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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
24/309

24、親子の絆は吹雪の様に (2)

ジン達の謁見に私達も同行する。

王様は私達を見るなり感心していた。


「ジェームス卿にも青の勇者の協力要請を頼んでおいたのだが、仕事が早いな。」

「ジェシカ、誰だ?そのジェームス卿って。」

「しっ、今は謁見中だから。後で説明するから静かにね。」


王様の謁見中でもお構いなしのジン。

不敬罪に問われかねないので、ジンには謁見の後で説明する事を約束した。


貴族街で使っていない屋敷を解放してもらい、ジン達と共同で使う事になった。


「ジェシカお嬢様!」

「ナル?どうしたの??」

「ジェシカお嬢様のサポートで来ました。・・・あの、そちらのかっこいい男性はどなたですか?」


ナルの指摘で隣を向くと、いつの間にかジンが隣にいた・・・


「お、そこのお嬢さんは分かっているじゃないか。俺はジェシカのこい・・・イテテ、何するんだよ。」

「いや、変な事言いそうだから。ナル、この人は白の勇者のジンさんだよ。」

「白の勇者様ですか。ジン様、ジェシカお嬢様の事をよろしくお願いしまひゅ・・・おひょう様、何ひゅるんですか・・・。」

「いや、ナルが変な事を言いそうな気がして・・・。」


私は変な事を口走ろうとするジンとナルを止めた。


屋敷の広間に一同集まった。

私とユキとシノブの青のメンバーとジンとアオイとアキラの白のメンバー。


私達を見て、アオイとアキラが首を傾げている。


「アオイ、アキラどうしたの?」

「この間一緒だったシノブ君は?」


・・・あ、紹介しないとね。


「あの時はずっと人間に変身してたからね。シノブ、挨拶しようか。」

「アオイさん、アキラさん今回もよろしくお願いします。」


シノブは梟の姿であらためて挨拶をした。


「わぁ、綺麗な羽。ジェシカちゃんとお揃いだね。」

「美少年も良かったけど、かっこいいね。」


アオイとアキラにも今の姿を受け入れられていた。


「シノブ、分かっている人にはちゃんと分かるんだよ。」

「うん。」


あらためてシノブも認められている事が分かって喜んでいる様だ。


「で、ジェシカ。忘れているかもしれないが、ジェームス卿って誰なんだ?」

「・・・忘れてくれるかと思ってたのに。」

「甘いな。俺の愛はその程度では・・・。」

「最近まで会った事のないお父さん。」


あえて、会話名の中でさらりと言うと


「はぁ!?」

「えぇぇぇぇっ!?」

「えっ!?」


・・・やっぱり驚かれた。


事情を軽く話すと3人はそれぞれ納得する様子を見せていた。

同情して欲しいわけでもないので、その対応はとてもありがたかった。



お互いに少し近況報告をしあった後

私はジンと話しながら北門へ移動する。


「まずは騒がしくなった理由の調査からかな。」

「そうだな。・・・といっても、発見された魔物が本来なら更に北に進んだ山に生息するスノーウルフの大群だから、山の調査になるな。」

「あ、そこまで分かっているんだ。」

「まぁな。ジェシカ達にばかり先行させるのも何か悪いし、今回は砂漠の国の時みたいに突っ走るなよ。」


うっ・・・ジンに痛い所を突かれる。

シノブとテイムコネクトしてササッと行く気満々だったので。

ちょっと突っ走り過ぎてたかな。



北門に到着すると緊張感が漂っていた。


「これがスノーウルフの資料ですね。」


対策本部に入ると資料を渡された。

北の門の街には対策本部が作られており、王都のギルドから資料が提供されていた。

スノーウルフは群れを成す氷の魔法を使ってくる狼のモンスターで、大きさは1m前後の比較的小型だが群れを成す事が多い。

はぐれ個体が周辺の森に出る事はあるらしいが、基本的に山を生息地にしている為群れが周辺の森で出る事はない。

ところが、最近山よりの王都周辺の森で群れが確認されており

先ほど外壁近くまで来ていたため緊急措置をとったそうだ。


スノーウルフの脅威は群れでの行動と氷の魔法。


「氷の魔法って厄介でな。アキラの使っていた氷結魔法覚えているか?」


確か、遺跡探索でアキラが使っていた・・・


「あの時戦っていた蛇の動きが少し緩くなっていたよね。」

「よく見ているじゃないか。理屈は良く分からんが氷の魔法を使うと、空間に作用してその魔法の効果内だと運動能力が低下するんだ。」


そんな効果が・・・あれ、そうなると・・・


「察しがいいな。ジェシカ、お前とスノーウルフは相性が悪い可能性が高い。」


先行を禁止したのは私の事を思ってだったんだ。

少しジンの心遣いに感謝としていると、ユキがジンに話しかけた。


「ジンさん。」

「ん?どうしたユキよ。」

「ジェシカの持っている青の武器なんだけど、魔法も切れる剣なんだ。」

「物理的な切断って事ではないと?」

「そうだね。」


・・・え?


「ジェシカも「え?」って顔しないの。忘れたの?以前に状態異常を打ち消した事。状態異常の他にジンさんの鑑定も打ち消していたでしょ。あれはジェシカにかかっていたものを剣で切ったんだよ。」

「ほう、ジェシカの青の武器にそんな効果が。そうか・・・じゃあ決まったな。」


ジンが私の肩に手を当ててニコリと笑う。


「え・・・。」

「今は王都の防衛の為に少しでも情報が欲しい。お前の得意分野を最大限に生かそうではないか。」

「それって、もしかして・・・。」

「ジェシカ、スノーウルフを含めた周辺の森と山の情報を収集してきてくれ。」


えぇ・・・


「さっきは先行するなよって言ってたのに。」

「いや、突っ走るなと言ったんだが。それに対策ができるなら話は別だ。ジェシカ、お前の情報収集能力が必要なんだ。」

「分かった。こっちは任せたよ。」


私達は情報を求め、山を目指す。


(続く)


最後まで見ていただきありがとうございます。

今回は一旦、ジェームス卿の件はおいて王都防衛の為の情報収集に出ます。

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