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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
199/309

97、世界の澱み (2)

ジンが戦闘を指揮して、こちらから攻撃を仕掛ける。


「アオイ、光属性魔法で攻撃を!俺とアキラとジェシカはアオイを守るぞ!!」

「分かったわ!」

「任せておいて。ユキ、テイムコネクト!グラースも援護よろしくね。」

「あぁ。」


黒龍を捕食している今なら隙をつけるはず・・・

アオイが光属性魔法を放つ!


「ライトバレット!」


光の弾が神殺しを貫くが・・・手応えを感じない。

糠に釘じゃないけど、確かに魔法が当たっているはずなのにすり抜けていく感じだ。


「まだまだ行くよ!セイント・・・」

「アオイ、危ない!!」


アオイの追撃に対して、神殺しから何かがアオイに向かって振り下ろされる音を感じた私は咄嗟にアオイを抱き寄せてその場を離れる。


次の瞬間・・・


大きな音を立てて、アオイがいた地面が巨大な黒龍の前脚がめり込んでいた。


「た、助かったよ。ジェシカちゃん。」

「うん、それにしても・・・一体どこから攻撃してきたんだろう?」


よく見ると、神殺しから上に向かって液状に伸びた体から生えている・・・そして、地面を殴った前脚は役目を終えると液状になって戻っていった。


「何なんだ・・・あれは。」

「ふむ、あれはダークマターじゃな。」

「ダークマター?なんだそれ・・・って、何でお前がここにいるだよ!?」


ジンが神殺しを眺めてつぶやいていると、隣からモニカがパッと出てきた。


「お主たちの魔力は感知できるし、そこから転移魔法でパッとな・・・って、ちょっと話をさせぬか・・・グラビティ!」


モニカが隣に現れた瞬間、神殺しがモニカを狙ってきた。

目には見えないけど、神殺しに何か圧力がかかった様に見える。

確か、以前に見た重力を操作する魔法だ。


「・・・さて、続きじゃな。」


・・・神殺しも圧倒するモニカにはツッコミを入れず、話を聞く事にしよう。


「闇を好むスライムの上位種じゃよ。その特性は高い知能とコアを持たない・・・全にして個。こやつが黒龍化しておるのはちと厄介かもしれぬの。」

「いや、モニカ。さっきからおさえているんだけど・・・」


私はすかさずツッコミを入れた。


「今は奴の周囲に強力な重力をかけているからそう見えるだけで、足止め程度にしかなっていないのじゃよ。しかし、ダークマターは本来おとなしいはずなのじゃが・・・」

「それはモニカの中にある魔王因子に関係するんじゃないかな。神殺しになると積極的に黒龍を捕食しているみたいだから。魔王に対しても同じかもしれない。」

「ほう、わっちをエサと申すか・・・このスライムは。」


少しモニカの笑いが引きつっている。

モニカの情報のおかげで目の前にいる神殺しがどんなものかは見えた気がする。

元がスライムだから、黒龍の姿になっていないのだろう。アオイに攻撃してきたのは自己防衛で、正確にアオイやモニカを狙っている事から感知能力も高いと推測できる。


「さて・・・どうしようか。」


私は考える・・・


敵の性質を考えると一発でカタが付く攻撃がベストだ。

攻撃を捌かれてしまうとさっきみたいに反撃をくらうのは目に見えている訳で。


あとは、完成していないけどあの新しい魔法にかけるか・・・


これに関しては本当に賭けも良いレベルだ。実装も何も、発動すらしていないので・・・


「ううん、今やる事は賭けじゃない!」


私は無謀な選択肢を捨て、魔法で攻撃をする。


「ブラストレイ!」


風の光線が神殺しを貫くが、やはり手ごたえがない。

そして、反撃をしようとするがモニカの重力魔法でおさえられているので動きがかなり緩くなっている。


「モニカ。その魔法どのくらいまで持つ?」

「魔法を使うのは数日でも問題ないのじゃが・・・」


モニカの返事の途中で、神殺しに使っていた重力魔法が解ける。


「奴もそれなりに賢くなっていて、長くは持たぬの。」

「アオイ、アキラ。ドッペルお願いできるかな。やっぱり、あの魔法を完成させる必要がある・・・。」


神殺しには目がないけど、私達に殺気を向けており・・・いきなり体の一部を飛ばしてきた。


地面に刺さった体の一部は液体に戻る事なく、綺麗な音を奏でている。


キーンと洞窟に響く音・・・まさか・・・


「みんな下がって!!」


私は直感を信じて大声で叫んだ。

そして、私の直感は当たる。


直径3cmほどの棘が・・・地面ではなく、地面に伸ばした神殺しの体から私達を狙う。

ギリギリの声かけで何とか全員避ける事は出来た。

あれは音を利用した位置確認は宵闇龍の得意とする能力だ。

目撃情報はあったから、取り込まれていても不思議では・・・ふと、私はここでの最悪な状況を予測した。


「モニカ。」

「どうしたのじゃ?」


ここはちゃんと行っておいた方が良いと思った私はモニカに伝える事にした。


「モニカはアイツに絶対取り込まれないでね。捕食すると、捕食対象の能力が使えるみたいだから。モニカが取り込まれたら・・・たぶん、世界が滅ぶ。」

「そんな、過大評価じゃよ。ほっほっほ。」


モニカは笑いながら神殺しの攻撃を捌いている。

単純な強さから感知や転移と私達から見るとチートの塊だから、決して過大評価ではない。

今出来る手は色々試しては見るものの、どれも手応がなく反撃を捌きながら攻撃する事で手一杯だった。


神殺しを倒すにはあの魔法しか残されていない・・・。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

黒龍の巣の奥で神殺しと対峙するジェシカ達ですが、取り込んだ黒龍の力を使う神殺しの前に最悪のシナリオまで浮かんで来ます。


設定補足:ダークマター

闇を好む上位種のスライムで大きな特徴としてはコアを持っておらず、どんなに切り刻んでも元のスライムに戻ります。

識者の中には目に見えないほどのコアがあり、実際に見えているのは群体だと言う方もいます。

ただし、ダークマター自体が希少種でもある為に証明はされていません。

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