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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
133/309

31、悪魔を探す為に (3)

私達は応接間に集まった。


「(ジェシカ、やはりあのアオイという女性だけあの悪魔のにおいがするな。それとだな・・・私と話すなら、念じてくれたら話せる様になる。念話というものだ。)」


グラースの指摘通り、私はグラースと話をしたいと念じてみる。


「(これでいいのかな?あ、これは便利だね。調査の時に活用させてもらうよ。それじゃあ、切り替えるよ。)」

「(分かった。)」


一旦グラースとの念話を打ち切り、作戦を開始する。


「みんな揃った事だし、始めようか。今日からお手伝いで来てくれるアルマさん。」

「はじめまして、アルマといいます。妹のナルと一緒に皆様のお世話をさせていただきます。」


アルマはスカートの裾を軽くつまんで一礼する。


「え、お姉ちゃんもここで?」

「ほら、ナル。仕事中ですから、もう少し気を引き締めなさい。」

「はい。」


何か姉妹のやり取りを見て微笑ましかった。


「ふふっ・・・」

「どうしたんですか、ジェシカお嬢様?」

「いや、何か良いなぁってね。」

「そうですか?妹は脇が甘いので大変じゃなかったですか?」


私を探す為に離れ離れになってたし、ナルのおかげで父と分かりあえた気がするので・・・


「そんな事はないよ。ナルがいなかったらお父さんと分かりあえる事はなかったかもしれない。」

「ジェシカお嬢様がそうおっしゃるのでしたら。」


若干納得がいかない表情のアルマだったけど、話が終わらなくなるので静かにしている。


「こほん・・・じゃあ、次はルークだね。」

「遅れてすみません、安全確保の仕事でたまたま害虫駆除を頼まれまして。」

「害虫駆除?」


勇者と言っても便利屋ではないので、害虫駆除というのがちょっと気になった。


「はい。ハチがデカい巣を作っていて困っているって話でしたので、安全確保ついでに駆除して来たんですよ。・・・それは置いときまして、実は実家の方で急な用事が出来ましてジェシカさんの手伝いなんですが数日後になります。」


ルークが別行動するのは予定通り・・・それにしてもハチの駆除なんて変わった話をするなぁと私は感心した。


「そうなんだ。調査の方は任せておいてよ・・・と言いたい所なんだけど、明日は休みを取ろうと思ってね。レイ、王都に来る時にした約束覚えてる?」

「約束?・・・って、いいの?」

「調査が予想以上に苦戦しちゃって、いつ終わるか分からないから先に済ませておこうとね。」

「そうなんだ。」


レイは私との約束を思い出して、明日警備の予定が入っていたアオイに確認をとった。


「ごめん、アオイ。ジェシカとの約束があって明日の警備は・・・。」

「レイちゃん、大丈夫だよ。」

「本当にごめん。」


アオイは笑顔でレイに対応していた。

作戦とはいえ、少しうしろめたさを感じたので・・・


「ありがとう、アオイ。ちゃんとお土産は買ってくるから。」

「あ、いいよ~ジェシカちゃんも気にしないで~。」


レイにフォロー入れる形で明日の行動に備える。



次の日

私はレイを連れて、東地区に来ていた。


「(どう?グラース、においする?)」

「(いや、こちらは問題無さそうだな。何かあれば連絡しよう。)」

「(ありがとう。)」


レイは何か察したみたいで単刀直入に聞いてきた。


「ジェシカ、私を呼んだって事は何か進展があったの?」

「あ、やっぱり分かる?実はこう言った事情で・・・」


レイに今まで起こった事を話した。


「なるほどね・・・でも、アオイが犯人とは言い切れない状態なんだね。」

「うん。むしろ、アオイは巻き込まれているんじゃないかと思ってね。だから、他の地区の安全確保で・・・あ、もちろんレイとの約束もあったから来たんだよ。」

「その表情からしていい事あったんだ。」

「まぁ・・・ね。」


供える花を買って、お墓へ向かう。


「あれ?ジェシカちゃんかい?」


聞き慣れた声に振り向くと、王都に住んでた時によく行っていたパン屋のおじさんだった。


「お久しぶりです、おじさん。」

「ジェシカ、この人は?」

「お、ジェシカちゃんもついに彼氏を・・・。」


おじさんが隣にいたレイを見てニヤニヤしていた。うん、きちんと言わないとね。


「おじさん、違います。彼女は私の親友ですよ。」

「そうだったか、それは悪かったな。」

「今日は母の墓参りで・・・そうだ、墓参り終わったらお店寄りますね。」

「そうかい。じゃあ待ってるよ。」


おじさんは手を振ってお店に戻っていった。

私達は街を歩きながら話す。


「あの人はパン屋のおじさんなんだ。あのお店のパンは美味しくて、アオイたちのお土産に丁度いいかなってね。」

「へぇ、寄っていくなら立食い分も買っていいかな。」

「うん、喜んでくれると思うよ。」


そして、母の墓に到着した。


「(この辺りも問題は無い様だ)」

「(この地区って民家が多いから、良かったよ。)」


グラースの報告では、東地区は問題無い様だ。


「お母さん、今度は親友連れてきたよ。」

「はじめまして、ジェシカのお母さん。私はレイといいます。」


レイは墓の前で手を合わす。


「後ね、お父さんとも話が出来たよ。すまなかったって言ってた・・・。」

「もしかして、昨日屋敷に来てた人がそうだったの?」

「うん。」

「良かったね、ジェシカ。」


喜びのあまり私の手を握るレイに私も嬉しくなった。


「これから調査するの?」

「ううん、実は既にテイムコネクトしていてレイと歩きながら調べていたんだ。」

「あ、そう言えばユキ君いないと思ったら・・・」


実はユキはジンと一緒にいる。こんな状況なので、ジンと一緒にいてもらったほうが安全だから。


「落ち着いてから話すけど、ユキじゃないんだ。」

「!!・・・ジェシカ、落ち着いたらその子紹介してよねっ!」


そうだった、レイは大の動物好きだった・・・

興奮するレイを抑えて、私達は皆と合流する。


(続く)

最後まで見ていだきありがとうございます。

ジェシカとレイの調査という名のお出かけ回と言う事で・・・きちんと断っておきますが、百合じゃないです。

ジェシカの調査に合わせて、南地区の調査も行われており

次は西地区を調査する流れになります。

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