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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
175/309

73、アスカとソフィア (2)

飛んでくる光の弾をアキラは躱しながらアスカへと近づいていく・・・

それでも当たりそうな弾に対してはダークバレットを使い必要箇所のみ迎撃する。

その行動はアスカも計算外だったらしく、驚きを見せる。


「そんなっ!」

「予想通りね。」


そこから、アスカの懐に潜り込んだアキラは魔法を発動させる。


「ロン・ギヌス」

「その魔法はモニカのっ!?」


・・・しかし、アキラはアスカに攻撃はせずに

闇の槍を持ってアスカの周囲に展開された5本の光の線を叩き伏せた。


「えっ・・・!?」


相殺された闇の槍は消滅し、アキラの右手がアスカを捉え


「勝負がつきましたね。」

「・・・私の負けですね。合格です。」


・・・こうして、試練はアキラの勝利で幕を閉じる。

アキラは右手を降ろし、私とクロエは2人の近くまで駆け寄っていく。


「えっと、どういう事??」

「『どういう事??』って・・・ジェシカ、あなたのおかげなのよ。」


この戦いでアキラがどんな手を使ったのかよく分からなかったので、アキラに質問をするとそんな返答をされた。


「あなた言ってたじゃない、アスカさんは指揮者だって。基本的には指揮者は演奏が終わるまでは指揮台から移動しないものよ。つまり、魔法の砲台の状態だった。」


同じ場所から魔法を撃つ場合、いくら連射が効くとは言っても近くで動き回られる方が対処に困るというものらしく、そこでアキラは接近戦に持ち込んだらしい。


「アスカさんの光魔法を強化する魔法からの光属性魔法の3連続だったから、火力はあったけど私にはきちんと対処できたのよ。それに・・・アスカさんは元々、私達をコテンパンにするつもりはなかった。本気で蹴散らすつもりなら、わざわざ私が相殺できる属性の魔法で攻撃なんてしないから。」

「え・・・??」


・・・アキラの指摘に先程の戦いを回想してみる。

確かに、火と土に光属性の魔法とアキラが相殺させられる属性の魔法を使っていた。アスカは6属性の魔法を使いこなすと聞いているし、火力面で考えれば力勝負の方がアスカの方が有利だと思う。


しかし、アキラの説明は分かったんだけど・・・アスカは本気じゃなかった?

アスカの方を向くと、彼女は苦笑いをしながら答えた。


「アキラさんもジェシカさんに負けずに観察されていたのですね。はい、その通りです。」

「なぜそんな事を?」


アスカはその質問に答える。


「ヘキサプロピュライアの件ですね。あの魔法は失敗作でした。ですが、失敗作というのは簡単なのですよ。なぜなら、作った私がそう定義すればいいのですから。客観的な理由は基本6属性をバランスよくゆっくりと反応させる事で世界を破壊する力を生み出してしまう・・・なら、私がそう判断した材料などがあった方が良いと思いませんか?アキラさん、私と戦ってどうでしたか?」


そして、アキラに微笑むアスカ。


「そうですね、私もジェシカと同じ感想でした。魔法を操作するアスカさんの動き1つ1つにとても美しさを感じました。」

「面と向かって言われるとやはり恥ずかしいですね。」

「そして、それと同時に整っている・・・あえて悪く言うとすれば綺麗すぎるというのでしょうか。完璧を目指すあまり・・・周りが見えていなかった・・・。」

「はい。あの時の私はラピスだけに世界平和を背負わせるわけにいかないと思い、モニカを滅する魔法ばかりに目がいっていました・・・そして、世界が平和になったと思えば人々は争い出した。ヘキサプロピュライアの6属性融合自体は条件が厳しくはなりますが、この世界の人達が揃えば出来ますからね。ですので、悪用されない為にその当時の王様には失敗作として禁書に入れてもらい。相殺の認識を広めてもらう事にしたのです。」


・・・そういう事だったんだ。私はアスカとアキラの話を聞いて納得した。

相殺自体はこの世界では自然現象みたいなものだけど、魔法の射線を合わさないなどの考え方を広めておけば融合させようという考えは滅多に起きない。

現に、私は相殺現象を理解していたつもりが・・・あの魔法によって根本的に覆されたのだから。


「ありがとうございます、アスカさん。私はあなたが本当に作りたかった魔法を必ず完成させて見せます!」


アキラの意気込みにアスカは微笑んだ。


「次の世代に引き継ぐ事って、とても尊いものなんですね。アキラさん、期待していますね。そして・・・」


アスカが両手を掲げると、空中から木箱みたいなものが出てきた。

手に載った木箱は広げた両手のひらに収まる大きさで、中からゼンマイの様な物が出ている。


「これが朧月の塔の秘宝“月読の自鳴琴”になります。オルゴールを鳴らしている間、死者の言葉を聞く事の出来るアイテムと聞きます。注意しますが、ここで使用して下さいね。この塔から出るとアイテムは消滅してしまいます。」

「はい。」


アキラはアスカからアイテムを受け取ると、私とクロエが見やすい高さまで下げた。


「これが月読の自鳴琴・・・それじゃあ、呼び出す人なんだけど。」


私とクロエはソフィアさんで一致していたけど、アキラはどうなのだろうか?私が振り向くと・・・アキラは首を横に振った。

なるほど。神様も粋なはからいをするといいますか・・・


「ユキ、クロエ。準備はいい?回すよ?」

「はい。」

「・・・。」


ユキは返事なかったけど、大丈夫だろう。

私はオルゴールのゼンマイを回して、木箱の蓋を開けた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

アスカとアキラとの勝負はアキラが勝ち、あらためてヘキサプロピュライアについての話を聞く事が出来ました。

そして、手に入れた月読の自鳴琴の効果が発動します・・・


設定補足:白の勇者の得意魔法

光属性が得意になるのですが、今回の勇者召喚でジンの召喚の際にアオイとアキラが巻き込まれる事によって、本来の白の勇者の力は分割される形になります。


ジン・・・鑑定の魔法のみ

アオイ・・・火、土、光の属性適正持ち

アキラ・・・水、風、闇、氷の属性適正持ち


そして、白の勇者武器の特性として他の勇者武器の開放がされていないと本来の力は発揮出来ないので

他の勇者と比べると能力面が低くなります。(雪の章でそこまで活躍出来なかった理由はここにあります。)

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