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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
146/309

44、街に戻る少女 (4)

ユキとグラースの報告で泉の近くにカエルがいるらしい。


「じゃあ、行ってくるよ。」


私は先行してカエルを討伐する。


「フォレストトードかぁ、使えそうな素材は無いな。」


合流したケインはカエルを見てそう言った。そう言えば・・・


「このカエルって前にヘビが美味しそうに食べていたんだけど、食べられないかな?」

「確か似た様なカエルがグランナディアで食用になっていたと思いますが・・・先輩、もしかして・・・」

「うん、食材にならないかなって。」


オブシディアンナーガが以前食べていたのを見た事と少し小腹が・・・セルリアは本気ですか?って顔をしているが、食べる地方あるなら全然問題ないよね。

私の話を聞いたグラースは鼻を近づける。


「うむ、毒は無いな。念の為、内臓は止めておけ。」

「分かったよ。あと、ちゃんと火は通しておくよ。」


ナイフを取り出して、泉の水で一度洗い流してからカエルの解体をする。


「何か面白い事やっているな。俺達はミチビキソウを探すから、セルリアちゃんは警戒を頼んだ。」

「じゃあ、ユキをセルリアのサポートに回すよ。」

「ありがとうございます。」



15分後・・・


「あったぞっ!!・・・って、何か美味そうな匂いがするな。」

「あ、お疲れ様。良かったら、これをみんなでどうぞ。」


水辺の作業で冷たいだろうから、温かくなる様にスープを用意していた。

もちろん、味見は済ませていて上出来なものを提供している。


「これは美味いな。」

「美味い・・・これは鳥肉か?淡泊ながら脂のノリがいい。」

「あら、これは美味しいわね。ジェシカって料理好きなの??」


3人からは好評で、セルリアも・・・


「美味しいですね、もしかして・・・あのカエルですか?」

「うん。モモ肉を焼いて食べたんだけど、鳥肉みたいで美味しかったからスープに使ったんだ。」

「これなら売れそうですね。」


予想外に美味しく、食材としての価値を見いだせる様だ。


「じゃあ、グラース。氷魔法お願い。」

「うむ、分かった。」


解体した肉を薬草でくるんで、魔法で氷温保存する。


「先輩、それは?」

「流石に街で解体する訳にはいかないし、解体しても保存に問題あるからなるべく痛まない様にね。」

「なるほど・・・それって、他のモンスターにも使えるでしょうか?」

「どうだろう?試してみる価値はあると思うけど・・・毒を持っているモンスターは避けた方が良いかもね。」


そんなちょっとした会話が後にモンスター肉ブームを起こす事になるなんて・・・

その時の私は全く考えていなかった。



街に戻り、冒険者ギルドに着くと・・・女の子がいた。


「ジェシカお姉ちゃん、お母さんが・・・。」


どうやら女の子のお母さんの病状が悪化したらしく、ギルドに来ていた様だった。

私がミチビキソウの採取を伝えると、女の子は笑顔になった。


「ありがとう、ジェシカお姉ちゃん。」

「うん。みんなの力があったから採る事が出来たんだ。」

「そうなんだ。ありがとう、お姉ちゃん達。」


納品されたミチビキソウは病院に送られて薬として精製されるので、私の採取クエストはこれで完了になる。


「良かった・・・」

「あんたの気持ちも分かるよ。俺達もこれがあるから仕事をやっている様なものだからな。」

「ありがとうございました。ケインさん、アッシュさん、マリンさん。」

「じゃあな。またいい仕事があれば紹介してくれよ。」


私は約束通りに素材の半分をケイン達に譲り渡し、カエル肉もお土産として渡した。


そして、素材を換金する事に。

スライムのコア×5、フォレストビーの羽根×12、フォレストビーの針×3、フォレストウルフの牙×3、フォレストウルフの爪×6・・・

結構なモンスターと戦った事になる。半分ではケイン達の割に合わないかなぁと思ったけど、いい金額になった。


それと・・・


「これは?」

「フォレストトードの肉です。」

「え?これ・・・食べられるんですか??」

「はい。きちんと火を通す必要はありますけど、美味しかったですよ。」


受付の人は首を傾げながら、素材を換金する。


「肉については・・・この金額で良いですか?」


計算機をパチパチさせて出した金額は使った薬草類などを差し引いても利益は出ていたので、その金額で了承して引き取ってもらった。



換金後、近くの喫茶店でセルリアとお茶をする。


「じゃあ、セルリアには半分ね。」


素材の換金額の半分を渡すと驚いていた。


「え、こんなにいただけませんよ。」

「うーん・・・そうだ、またケインさん達と仕事するんなら飲み代の足しにでもしたらいいんじゃない?セルリアもそういう付き合いあるでしょ?」

「それはありますけど・・・」


使い方の案を出しても納得してもらえなかった。


「それと私は給料入って来るから・・・」

「給料はいくらですか?」


セルリアに給料の金額をそっと伝えると、目が点になっていた。

・・・うん、その気持ち分かるよ。


「分かりました、受け取らせて貰います。それにしても、あの女の子は運が良かったですね。」

「そうだね。私だけなら詰んでたと思うし、セルリアやケインさん達がいてくれて助かったよ。」


私が思った事を伝えると、セルリアは指摘した。


「先輩が受けた事も大事なんですよ?」

「え?」

「確かにケインさんは受けるつもりだったそうですが、あの女の子のお母さんの容態までは分かっていませんでしたから、手遅れになった可能性だってあるんです。」

「そっか・・・そうだといいな。」


私達は親子の幸せを願い、お茶を楽しむ事にした。


(続く)

最後まで見ていだきありがとうございます。

ミチビキソウ採取話の完結になります。

次回から「終わりの魔法」編に入ります。


設定おまけ:食肉について

この世界でも、牛肉や豚肉や鶏肉は存在しています。(それらに近い生き物が家畜として飼育されていますので。)

但し、保存方法が限定されている為にモンスター肉については特定の種類を除き発展には至っていません(ジビエに近い?)

作中で鳥肉としているのは鶏とは別の生物な為、区別として使っています。

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