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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
170/309

68、その思いに時効は無く (2)

セレスティナ城へ行く事に決まったものの、反応があるのは夜・・・

なので空いている時間はロッソの冒険者ギルドへ向かった。


ロッソの冒険者ギルドは王都程ではないものの、大きな建物だった。


「へぇ・・・ここが。・・・って、どうしたのユキ?」


隣にいたユキが目を点にしながら、私を見ていた。


「いや、いつもなら『ほえ~』とかやってそうだからさ。」

「まぁ、ここに来て驚きの連続だったからかな?」

「そうなんだ。冒険者ギルドには仕事に?」


首を傾げるユキにあの事をそのまま言えないので、セレスティナ城の件までは黙っておくことにした。


「うん、何か珍しいものでもあればね。」

「ふぅん・・・多分変わらないとは思うけどね。」


ユキも国を守る為に周辺のモンスターを倒していたらしい。

なので、ある程度は想像がつくらしいが・・・


ギルドの受付に話しかけると、私は受付の人にいきなり両手を掴まれた。


「あの、もしかして・・・青の勇者様ですかっ!?」

「えっ!?・・・はい。」


私はそう聞かれたので、少し驚きながら返答した。


「すみません、ちょっと興奮してしまいましたね。青の勇者様が来ていただけるとは思わなかったので感動してしまいました。」

「???」

「ここは元々青の勇者様が守っていた国があった場所。そう考えるとあまりここには来たくなかったのではないかと思いまして。」


あ・・・


私はちょっとユキの方を見ていると、少し落ち込んでいた。

これから私がやる事はもっとつらい目に遭わせるのかもしれないけど・・・


「そうですね。ですが、私も青の勇者ですので。何かお困り事あったりしますか?」

「流石は勇者様ですね。」

「あ、勇者様は恥ずかしいので、ジェシカと呼んでいただいた方が嬉しいです。」


勇者様って結構くすぐったい気分だったので名前で呼んでもらう様にお願いした。


「はい、ジェシカさん。最近ですと・・・そうそう、幽霊騒動がありますね。」

「幽霊騒動ですか?」

「セレスティナ城の跡地・・・今は観光名所として復元されているのですが、そこで夜な夜な金髪で碧眼の幽霊が出るそうなんですよ。」


偶然・・・ではない気がする。

私は受付の人に詳しい話を聞いて、問題解決の依頼を受ける事にした。


幽霊の出現は夜・・・幽霊が出る時はいつも歌が聞こえるそうだ。


「あの子がいたら除霊出来そうなんだけどね。」

「まぁ、アオイはいないから今回は私達でなんとかしないと・・・って、出来るよね?」

「ジェシカ、どうしてそんな不安そうなのよ。脚も何か震えているし。」


うん、それは私がホラー苦手なので。


「苦手なの・・・その幽霊とか骸骨とかゾンビとか・・・」

「ふぅん、ジェシカにも苦手な物あるのね。」

「もちろんあるよ。」


笑顔でアキラに返すと

念の為、ロッソにある教会から聖水を購入して夜に備える。


ーーー


夜になった・・・

ずっと夜の街なので、本当に時間感覚が分かりにくい。


「それでは、行きましょうか。」

「うん・・・。」

「ほら、あなたが行かないとダメでしょう?」


アキラに背中を押されながら、私はセレスティナ城へと向かう。


セレスティナ城は何処か主を待っている様な姿で夜空の下に建っていた。

・・・そう感じるのは私があの話を聞いたからなのだろうか。


「まぁ、普通のお城ね。」

「ふぅ・・・」


城を見つめていると、いつの間にか緊張が解れてきていた。


「目撃情報によると、城壁にある展望台だって。僕が案内するよ。」

「!」

「どうしたの?グラース??」


ユキが先導しようと前に出た時にグラースが反応する。

子犬からオオカミに変身して、鼻をヒクヒクさせている。


「・・・匂いだ。」

「匂い?」

「人間とこの間会ったモニカの匂いを足して様な・・・こっちだ。」


グラースの背中にユキが乗り、グラースが先導する。

どうやら、展望台に向かっているらしい。


「幽霊じゃないのかもね。一体何なのかな?」


流石に幽霊が匂いを出すなんて・・・ないと思いたい私は、幽霊の可能性は無い方向で話を進めようとしていた。


展望台にあがると、目の前に短い銀髪で碧眼の女の子が立っていた。

噂の幽霊とは全く違うのだけど、ユキの様子がおかしい。


「どうして・・・。」


唖然とするユキに気づいた女の子は振り向き・・・


「!!・・・会いたかったです、ラピス様。そして、今の青の勇者ジェシカ様。」


私に向かってお辞儀をした。


「はじまして、私は青の勇者ジェシカ。隣は白の勇者アキラとユキとグラースだね。あなたは?」

「私はクロエ。・・・本当にウサギだったのですね、ラピス様。」


クロエは屈託のない笑顔でユキに話しかけるが、ユキはどうも落ち着かない。


「どうして・・・君は人間だった頃の僕に似ているのさ。」

「それは私がラピス様とソフィアの子孫だからです。」

「そんな馬鹿な事が・・・」


ユキはクロエの話す内容が受け入れられない様だ。

子孫の方から会いたいと思っていた事には驚きだけど、話は聞いていたので私はすんなりと受け入れられた。


「・・・本当なんだよ。」

「ジェシカも何でそんな事を・・・」

「私は制御輪から話を聞いたんだよ。ユキには血の繋がりがある人がいるってね。もちろん、ユキにも思う所はあるだろうけど、まずはクロエさんの話を聞いても良いんじゃないかな。」


ユキにはちゃんと知ってもらいたいと思っていたので、私はそう伝える。


「分かったよ。クロエさん、君の話って何かな?」

「・・・ありがとうございます。ラピス様、ジェシカ様。実は・・・」


クロエは礼を言うと、ここで私達を待っていた理由を語りだした。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

セレスティナ城で出会うジェシカ達とクロエ。

ラピスの子孫と語る彼女の目的とは・・・


設定補足:聖水

水に聖なる祈りを込めて精製される水。

飲用から邪悪なもの滅するまで用途は幅広く用いられるが、精製してから時間が経つと只の水になってしまう。

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