむ、任せておくが良い。」


モニカの転移魔法のおかげであっという間に西の荒野へ到着する。

転移場所はクラウズの布陣位置から西に数キロの地点。

目を開くと、隣にユキとルークがいた。


「ジェシカさん、僕たちでこの暴走を止めましょう。」

「うん。何が目的かは分からないけど、今できる事をやるんだ。ユキもお願いね。」

「大丈夫だよ。君は僕が守る。」


グランナディアへ向かうクラウズの私兵団はおよそ数百程度ではあるものの、テイマーだから何かを使役している可能性はある。


「ゲンさん、テイムコネクトを切り替える前に1つアレをやるよ。」

「(よし、あれだな。)」


私は意識を集中させ、自分の周辺数キロの悪意を感知する・・・


「明鏡止水!・・・クラウズは本陣にいる!」


私は陣の中にいた悪意を感じ、そこにクラウズがいると予想する。

そして、ユキとテイムコネクトをする為に一旦解除した。


「ありがとう、ゲンさん。後は私達にまかせて。」

「まぁ、無茶はするなよお嬢。」

「うん。ユキ、テイムコネクト!」


私はレイピアを抜き、クラウズの陣を見つめる。


「僕も忘れないで下さい。」

「もちろんだよ。行こうルーク。」

「はい。」


ふたたび戦争を起こさない為にもここでクラウズを食い止める必要があった。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ヤマニ家を調査し、今回の王都での事件にヤマニ家が関わっている事を知ったジェシカ。


私兵を連れてグランナディアへと向かうクラウズを止める為に、ジェシカは西の荒野へと行きました。


設定補足:モニカ

花の章での共闘でモニカは国王との謁見を除いて、魔王城にいます。

勇者とモニカで情報を共有しやすくする為に、ジェシカ達はモニカとはすぐに連絡が取れる魔法が込められたアクセサリを付けています。

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