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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
27/309

27、雪狼攻略は黒と一緒に (2)

スノーウルフの群れに囲まれる。


「やるしかないのか・・・。」


余裕そうなレイと違い、私は少し迷っていた。

その時、遠くから狼の吠える声が聞こえる。


獣の走る音がどんどん近くなっていき、1頭の狼がこちらに来た。

大きさは通常のスノーウルフの2倍ほど。ボス狼と言っておこう。


「銀髪の女よ。お前が山を荒らしている人間か。」


狼が喋ったっ!?

私は荒らしているわけでもないので事情を話す事にした。


「私がここに来ているのは山の調査です。あなた方スノーウルフが王都の近くで目撃された事もあり、調べているのです。」

「調査に来ただけで荒らすつもりはないと。」

「はい。」

「だが、お前が来る事でここの同族は気が立っている。」


その視点でいうと荒らしている事にはなるかな。

周囲の狼が吠えて騒がしくなっていく中、ボス狼が吠える事で一喝する。


「まぁ、お前には何度も同族の追跡から逃げきれているという実績を評価して・・・私が勝負をしよう。お前たちは手を出すなよ。」


周囲の狼が騒ぎ出し、その中の一匹が襲い掛かって来た。


スパッ・・・


次の瞬間には真っ二つに斬られた狼が転がる。

レイが狼から私を守ってみたいで、抜身の黒剣が一瞬だけ見えた。


「だから手を出すなと言ったのだ。まともにやりあってもそこの黒髪の女には勝てないから銀髪の女の話を聞いているというのに・・・。さて、銀髪の女よ私との勝負を受けるか?」

「私が勝てばおとなしく調査させてくれるなら受けるよ。私の名前はジェシカ。あなたは?」

「ジェシカか。私には名前がないな・・・好きに付ければいい。但し、私に勝てればなっ!!」

「ユキ、テイムコネクトっ!」


ボス狼はジェシカに襲い掛かる。

牙を回避するジェシカの動きに合わせて・・・


「アイスアロー!」


ボス狼の氷の魔法の追撃が入る。

この魔法は狼から逃げている時に狼がよく使ってくるので慣れている。

レイピアで氷の矢を弾き、魔法の効果を打ち消した。


「面白い武器を持っているな。これならどうだアイススモーク。」


ボス狼から噴き出る氷煙が視界を遮る・・・


「これも氷の魔法だから・・・」

「(アレやろうか)」


体勢を低くしてレイピアを地面に刺した。

そして、周囲に風が巻き起こり氷煙を吹き飛ばす。

ジンと戦った時に使った技だ。


更に、氷魔法を使おうとしたボス狼の油断をつき首筋に刃を向ける。


「勝負あったね。」

「殺せ・・・」


ボス狼は観念して、私に殺す様に指示する。


「私が勝ったのに、なんであなたが指示するんですか。そもそも、無駄な犠牲を無くす為に私に決闘申し込んだのだから、殺すなんて本末転倒な事はしません。」

「くっ・・・」


私はレイピアを収めて、腕を組む。


「あと、名前付けないとね。うーん。じゃあ、あなたの名前はグラースで。」

「・・・勝手にするといい。」

「じゃ、お言葉に甘えて。よろしくね、グラース。」


すると、私とグラースに光の輪が発生して光の糸につながる。


「契約した・・・ね。」


この契約の条件が良く分かっていないので、未だに慣れない。

周囲の狼は・・・あれ?おとなしい??


「ジェシカ、お前が狼たちの新しいボスになった。」

「・・・はい?」

「もう一度言うが、ジェシカよ。お前が私に勝った事で狼たちのボスに・・・」

「いや、そうじゃなくて・・・状況の整理が追いついていないだけだよ。」


予想とは違ったけど、これで洞窟の調査は出来る様になったんだ。

あ、そうだ。

私は息を吸ってから大声で周囲の狼たちに伝える。


「みんなっ!山の調査をお願いできる?」


狼たちは吠えてから、散り散りに山を調べる。


一時間後・・・

集まった狼たちから情報をまとめる。

山の中腹の洞窟が異質な流れが発生していて、狼たちは近づけなかった事。

王都に来ていたのは洞窟周辺を縄張りにしていた群れだったそうだ。

話を聞きながら、報告書をまとめていった。


「洞窟内部に狼たちですら近づけない何かがあるのか。狼たちが王都に流れた理由はこれで確定し様なものだね。」

「ジェシカ、このまま洞窟調査をする?さっきからヒマでヒマで・・・」


ここは・・・一度戻ろうかと思った。

狼たちから貰った情報で作った報告書がたまっていて、整理しておきたかった。


「いや、レイ。一旦ジンに報告しておこう。狼たちが王都に来なくなる事が分かれば作戦も変わるんじゃないかなってね。」

「うーん、そういうものなの?」

「まぁ、ジンからは突っ走るなとは言われているし。」

「・・・仕方ないね。」


私が理由を話すとレイはしぶしぶ戻る事に了承した。

私達が王都に戻ろうとすると、グラースが私に声をかける。


「ジェシカよ。私が王都に行くのは問題があるだろう。」


・・・言われてみると確かに。

王都の緊急対策が発生した理由がスノーウルフの王都接近だからね。


「これを渡しておこう。」

「これはブレスレット?綺麗だね。」


グラースから渡されたのは装飾の施された透明のブレスレットだった。


「私はここで狼たちが王都に行かない様にする。そのブレスレットを使えばいつでも私と交信できる。」

「へ―、これは便利だね。分かったよ、困った事があれば相談したりしても良いかな?」

「・・・好きにすればいい。」


狼たちとの縁も出来て、スノーウルフの脅威は沈静化する事となった。

次は洞窟の攻略になる・・・


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

グラースとの契約によって洞窟内の調査が可能になったジェシカ達はそこで・・・

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