表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
144/309

42、街に戻る少女 (2)

「あはは・・・ジェシカさんがまさか小さな女の子に弱かったなんて・・・何かありそうですね。」


冒険者ギルドのギルドマスター室にて挨拶と事の経緯を話すとギルドマスターから苦笑いをされた。


「少し昔の事を思い出して・・・。えっと、マスターはミチビキソウの事、何かご存知ですか?」

「そうですね・・・特級治療薬に使う薬草とだけなら。」

「そうですか、ギルド内で薬草知識のある方とかいませんか?今回は私が軽率だったのでその方を雇う分は私が払います。」


女の子のクエスト報酬は高くない。後で受付の方に聞いたら・・・

同ミチビキソウ採取クエストの相場の半分らしい。

だけど、女の子に請求する訳にもいかずその分は私が払おうと思っていた。


「それはあんまり感心しませんね。えっと、こういうのはどうですか?東の森での採取クエストですから、モンスターとの戦闘はあるでしょう。そこで、あなたがモンスターを倒してその素材を譲渡するというのは。」

「なるほど、直接的なお金のやり取りはしないという事ですか・・・選択肢の内に入れさせてもらいます。」

「私が薬草知識あれば手伝えたのですが、すみません。」

「いえ、お気遣い感謝します。」



さて、まずは出来る事から始めよう。

まずは街の図書館でミチビキソウについて調べる事にした。


「えっと・・・水辺に生える薬草で・・・よく似た毒草がある為、素人での判別には注意!!」


うん、山菜採りみたいなものだね。

とりあえず、スケッチだけさせてもらおう。


「ジェシカ、ここはどうかな?」


ユキが次の頁を指す。


「ミチビキソウの名前の由来?どれどれ・・・薬効が判明するまではミチシルベグサと言われていて、その独特な『におい』を使って、狩りにおいて獲物のマーキングとして使われていた?」

「グラースに『におい』を追って貰うお願い出来ないかな?」

「うん?構わないが・・・」


グラースは問題無さそうな表情をしているけど、においがどういうものか分からないしマーキングに使われているくらいだから相当きついはず。

においでの追跡はどうしても無理だったら・・・うん?


そう言えば、周囲の反応と私の昔の話で特級治療薬を考えていたんだけど。

用途を考えれば採取クエストである必要が無い。


「どうして“採取クエスト”なのだろう?」

「どういう事?」

「そんな貴重な薬草なら栽培や貯蔵はするんじゃないかな?」

「・・・そうか。ジェシカの考えが正しいなら厳しいかもしれない。」


私はその考えが正しいのか、病院へと向かう。

病院の受付の人が答えを教えてくれた。


「特級治療薬の在庫ですか?申し訳ありませんが、在庫はございません。」


予想通りの回答だった。更に受付の人は語る。


「材料のミチビキソウは綺麗な水辺に自生する傷みやすい薬草で、抜いて7日以内に精製しないと薬効がありません。そして、精製した薬も3日と持たないのからいつも冒険者に採取して貰っているのです。」


何でも特級治療薬の精製を開発した国では栽培されていたらしいが、その国は既に滅んでいて栽培方法は確立していない・・・なので、自生した分を必要に合わせて抜いて来ないといけない。


「ありがとうございました。」


私は病院から出た。



東の森に向かいながら自分で集めた情報をまとめる・・・


「・・・確実に特級治療薬の案件だね。」

「そうだろうね。マーキングとして使う必要もないだろうから。」


女の子に話を聞かずに受けてしまったけど、間違いない。

急ぎなんだ。採取クエストとして依頼していて報酬も高くは無かったから冒険者も受けていない。


「ここでこんな事になるなんて・・・」

「ジェシカ・・・」


本当に考えなしだ。

自分の軽率な行動にもどかしさを覚えるけど、関わらなければ良いというものでもなかった。

私は母を病気で亡くした思いをあの女の子にさせてしまうのか・・・でも、後には退けない。


「冒険者ギルドに行こう。」


この際、手段は問わない・・・私は扉を開ける前に大きく息を吸い込んだ。


「あのっ!!」

「あ、先輩。丁度良かった。」


・・・え?

扉開けてから大声で薬草に詳しい冒険者の人を探す予定が、セルリアによって止められた。


「セルリア??」

「ギルドマスターから話は聞きました。私にも協力させて下さい。」


意気込むセルリアだが、流石に仕事なので報酬の問題が・・・そんな私の表情を読んでかドヤ顔を決めるセルリア。


「その点も大丈夫です。最近知り合った方で薬草に詳しい方に頼んでいまして、その方達も助っ人に呼びました♪」

「え、呼んだの??報酬とかの話し合いとかは?」


呼んだって事はもしかして・・・


「はい。ちゃんと話もついてますよ?道中に出るモンスターの素材の半分で。私は先輩のサポートなので・・・え、えぇっ!?どうしたんですか、そんな泣きそうな顔をして。」

「ありがとう。私1人だったら詰んでたよ・・・。」


ギルドのホール内なので、セルリアの両手を握るくらいに抑えておく。


「今は酒場にいるはずですので、合流しましょう♪」


私達はセルリアの呼んだ助っ人と合流する為、街の酒場へと向かった。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ミチビキ草の情報を得る事に自分の軽率さを悔やむジェシカ。

そこにセルリアからの応援が来て事態は好転します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ