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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
150/309

48、その魔法は終わりの魔法 (4)

遠くからだと良く見えなかったけど、近くで見たらその馬車は綺麗な装飾がされていて・・・

爆走している栗毛の馬が白馬ならシンデレラとかのおとぎ話に出ていても不思議じゃないくらいの物だった。


「くそっ、まだ追ってくるか・・・一体どうなっているんだ?」


馬車を扱う人も立派な衣装で・・・頭に獣耳が見える・・・グランナディアの人みたいだ。


「あの、大丈夫ですか?」

「え、あなたは・・・どうして馬車と同じ速さで・・・いや、今はそれよりも。ロックスネークだっ!!・・・何故かは知らないが、付け回されているんだ!!」


その様子から焦りとロックスネークから逃げているのが分かる。

まさか、こんな形で遭遇するとは思わなかったけど、罠が役に立ちそうだ。


「正面に氷の柱が見えますよね?」

「ん?あぁ、アレだな。」

「あそこまで馬車を移動してもらっていいですか?その間、私がロックスネークを迎撃します。ちょっと失礼しますね。」


爆走している馬車に手をかけて、屋根の上に上がる。


「・・・あなたは何者なんですか??」

「まぁ、そこは後にしましょう。ブリザードブラスト!」


私は馬車の屋根から追ってきている土の隆起に対して氷の魔法を放つ!

すると、氷を嫌ってか土の隆起は氷を避けて動き出し隆起が消える・・・


「やったのか?」

「どうやら、氷の魔法を嫌っているみたいですが・・・油断は出来ません。」


テイムコネクトを解除する。隣にスノーウルフが出てくると、馬車を操作していた人は驚いていた。


「!!・・・あなたは人間!?そして、オオカミ!?」

「それも後で話します。」

「分かりました。」


大蛇は氷魔法を嫌っているみたいなので、グラースには馬車の護衛をお願いする。


「・・・グラース、罠まで来たらこの馬車の真下に氷魔法を展開して。大蛇は私とレイで倒すから。」

「分かった、ジェシカ。気をつけるんだぞ。」



馬車は罠の場所に到着した。

馬車の屋根から飛び出して、レイに軽く話す。


「レイ、ロックスネークが来るよ。氷を嫌うみたいだから氷の柱の周辺が比較的安全みたい。」

「分かったよ。」

「ジェシカっ!」

「うん。ユキ、テイムコネクト!」


荒野の地中を何かが突き進む音が聞こえる・・・この音を出しているのがロックスネークらしい。

こちらに向かって音が次第に大きくなり・・・私を狙い、大口を開く。


「甘い!」


音で動きは見切れているので、回避する。

回避しながら見るその姿は、ベージュと黄土色を足したような色の凄くきめ細かい鱗の大蛇。

咄嗟にレイピアを抜き、すれ違う途中で本体に刃を当ててみる。


ザシュッ!


ロックスネークが柔らかいのかは分からないけど、刃は通る様だった。

切られた大蛇は怒りをこちらに向けて、普段は表さないという本体を地上に出した。


「で、でかいね・・・」


とぐろを巻き、私に威嚇する大蛇。10mはあるのではないだろうか、以前に戦ったオブシディアンナーガよりも大きい。

上を向いたかと思うと大蛇は私の方を向き・・・


「・・・予想通り毒液だね。」


毒腺から放たれる毒液を回避、そこに目がけて大蛇が噛みついてくる。


「それは、悪手だよ。」


毒液を回避する事を予測しての攻撃だけど・・・それは私にも予測できる訳で・・・

噛みついてくる毒牙を当たらない範囲で避け、牙を殴る。

爆発を加えた打撃で大蛇の牙はへし折れる。


痛みから私に距離を取る大蛇は、急に攻撃方法を変えてきた。

魔法で石を飛ばしてくるがレイは短剣で切り払い、私は風魔法で迎撃する。

しびれを切らした大蛇はレイに飛びかかり・・・


「あらら・・・」

「抜刀術、乾坤一擲」


冷静な判断が出来なかったのだろう・・・その雑な攻撃は一閃のもとに払われる。


頭部を横なぎに寸断された大蛇は力を無くし、荒野に崩れ落ちた。



「大丈夫ですか!」


とりあえず、ロックスネークの討伐は完了したので馬車へと駆け寄った。


「ありがとうございます、助かりました。」


馬車を扱っていた人からお礼と・・・


「どなたか存じませんが、助けていただきありがとうございました。」


馬車の扉が開いて、中から出てきたのはドレス姿の金髪の獣耳女性が姿を現した。


「初めまして、私はグランナディア第3王女のライラと申します。」

「!!・・・え、王女様ですかっ!!・・・ははぁ~」


私は咄嗟に数歩下がり土下座する。


「(ジェシカ、何やっているのさ。)」

「ユキ。しっ、王女様に頭が高いでしょ!?」


すると、クスクスと笑い声が聞こえる。


「ふふふっ・・・何をされているんですか。頭を上げて下さい。むしろ、助けていただいた私達こそ頭を下げるべきなのに。」


・・・思っていたよりフレンドリーな感じに私は驚いていた。


「お気になさらないで下さい、ライラ様。えっと、私はジェシカ。青の勇者で、ここには素材集めで来ました。」

「まぁ、青の勇者様ですか!?どうりでお強いわけですね。男性じゃないのが悔やまれますが・・・」

「??・・・どうされましたか?」

「いえ、私は青の勇者の恋話に憧れていまして・・・その、憧れますよね。お姫様のピンチを助ける王子様が出る展開は。」


モジモジしながらライラは話す。

なるほど・・・


「(そんなに良いものじゃないけどね。)」

「こら、ユキ。夢を壊す事を言わないの。」

「どなたかいらっしゃるのですか?」


私の言葉にライラは首を傾げていたので、テイムコネクトを解除した。


「あ、ウサギが。」

「こちらは、パートナーのユキ。私はテイマーで・・・」

「・・・。」


“テイマー”という言葉を聞いたライラは少し表情を曇らせた。

・・・あ、そうか。


「私は主従契約を結べないテイマーですから、安心してもらって良いですよ。」


ライラが表情を曇らせるのは、昔に王国とグランナディアで起こった戦争の理由が主従契約で奴隷制度の無いこの世界で獣人達の尊厳を奪う魔法だからだ。


「大変失礼しました。・・・あの、ジェシカ様。」

「ジェシカで構いませんよ。王女様にジェシカ様と呼ばれると恐れ多いと言いますか。」

「では、私の事もライラとお呼び下さい。ご相談ですが、王都まで私を護衛していただけませんか?」


ロックスネークの件も考えれば、ライラの提案も頷けるので


「素材を回収させていただけるのでしたら、大丈夫です。」

「はい。馬に無理させてしまったので、休ませてあげましょう。」


素材回収をした後、私とレイはライラの護衛をして馬車は王都へと到着する。


「ありがとうございました。ジェシカとレイのお話、とても面白かったです。またお時間ある時にゆっくり話をしたいですね。」

「帰りの護衛が必要なら声をかけてよ。私達ならいつでも構わないから。」

「では、是非そうさせてもらいますね。」


ライラの乗った馬車は王城へ向かう。

見送った後、私達は鍛冶ギルドへ向かいユーゴに素材を渡してから、屋敷に帰った。


「ただいま。」

「ジェシカ、あなたのおかげで『終わりの魔法』の解析が捗っているわっ!ありがとう。」


屋敷に帰るなり、上機嫌のアキラが私を出迎えてくれた。

どうやら『終わりの魔法』についての進展があった様だ。


(続く)

最後まで見ていだきありがとうございます。

ロックスネークに襲われているライラの馬車を助けて無事に王都へ送り届けたジェシカ達。

屋敷に戻ったジェシカ達をアキラが出迎えてくれましたが・・・『終わりの魔法』にどんな進展があったのでしょうか?


設定補足:ライラの目的

少し前に話には出ていたのですが、王国とグランナディアの軍事協力の打ち合わせでライラはグランナディア国王の名代として王国へ向かっていました。

ライラ自身がロマンスに憧れている事もあって、雪の章のテイマー編では命を助けてもらったウィルを慕う様になったいきさつがあります。(ライラ単身で王国では身元証明出来なかった事も含めて、恋心に火がついてしまいます。)

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