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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
18/309

18、冒険者を望む君に (1)

「ギルドマスターから?・・・冒険者の試験官依頼??」


家に帰った私に届いたのは冒険者ギルドからの手紙。

受けるのかはともかく、話を伺う事にした。


「今日はユキとシノブは休んでていいよ。」

「傘は用意しておいた方が良いね。」


雨が降るですと?


「失礼だなぁ。まぁ、断ろうかと思っているからすぐ戻るかな。」

「そうなんだ、じゃあお言葉に甘えて。」

「Zzz・・・」


ユキとシノブは家で休んで貰い、私は1人で街の冒険者ギルドへ向かった。



街の冒険者ギルド:ギルドマスターの部屋


「お久しぶりです。マスター。」

「お久しぶりですね、ジェシカ君。今日はユキ君たちはいないのですね。」

「はい、今日はゆっくりして貰ってます。」


ニコリとほほ笑むギルマスに私はあらためて質問する。


「あの私なんかが試験官をやって良いのでしょうか?」

「あなた以上の適任者はいないと思いますけどね。今のあなたは青の勇者で、冒険者だった頃も優秀な斥候で調査員でしたよ。あのウサギを抱っこしていた可愛い女の子がこんな立派になるとは思いませんでしたね。」

「あらためて言われるとちょっと恥ずかしいですね・・・。」


5年前・・・

この世界でユキと一緒に冒険者の道を進んだ時、試験官をしてくれたのがギルマスだった。


「とまぁ・・・話逸れそうなので、話を戻しますね。この方の試験官をお願いしたかったのですが・・・。」


ギルマスから渡された書類に載っていたのは・・・


「セルリアさん、女性・・・え、テイマー!?」

「ええ、あなたと同じですね。同じ職業から見て彼女の適性を見ていただけませんか?項目については別の紙に書いていますので参考にしてください。」


別紙を見ると戦闘、斥候、調査、採取、その他の項目がある。

試験期間は3日、西の草原から東の森までの範囲で試験をする。


西の草原は弱いモンスターが多い、駆け出し初心者なら一度は訪れる場所で危険度は東の森より低い。


「・・・でも、マスターも私の二つ名ご存知ですよね?」

「変わり者テイマーですか?いいんじゃないですか。」

「え、そんな適当な・・・。」

「項目に該当するものをチェックしていただくだけでも結構ですし、彼女の才能を発掘していただければグッドですね。」


サムズアップをキメるギルマス。

ここまでくるともう受けるしかないか・・・


「マスター、どうなっても知りませんよ。」


私は書類を整理して、セルリアの元へ向かう。



「まさか、私が使っていた部屋なんて・・・」


セルリアの資料は驚きの連続だった。

訪れた宿屋はかつて私が利用していた宿屋で、同じ部屋。


「こんにちは、おばさん。」

「あら、ジェシカちゃんじゃない。久しぶりね。今日はどうしたの?」

「今日はギルドの試験官でセルリアさんに用があってきました。」

「そうなのね。今日は部屋にいるはずだからどうぞ。」

「ありがとうございます。」


宿屋で受付をしているおばさんに声をかけて、セルリアの部屋へ。


「先輩になるわけだから、先輩として言葉遣いを気をつけないとね・・・こほん。」


どんな人なのかという期待と失敗しないかという不安でドキドキする。

そして、自分が使っていた部屋の扉をノックする・・・


「はい。」


落ち着きのある綺麗な声が部屋の中からした。

ドアを開けて出たのは少し引っ込み思案な感じの女性。

銀髪の少し長めの髪で後ろでまとめている。


「はじめまして、セルリアさん。今回試験官をたんと・・・」

「え、ジェシカさんですかっ!!試験官だなんて嬉しいです!」


私の顔を見るなりセルリアは興奮して

それはもう両手を掴まれてブンブンと・・・


「・・・あ、すみません。興奮してしまってつい。」


セルリアはハッとなりモジモジしだした。


「大丈夫ですよ。試験の話をしても良いですか?」

「はい。どうぞ、お入りください。」

「失礼します。」


テーブルに案内されて席につくと、必要な書類をセルリアに見せながら試験日程を案内した。


「試験内容ですが、1日目と2日目は西の草原。最終日が東の森で適性試験を行います。開始は明日の朝。迎えに来ますので準備をお願いします。」

「はい。」

「何か質問等ありましたら、いつでもして下さいね。」

「あの・・・。」


セルリアはおそるおそる手を上げる。


「はい。セルリアさんどうぞ。」

「どういった試験をするのでしょうか?」

「テイマーといっても得意分野というものはあると思いますので、戦闘面から採取までいろいろ見ていこうと考えていますね。そういえば、セルリアさんの相棒は・・・」


周りを見るけど、特にそれらしき生き物は見当たらない。


「今は散歩してまして、そろそろ・・・」


外からバサッと音がして窓をコンコンする音が聞こえる。


「あ、帰って来たみたいですね。」


セルリアはドアを開くと、入ってきたのは一羽の・・・カラスに似た黒い鳥。


「おかえり、クラウン。この子が私の相棒です。」


セルリアの右人差し指に乗って、私にカァと挨拶をする。

・・・本当にカラスにそっくり。


「こんにちは。では、こちらのクラウン君一羽が相棒という事ですね。」

「そうですね。」


テイマーは一人につき一体の主従契約が可能である。

まぁ、私はテイマーなのに主従契約出来ないのですが・・・


「そういえば、ジェシカさんの相棒は一緒ではないのですね。」

「今日はお休みですね。明日からの試験では同行しますのでその時に紹介しますね。必要な事は確認出来ましたので、また明日伺いますね。」

「はい。」


私は家路につく。


「さて・・・試験どうしようか・・・」


馬車に揺られながら、明日の試験について考えていた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ジェシカ、試験官を受ける。

他のテイマーさんと何が違うのか?セルリアの試験を交えてそんな話になります。

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