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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
15/309

15、閃光は宵闇を断って (1)

私はあるモンスターの討伐クエストを受けていました。

北の古代遺跡に黒龍が出るそうで、その討伐クエストを。


「ユキ、黒龍って何?」

「黒い鱗を持つ未知の龍種に対する総称だね。どんな龍なのかは村の人達から情報を仕入れよう。」

「黒龍・・・」


シノブにとっては黒いモンスターは良い印象はないよね。


村の入口で門番の青年に声をかけられる。


「よう、譲ちゃんも勇者だったんだな。」

「今はそうですけど、あの時は只のテイマーでしたので。」

「宴の一つでもやりたい所だが、奴は夜に活動するから村では早めに戸締りをしているんだ。」

「一刻も早く解決したいですね。」


夜に活動が活発になるのか・・・

村では以前にない緊張感が溢れており、村長に詳しい話を聞いてみる事にした。


「青の勇者様、良くおいでになられました。」

「あ、そんなに畏まらなくて大丈夫ですよ。例の黒龍の話を聞きに来ました。」

「はい。黒龍は夜に活動して、光に対して高い敵意を表します。後はこちらを・・・」


村長が出した物は黒龍らしき龍の鱗と棘。

鱗は黒くツヤツヤして、ランプに透かしてみると光を遮断する。

棘は凄く硬くて指ではじくとキーンと澄み渡った綺麗な音がする。


「変わった鱗と棘ですね。」

「昼は古代遺跡の近くにある洞窟で眠っている姿が確認されています。」


まずは情報収集かな・・・


「ユキ、テイムコネクト。」


少し距離はあるものの、村の人を危険にするわけにもいかないので

古代遺跡に向けて慎重に進む。


「シノブ、私は早めに戻るから村で休んでいていいよ。」


シノブには野戦に備えてベストな状態にしておきたかったけど、シノブは首を横に振る。


「ジェシカの近くにいる。」

「・・・分かった。無理はしない様にね。」



古代遺跡周辺の森

意識を集中して黒龍の気配を探る・・・


微かに感じる異質な気配・・・あの洞窟だろうか。


森の中なのに鳥の鳴き声などは一切なく、ただ近くに流れている川のせせらぎしか聞こえない。

ここで間違いないだろう。


洞窟の中は少し光が差し込み、壁や床は苔蒸していた。

歩くたびにすべらない様に気をつける。


「シノブも気をつけてね・・・。」


私は小声で話しかけて、シノブは首を縦に振る。



・・・いた。

この時間帯は眠っているという情報は正しかった。


起こさない様に情報を収集する。

全身の大きさと比較して小さめの頭、全身は細かい鱗が生えている。

村で見た鱗は前脚と後ろ足の甲の部分、棘は背中と尻尾に生えていた。

夜の森に対応した黒龍という所だろうか。


カラン・・・


と洞窟内に小石が転がる音が響き、黒龍は目を覚ます。


ゆっくりと上体をあげ、私たちを見据える。

体が持ち上げると・・・それは闇そのものだった。

洞窟を薄く照らす光も黒龍の姿を捉えられない。


闇に映る赤い瞳、目を背ければやられる。

私達は音を立てず慎重に、下がっていく・・・


すると、追い打ちをかける気配もなく黒龍は再び眠りについた。



「・・・あ、危なかったぁ・・・」


洞窟からかなり離れてから、やっと言葉を出した。

今日ほど命の危険を感じた日はなかった・・・助かったのは時間と洞窟内だったからかな。


「後は、アレ・・・何?」


正面に捉えた姿はまさに闇。あの鱗の特性で光を吸収して闇が動いている様な錯覚を覚える。


「今日はこの辺りにして村で対策を練ろう。」

「(そうだね。)」

「分かった。」



村に帰ると、少し騒がしかった。

何でもふらりと来た冒険者が黒龍の姿を見たいと出ていったそうだ。



夕闇が包む・・・あの黒龍の活動時間だ・・・


「シノブ、行くよ。テイムコネクト。」


夜目が効き、森での戦いなら有利に戦えると判断した。



「た、助けてくれーっ!!」


冒険者の助けを呼ぶ声が聞こえる。

私は木を駆け上がり、空へ跳ぶ・・・


一面の夜空、そして森へと視点を向ける。


「あそこだ。」


森に映る明かりと折れた木々が見える。


「間に合って・・・」


空気を蹴り、黒龍の元へ向かう。



「ひぃぃぃぃっ!!」


黒龍の爪が冒険者を襲う。


「間に合えっ!!」



・・・間一髪。

黒龍の爪をレイピアで弾き飛ばす。


黒龍は後ずさりして突きの衝撃を受け流し、こちらを警戒する。

そうだ、明かりを・・・。


「そこの冒険者さん、明かりを消してくださいっ!」



(私は失念していた・・・)


黒龍から何かが飛んできた、私が弾くとキーンと澄んだ音がして

地面に刺さった後も澄んだ音が鳴る。


(この黒龍が何で光に対して攻撃性が高いのか・・・)


あの棘?

暗闇の中に響く澄んだ音・・・


(それは・・・)


赤い瞳が私に襲い掛かる。

攻撃を弾いてなんとか凌ぐが・・・!?

まるで森を把握している様に黒龍は着地する。


「罠だったんだ・・・。」


私は理解する。暗闇での狩りに特化した生態。

おそらく、棘を何とかしようとしてもその隙を狙ってくる。

幸い、今の私には夜目が効いているのでなんとか・・・!?


突然、テイムコネクトが解除して・・・視界が暗くなる。

そして、私の足元に白金の梟が横たわる。


「シノブっ!?」


普段は少年の姿だけど、間違いない。


そこに黒龍の一撃が来る。

何とか攻撃は捌けたものの、こちらが不利なのは変わらない・・・



すると、森の中から声がした。


「ふあ~、誰かなぁ。さっきまで気持ちよく寝てたのに。」

「危ないっ!」


謎の声に黒龍が反応して襲いかかる

・・・が黒龍の方が弾かれていた。


月が周辺を照らし出すと、そこには黒い刀身の剣を抜いた黒髪の少年がいる。


「おいたが過ぎるんじゃない?」


威嚇する黒龍に対して剣を鞘に収め冷静に構える少年。

黒龍は再び少年に襲いかかる。


「抜刀術、乾坤一擲。」


少年の構えからは敵を断つ気配しか漂っていない。

飛びかかる黒龍は命の危険を察知してか、勢いを殺す。


だが、少年の放つ黒い閃光の軌跡は既に敵を捕らえ・・・


気付いた時には黒龍の右前脚が断ち切られていた。


グオオオオォォォォっ!!


勝てない事を理解してか、黒龍は叫び声を上げ森の中へ消えていった・・・


「あなたは・・・」


私は確信した。

・・・間違いない、この少年が黒の勇者だ。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

梟になったシノブと黒の勇者との出会い、そして黒龍との戦いは如何に・・・



設定補足:黒龍(宵闇龍)

鱗が光を吸収してしまう為、闇が動いている様に見える龍。

翼が退化しており、森での狩りに特化した生態を持っています。

夜行性で夜目が効くので狩りに邪魔な強い光を嫌う傾向がある。

暗闇で強敵に遭遇した時は背中から尻尾に生えた棘から発生させる音の共鳴を利用して、自分と敵の位置を正確に把握して有利に立ち回ります。


元々、とある鳥を見て想像した龍ですが某ゲームに出てくるナル〇クル〇を見ていただくとイメージが付きやすいかもしれません。(尻尾ビターンはしませんが)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 設定は面白そうなのにその設定がほとんど描かれていないため、よくわからないまま物語が進行しているところが残念です。 ハーレムや重婚の多い世界観=知り合ってすぐにプロポーズなのが最大の謎…
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