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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
20/309

20、冒険者を望む君に (3)

3日目の東の森での試験に向けて、セルリアを家に迎えた。


「ここがジェシカさんの家・・・。」

「いらっしゃい、セルリアさん・・・なんてね。」


そういえば、お客様を迎えた事なかったなぁ・・・と驚いているセルリアを見て思った。


「おかえりなさいませ、ジェシカ様。そちらの方がセルリア様ですね。お部屋の準備は出来てますよ。」

「アルマ、ただいま♪流石だね、話が早くて助かるよ。」


アルマにセルリアの使う部屋を案内してもらい、私は応接室で次の試験の準備を進めた。



セルリアが一息ついてから、応接室で三日目の試験内容を伝える。


「三日目の試験は私のエスコートをお願いします。」

「???」

「・・・ですよね。では、こちらのマップを。」


私は東の森のマップを広げる。そして、上にのせた駒を動かしながら説明する。


「私の家から、東の森にあるチェックポイントを通って私を無事に家に帰してください。」

「そういうことですね。ちなみに何か制限はあるのでしょうか?」

「いいえ、セルリアさんが持てる限りの事で対応していただければ問題ありませんよ。」

「分かりました。」


明日に備えて、アルマにはセルリアがベストな状態で挑める様に接客をお願いした。



夜・・・

自分の部屋で明日の準備をしているとドアがノックされた。


「どうしたのアルマ?」

「セルリア様がジェシカ様と少しお話をしたそうだったのでお呼びしました。」

「分かったよ。」


セルリアは応接室で明日の試験で考え事をしているみたいで、私は部屋に入った。


「あ、ジェシカさん。」

「セルリアさん、根の詰め過ぎは良くないですよ。」

「ジェシカさん・・・ありがとうございます。」


セルリアからいきなりお礼を言われた。私が首を傾げるとセルリアは話を続けた。


「実は、ギルドマスターさんに試験官をジェシカさんにお願いしてほしいと言ったのは私なんです。」


あぁ、だからギルマスはあんな事言っていたのか。


「私の職業がテイマーと聞いて・・・絶望した半面、希望もありました。冒険者の中で不遇職扱いされていますが、ジェシカさんみたいに活躍されている方もいる。なので、是非ともジェシカさんにご教授願いたかったのです。」


職業は冒険者登録の際に強制的に決定される。(この世界の神様が決めているのだろうか?ちなみに宿屋などの職業とは別の扱いになっている。なので、ギルドでの職業がテイマーであっても宿屋を開業する事は出来ます。)

そして、その職業に合わせたスキルか魔法が一つ貰える。

テイマーの場合は大体“主従契約”なので強力な生き物との契約は必須になり、そこが不遇職扱いされている理由なのではないだろうかと推測します。

ユキが近くにいたし、不遇云々を考える暇なくて必死だったからなぁ・・・そういえば、私は何を貰ったのだろう?


「私、実は好きな人がいるんです。同じギルドで活躍されているレナードさんに・・・少しでも近づきたくて・・・」


レナード・・・はて、どこかで?

あ・・・え、あの奥さんが二人いた剣士の??


「え、レナードさんって奥さんが二人いますよ?」

「もちろん、知っています。」


・・・大丈夫なんだ。

セルリアの表情は恋する乙女のそれで、私は思った事を聞いてみる。


「セルリアさんは自分だけ大事にしてほしいとは思わないのですか?」

「はい。こ、子宝を授かるのも大変ですし・・・結ばれるならそこは拘る必要はないかと・・・。」


セルリアは頬を赤くする。

セルリアなら問題ないんじゃないかな。優秀なテイマーだし。

だけど、希望的な言葉はセルリアの為にはならない・・・


私が出来る事は・・・


「そうなんだ。セルリア、明日もがんばろう。」

「・・・!!はい、頑張ります。」


只の後輩冒険者ではなく、セルリアという一人の冒険者として私が出来る事をしたいと思った。



試験三日目:家の前


「セルリア。」

「はい、ジェシカさん。」

「ちょっと試験内容を変えるよ。」

「え!?」


セルリアは驚いていた。


「今日は私が出来る事をセルリアに叩き込んでいくよ。ユキ、テイムコネクト。」

「え、ジェシカさん・・・その姿は!?」

「まぁ、私の戦闘状態・・・的なものかな。セルリア、ビシバシ行くよっ!!」

「ハイっ!」


東の森に入ってからはひたすらセルリアにダメ出しをしていった・・・

本当に細かい所のダメ出しだけど、セルリアはちゃんとついていこうとしている。



そして、夕方・・・

家の前で仰向けに倒れるセルリアがいた。

かなりきつい内容だったので、肩で息をしている。


「ハァ、ハァ・・・。」

「私が出来る事はセルリアにやってきたから・・・これから頑張ってね。」


私はセルリアに手を伸ばして


「はい。」


とセルリアは体を起こして私と握手をする。

頑張って、セルリア。



数日後・・・


「ジェシカ様、冒険者ギルドから手紙が来ていますよ。」


アルマから手紙を受け取り、中身を確認する。

ギルマスからのお礼の手紙で、セルリアのギルド活動報告が一緒に入っていた。


「セルリア、頑張っているみたいだね。冒険者ギルド内でジェシカの再来と言われているかぁ・・・うーん、それは良い事なのかな?」

「え、そのつもりで叩き込んだんじゃないの?」

「ユキと同感。」

「いいや、一人でちゃんと頑張れる様にしただけだよ?」


ユキとシノブはヤレヤレといった表情で私を見ていた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ジェシカの試験官話、完結ですね。

セルリアの恋、成就すれは良いですね・・・


設定補足:盗賊ってあるの?

結論から言うと犯罪者としての盗賊はあっても、職業としての盗賊は存在していません。

理由は罠回避や索敵等の技能的なものはスカウトもしくはテイマーが代用しているから。

強い動物を使役できなくても動物次第ではダンジョン攻略方面に有能な力を発揮するので、ギルド内でのテイマー不遇説については考え方次第ですね。

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