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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
145/309

43、街に戻る少女 (3)

街の酒場は5階建ての大きな建物で、1階は酒場、2階も酒場でその上は休める様に休憩室と宿屋になっている。

1階にある大衆酒場を思わせる場所で待ち合わせになっている。


「お待たせしました。」

「お、セルリアちゃん来たな。へぇ、その人が『変わり者テイマー』のジェシカさんか。」

「はじめまして、私はジェシカと言います。出来ればその二つ名は止めて貰えると・・・」

「そうか、それはすまなかったな。俺はケインだ。あと左から戦士のアッシュと聖女のマリンだな。」


軽く自己紹介を済ませて、本題のミチビキソウの採取について話す。


「それにしても、ジェシカさんは何であのクエスト受けたんだ?報酬は良くなかっただろう?」

「それは数年前に母を病気で亡くして・・・」


ここは包み隠さずに正直に答えた。

あの女の子に自分を重ねていたんだと思う。


「なるほどな。実は俺達が受けようと考えていたんだが、東の森に詳しい人間がいなくて困っていたんだ。そこにあんたが受けたというのをセルリアちゃんから聞いて。」


ケイン達は薬草知識はあっても東の森には詳しくなく、私は逆に東の森に詳しくても薬草知識がない。

いい組み合わせだと思った。


「そういえば、セルリアとはどんな出会いを?」

「あぁ、薬草採取のクエストでちょっとな。サポートも申し分なくこなすし、テイマーって凄いんだなぁと思ったよ。」

「ケインさんってば、褒めても何も出ませんよ♪」


以前にダンジョン攻略した時はきちんと中・後衛をこなしていたからセルリアの実力は折り紙付きだ。


「ちゃんとした評価なんだが、いいだろう。仕事の話に入ろう。」

「綺麗な水辺に自生するんだよね。それなら、泉があるからそこに案内するよ。」

「勉強はしているんだな。じゃあ、案内を頼むよ。」


早速、東の森へ向かう。

馬車に乗り、泉へと向かう一行。


「先輩、街を出られるんですよね。」

「うん、王都に住む事を決めてね・・・。」

「そうですか・・・寂しくなりますね。」

「多分、街に来る事もあるし・・・セルリアが王都に来た時は案内するから、笑って送ってほしいかな。」


永遠の別れじゃない。私はセルリアに笑顔を向ける。


「はい。王都観光する時はお願いします。」

「期待しててよ、セルリア。」


笑顔を返すセルリアに安心していると、ケインが話しかけてくる。


「王都に住むのは、やっぱり勇者絡みなのか?」

「ご存知でしたか。」

「セルリアちゃんから聞いているからね。とんでもない先輩が勇者になったってな。初めて会ったけど、あんただとピンときたよ。」


・・・どんな話を聞いたんだろう、セルリアを見るとドヤ顔していた。


「あはは・・・そうですね、役目としての利便性もあります。私は王都にいるのが嫌で数年前から街に住んでいたのですが、この間王都に来た時に問題が解決したんです。」

「そうか、俺達にも協力が出来そうな時は声をかけてくれよ。今回は仕事として受けさせてもらうが、勇者の手伝いとしてならこっちにも役得はあるだろうしな。」

「ありがとうございます。」



森の入り口に着いた。


「じゃあ、案内するね。グラース、ここなら大丈夫だよ。」

「そうか。」


抱き上げていた子犬がピョンと地面に着くと、グラースは元の姿に戻る。


「「「「!!?」」」」


私以外のメンバーは驚いていた。


「え、どうしてスノーウルフがこんな所にいるんですかっ!?」

「いや、それは仲間になったからだよ。」

「『仲間になったからだよ。』じゃないですよ、先輩。人に懐くなって聞いたことありませんよ!!」

「そうなの?グラース。」


グラースの方を見ると、不思議そうな顔をして


「確かに、人に懐いた仲間の話は聞いた事はないな。」

「へぇ・・・。」


私が感心していると


「なるほどなそれが『変わり者テイマー』って訳か・・・」

「私は普通だと思っているんだけどね。じゃあ、気を取り直してっと・・・ユキとグラースは周囲に警戒を。セルリアには殿で仲間のサポートお願いね。先導と前衛は私に任せて。」

「分かった。もし、もしきつくなったら俺達に声をかけてくれ。あんたやセルリアちゃん程ではないが俺達もそこそこ戦えるから。」

「分かったよ。」


隊列は前衛が先導もかねて私、中衛はケインとアッシュとマリンの3人、後衛はセルリアに任せる。

泉はこの地点からだと歩いて数キロの距離にあり、道を少し外した所にある。



道中は楽に進めている。

ユキが音を感知して、グラースにはにおいで相手の位置を特定。

後は、モンスターの背後から攻撃を仕掛ける。至ってシンプルな戦いだけど、素材集めも兼ねているのでこの点はとてもありがたい。


「・・・凄いなぁ、この森を知っているという事なのか?」

「俺達だけならダメにしていた素材もあっただろうな。」

「それはこの子達のおかげですよ。私が知っているのはあくまで地理的な物で、モンスターも生きていますからね。」


あまりにも一方的な戦いにケインとアッシュは驚いている。

この状況に持ってこれるのはユキとグラースのおかげなので、私はユキとグラースを撫でながら答えた。


「こうして実際にあなたの戦いを見ると、セルリアの先輩というのも頷けるわね。」

「そうですか。セルリアには心構え程度しか教えていませんが、元々優秀なテイマーですから先輩として鼻が高いですね。」

「せ、先輩・・・恥ずかしいですよ。」


マリンと話をすると、恥ずかしそうに会話に入ってくるセルリア。

道中はこんなにほっこりとしていた。


そして、一行は泉へと到着する。


(続く)


最後まで見ていただきありがとうございます。

セルリアの紹介で、ケイン達とミチビキソウを求め東の森にある泉へと向かいます。


設定おまけ:ケイン達との関わり

雪の章ではテイマー編で関わってくるケイン達ですが、月の章だとケイン達と知り合っていたのはセルリアで不思議な追放劇は発生していません。

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