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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
花の章
288/309

84、ロッソの異変 (2)

夜の闇が包む中、星明りの下地図を確認しながら北東へと進めていく。


「ジェシカさん。」

「どうしたの、ルーク。」

「北東に大空洞があるという事でしたが、黒龍はどうして大空洞に向かうのでしょうか?」


ずっと夜であるロッソ周辺なら洞窟に入る必要はなさそうだけど・・・


ロッソ北東の大空洞


大空洞は地下に伸びているらしいが、下に行くほど闇が濃く行く道を塞いでいるように見える。

壁はむき出しの岩肌、床も岩肌の中に所々水たまりの様なものがある。


「・・・これは血の臭いかな。」

「えっと、ジェシカ大丈夫?」


心配そうに顔を覗き込むユキ。

私がホラーじみたものが苦手なのを良く知っているからだろう。


「うーん、今の所は大丈夫。何というか明るくはしたくないかなって。」


鼻につく獣臭さと鉄の様な臭い・・・暗くてはっきりとは見えない。

ただ、臭いからして大空洞を埋めるものではなく、壁とかに飛び散っているのが原因だと思うので壁に手を当てて進むのはやめておこう。


このあたりに黒龍はおらず、周辺はこんな状態なので黒龍が獲物を捕食した場所かもしれない。

夜の闇に包まれた場所である程度視界が慣れてきた事もあるので、このまま進んで行こうと思う。


「ユキ、準備は良い?」

「いつでも。」

「テイムコネクト!・・・あれ?」


いつものテイムコネクトとは少し違った感覚がある?

違和感と言って良いのかな?・・・ほんのちょっと調子が良い。


「(どうしたのジェシカ。)」

「いや、何か調子が良くて。」

「(まぁ、良いんじゃない?別に体調が悪いわけじゃないんだし。)」

「そうだね、行こうか。」


言われてみると、調子が良いくらいだからとりあえず良いのかな。

私は気にせずに奥へと向かう事にした。


奥からは何かモンスターの断末魔の叫びが聞こえてくる。

この辺も変に明るかったら怖がっていたんだろうなと思いながら先に進む編成を考える。


「奥に何かいるのは分かったから、編成を変えよう。私が前衛に立つから、ウィルを中衛、ルークに後衛と殿を任せるね。」

「分かりました。」

「退路の確保は任せてください。」


奥へと進んで行くと断末魔の叫びはさらに大きくなる。

進んでいる間も血生臭い臭いは変わらず、私たち以外に生きているものに遭遇していない。


「何なんですかねここ。さっきからモンスターの肉片とか血みたいなものは残っているのに、生き物の気配もない。」

「確かにウィルさんの意見も一理ありますね。確かここって黒龍たちが巣にしている所だったんですよね?」


確かに奇妙だった。

生態系の縮図ともいえるダンジョン(朧月の塔)で黒龍がいた事、ロッソで黒龍がここを目指していると聞いた事、そして・・・黒龍の姿がここにはなく、血や肉片だけしかない状態に。


ただ、私の中では不安に思っている事があった。

この状況はあまりにも似ているのではないだろうか?


「想像したくはないけど、もしかしたら・・・。」

「どうしたんですか、ジェシカさん。」

「うん・・・ルークにも話しておかないとね。」


私はルークにモニカと遭遇した時の事を話した。

王都でも話はしていたものの、それはモニカとジュリアと神殺しとの遭遇であって

神殺しがどういう経緯で生まれた存在なのかには触れていなかった。

おそらく王城地下の資料には載っているかもしれないけど、私達は資料を見ずに突き進んでいるので念の為・・・


「なるほど、この状況が天然の蟲毒になっているのではないかと。」

「うん。ロッソにはかなりの数の黒龍がいたと思うんだ・・・そして、その黒龍たちはここを目指した。だけど、ここに来るまでで黒龍との戦闘は無かった。考えられるとすればここで黒龍たちが殺し合いをして、負けた方は捕食される事を繰り返していたんじゃないかって・・・!!」


私が話をしていると、奥からうなり声が聞こえてきた。

更に遠くから岩が飛んでくる。


「ブラスト!」


飛んでくる岩にブラストをぶつける事で威力と速度を落とし、岩は落下した。

気のせいかもだけど、ブラストの威力が上がったような気がする。


グルルルル・・・・


岩を飛ばしてくる攻撃と大きく発達した前脚、これはロッソで報告のあった個体だった。

私達に当たらなかった事を確認すると大きく前足を上げ、私に向かって飛び掛かってくる。

大きく振りかぶる攻撃で問題なく躱せた私はウィルとルークに指示を出す。


「ウィル!私とルークで注意を引くから、ルークの後ろに。」

「はい!」

「ルーク!私は右脚、ルークは左脚への攻撃でタイミングを合わせるよ!ライトニングピアス!」

「レーヴァテイン!」


私は黒龍の右前脚、ルークは黒龍の左前脚を狙う。

さっきの投石攻撃や前脚を使う攻撃から発達した前足は攻撃の手段であり起点・・・そして、弱点になると推測した。

攻撃は当たったものの、特に聞いている様子はなく黒龍は激昂しだした。


「狙い通りだね。後は私が左手を挙げた時にウィルは黒龍を拘束して!ルークは引き続きレーヴァテインをお願い!」

「分かりました。レーヴァテイン!」


天井に向けて矢を放つルーク。

天井に火球が発生して、そこから黒龍に向けて炎の矢が射出される。


威力こそ低いものの、的確に黒龍の左前脚に当たっている。

炎の矢は左前脚に刺さるものもあれば弾かれるものもあり、それなりにダメージは通る様だ。


「それなら、ライトニングピアス!!」


ガアアアアァァァ・・・!!


私は黒龍の右前脚を雷の突きで床に縫い付け


「ウィル!」

「はい!ソーンホールド!!」


ウィルが地面に手を当てると、黒龍の足元から無数の蔦が伸びて黒龍を縛り付ける。

そこから私は黒龍の右前脚を縫い付けていたレイピアを抜くと両前脚を捉え・・・


「水芯一閃!!」


水の刃が黒龍の両前脚を切り落とした。

これで簡単には逃げられないはず・・・


しかし、私の安心は次の瞬間には打ち砕かれた。


「ありがとう、そいつは活きが良かったみたいで助かったわ。」


聞き覚えのある声に私が視線を戻すと、剣が黒龍の脳天に突き刺さる。

その剣はバラの意匠がされた美しい細身の剣・・・持っていたのは一人しかいない。


「どうしてジュリアがここに!?」


そう、私たちの目の前にジュリアが現れた・・・


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ロッソ北東の大空洞へと向かうジェシカ達でしたが、そこはジェシカ達の予想に反して黒龍の気配は少なく断末魔の叫びと血と肉片しかない場所になっていました。

奥で報告のあった腕の発達した黒龍と戦う事になったのですが、とどめを刺そうとした瞬間・・・ジュリアが先に黒龍へとどめを刺しました。

ジュリアの目的とは・・・。


設定補足:魔王軍の侵攻

この時点で魔王軍は魔王城近くで陣を展開しており、他の国への侵攻は行っておりません。

これにはもちろん理由があります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 戦闘の描写がわかりやすくてスラスラ読めます。これからもがんばってください!
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