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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
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37、狼は大地の怒りを見る (1)

大聖堂での戦いから3日後・・・

私達は王城の謁見の間に集合していた。理由は大聖堂での出来事の報告と魔王四天王の出現についてだった。


「此度の活躍、誠に大義であった。・・・して、此度の件で魔王軍が関わっていたというのは真実なのか?」

「はい。その件に関しては魔王四天王ケーオスと名乗る者が気になる事を言っていました。『成果の1つでも上げておかねば、魔王四天王としての尊厳も保てない』と・・・おそらく何らかの目的があって、それが達成されていないと思われます。そして・・・」


私とグラースが前に出る。グラースについては事前に王様と大臣には話をしていたのでここではスムーズに話が進む。


「王都周辺に出現していたスノーウルフの件ですが、青の勇者の調査結果で魔王四天王が雪山で何かをしていたとの連絡がありました。」

「なんとっ!?」


ジンの話を聞いた王様は驚き・・・一息ついてから


「大臣達は下がって貰えないだろうか。」

「はっ!」


王様の命令により、大臣達は謁見の間からさがり・・・王様と私達だけになった。


「さて、話さなくてはいけないな・・・王都の北東にある雪山にはある魔物が封印されている。・・・それが、人が作りし最悪の黒龍『神殺し』。」

「!!」


雪山に封印されている魔物の存在を王様は語る。

人が作ったというのも気にはなるけど、まずは話を聞こう。


「なぜそんなものが封印されているのか?については勇者たちがいない人間の力だけでは封印が精一杯だったと言われている。封印に使われた雪山は霊峰と呼ばれていて、元々魔力が高い土地ゆえに封印に使われていたのだ。」

「大臣達を下げた理由はあるのでしょうか?王都の近くにそんな危険なものが封印されているのであれば・・・」


神殺しが生まれたのは魔王を倒した後だそうだ。雪山にそういった理由があり封印に使われた理由も分かり・・・封印の管理という点であればジンが言うのも納得できる。

そんな疑問に王様は答える。


「神殺しについては代々王家にて秘匿にしてきた情報だ。後に勇者が現れて神殺しを滅ぼす事が叶えば・・・と言われていて、雪山にはいつの間にかそこを縄張りとするスノーウルフも住み着いていたからその存在は疑わしくもあったが・・・よもや魔王四天王が雪山に来ていたとは。」


要は真偽の取れないものに割く労力はなかったらしい。


「四天王の狙いはおそらく神殺しの封印を解く事でしょう。しかし、何らかの原因があって封印の解除には至っていないのではないかと。」

「うむ、お主たち勇者には神殺しの討伐を頼む。それにあたり、王城地下にある黒龍に関する資料をお主たちに開放をする。」


黒龍に関する資料は王城で一括管理されており、一部の識者を除き閲覧は許可されていない。


「それでは勇者達よ、良い報告を期待しているぞ。」

「はっ!」


代表でジンが返事をして、謁見は終わる。



「さて・・・これからの行動についてだが、雪山の調査についてはグラースもいる事なので不要と見ていい。なので、雪山に行く班と王都を護衛する班に分かれる。」


私達の滞在している屋敷の応接間にて、ジンは提案をする。


「それなら、この間の班分けと同じで良いんじゃないかな。私達が雪山に向かい、レイたちは王都の護衛で。」

「うん、それでいいと思う。」


私の提案にレイがのる。


「まぁ、妥当でしょうね。封印の解析にはジンさんの鑑定は必要でしょうし、雪山の案内であればグラースさんそしてジェシカさんは必要ですから。僕とレイさんは王都の護衛に回りますよ。魔王四天王が来るかもしれませんしね。」


そして、ルークも理由を語りながら納得したので班分けはあっさりと決まった。


「・・・。」

「どうしたの、ジェシカ?何か考え事かい?」

「あ、ユキ。ちょっと考えていた事があってね。」



班分け後、私達は明日に向けて休憩を取る。

その中で・・・私はクローク家の屋敷に来ていた。


事前にアルマ経由で話は通しており、使用人に迎えられて父のいる書斎へと向かった。


「よく来たね、ジェシカ。」

「実はちょっと相談がありまして。」

「そうなんだ、話を聞くよ。」


私は思っていた事を父に話をした。


「私達が今滞在に使っている屋敷ですが、私に売っていただけませんか?現在は空き家で滞在用に使われていますが、今の勇者としての役目でどうしても必要になるので。」


王様が滞在で手配した屋敷は空き家だが、クローク家所有の屋敷で滞在する度に開放すればいいとは思うけど・・・


「それは構わないけど、それならずっと滞在が出来る様に手配するよ。」

「滞在もそうなのですが、やっぱりクローク家の体裁はあるから一緒に住むのはお父さんに苦労をかけると思います。ですので、いつでも会いに行ける距離にいれば私はそれで十分です。」


私がそう言うと、父はそっと私を抱き寄せた。


「『家を気にしなくていいんだよ。』は無責任過ぎたね。ジェシカが私と一緒に住む事を一生懸命に考えてくれた事は嬉しいよ。その上での回答だというのも分かったから、私にできる事はさせてほしい。父親として娘に出来る事はやっておきたいんだ。」

「ありがとう・・・。」

「引継ぎについては後日になるから、街への挨拶はきちんとやっておきなさい。」

「うん、お父さん。」


こうして、私は王都に拠点を持つ事となった。


(続く)

最後まで見ていだきありがとうございます。

大聖堂での件も終わり謁見する中で、雪山に封印されている『神殺し』存在を知る事になったジェシカ達。

神殺しの討伐にむけて、雪山へと向かいます。


設定補足:王都でのイベント分岐

メタっぽい話になりますが雪の章の「王都」編、月の章の「怒れる聖女」編は同じ時間軸なのですが、条件が変わっているため話に影響が出ています。

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