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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
132/309

30、悪魔を探す為に (2)

「ジェシカさん、僕も一緒に行っていいですか?滞在は実家を使いますが挨拶しておきたいので。」

「うん。もちろん大丈夫だよ。」


私とルークは私達の滞在している屋敷に向かった。


「ジェシカお嬢様、初めまして。」

「ん?・・・えっと。」


滞在先の屋敷に戻ると、ブラウンの肩まで長さのストレートな髪に整った顔立ちのメイドが玄関前に待機していた。

私にお辞儀したそのメイドは何となくナルに似ているけど、すこし落ち着いた雰囲気で・・・


「もしかして、ナルのお姉さん?」

「はい、私はナルの姉のアルマと言います。そして、こちらがクローク家現当主のジェームス様です。」


アルマの案内された方向を向くと・・・あ、この間王城の前で話しかけていた男性だった。


「君だったのか・・・立派になったんだね。・・・あらためて見ると、ライザの面影があるじゃないか・・・私の目も節穴だな。」

「・・・。」


私はどんな顔をすればいいか分からなかった。ただ、私はナルの言っていた事が気になっていたので言葉を繋げる。


「その、立ち話もなんですし。屋敷の応接間にご案内します。少々お待ちいただいていいでしょうか。あ、ルークも待っていてくれる?」

「わかりました。」

「すまないね。」


ジェームス卿とルークの許可を取り、私は1人先に屋敷の玄関を開ける。


「おかえりなさいませ、ジェシカお嬢様。」

「ナル、ただいま。ジェームス卿とお姉さんが来ているみたいで。」

「はい。連絡していたのですが、早かったですね。応接間の準備でしたら出来ていますよ。」

「ありがとう。話が早くて助かるよ。」


屋敷を利用している人は私を含めて女性だけなので、流石にルークやジェームス卿の2人にそのまま屋敷に通すのは失礼だからね。


「お待たせしました。どうぞこちらに。」

「お邪魔するよ。」


ジェームス卿を応接間に案内をした。


「急ですまないね。」

「あの・・・失礼ですが、ジェームス卿ですよね?」

「君はハトリック家のルーク君だね。」

「でも、クローク家の当主がジェシカさんにどういった理由で??」


ルークは疑問に思っていたらしく、質問をしていた。


「私の娘なんだ。」

「えぇっ!?す、すごいじゃないですかジェシカさんっ!!」


驚いたルークは私の手を掴む。


「えっと、ルーク・・・ちょっと・・・」


戸惑う私にジェームス卿が咳ばらいをする。


「あ、すみません。話があるんでしたよね、僕は部屋の前で待機を・・・。」

「いや、ルーク君も聞いて貰えないだろうか?知ってもらった方が良いと思うから。」

「分かりました。」


ジェームス卿の真剣な表情にルークも気持ちを切り替えて席につく。


「ジェシカ、生きていてくれてありがとう。ライザが亡くなったと聞いて、ジェシカをずっと探していたんだ。こうして会えて良かったよ。」

「・・・。」


その表情が辛そうに見えていたのか、ジェームス卿は頭を下げた。


「えっ・・・。」

「すまない・・・私はクローク家当主として家の体面に拘り過ぎて二人を平民街に送ってしまった。」

「・・・気にしなくていいですよ。跡取りが男の子じゃないといけないのは知っていますし、貴族としての立場があったのは何となく分かっていますから。」

「いや、ジェシカの場合は特別なんだ・・・。」


特別?私はジェームス卿の言葉に首を傾げた。


「特別ってどういう事ですか?」

「あぁ、ジェシカにはクローク家当主に代々引き継がれる魔法があるんだ。」

「え?私は魔法なんて・・・。」

「それは火とかの属性魔法ではなくてね・・・そこのペンと紙を借りていいかな。」


ペンと紙?私は不思議に思いながら、ジェームス卿にペンと紙を渡した。


「スピード。」


・・・驚いた。ジェームス卿は『スピード。』と唱えてから、紙に文字を書いていくが・・・凄く早く、あっという間に数行の文字が書いてあった。私が知っている魔法だ、私は『速記』と言っているけど。この魔法はユキとテイムコネクトしていたから使えた訳じゃなくて、私が生まれた時から持っていた魔法だったんだ。


「その魔法は・・・」

「・・・分かってくれたみたいだね。君にはクローク家で代々受け継がれる“スピード”という魔法を受け継いでいるんだ。」

「でも・・・」

「失礼だけど、ちょっと調べさせてもらったよ。街の冒険者ギルドでの森の調査報告書の数・・・あれだけの量を数年でこなすには普通の人には出来ない。だけど、この魔法があるなら話は別だ。」


そう言うと、ジェームス卿は右手をグッと握る。


「ジェシカを守る為とは言っても、私はライザに甘え過ぎていた。だから・・・。」

「お父さん・・・。」

「ジェシカ、家の事は考えなくていいから一緒に暮らそう。もう、家族を失いたくないんだ。」

「私は・・・勇者としての役目もあるから・・・。」


ずっと探してくれていた事や一緒に暮らそうと言ってくれた事は素直に嬉しかった。

だけど、今の私は青の勇者としての役目があって・・・すると、父は優しく微笑んだ。


「分かっているよ、ジェシカの気持ちもあるだろうからゆっくり考えなさい。」

「うん・・・。」


なんでだろう、ずっと母と私を捨てた父を恨んでいたけど・・・実際に会う父は優しくて、私の事を思ってくれる・・・


「ジェシカ?」

「え・・・」


気が付けば、私は涙を流していた。そんな私の頭を父は優しく撫でる。


「お父さん・・・。」

「ジェシカ、つらい思いをさせたね・・・。」


私は思いっきり泣いていた・・・父も私を見ながら涙を流している。



それから、色々話しているうちに空も暗くなってきた。


「ジェシカ、今日は会えてよかったよ。いつでも待っているからね。」

「うん。気をつけてね、お父さん。」


私は馬車に乗る父を笑顔で送っていた。


「良かったですね。」

「ルーク・・・何かみっともない所見せちゃったね。」

「良いじゃないですか。親子なんですから。」

「ありがとう、そう言ってくれて嬉しいよ。」


玄関前でルークと話をしていると、遠くから手を振る姿が。


「ただいま〜。」

「ジェシカ、それにルークもいるのね。」


レイとアキラ、それと・・・


「ただいま、ジェシカちゃん。それとルーク君久しぶり。」


いつもの姿を見せるアオイだった。

あのアオイに似た存在は何なのだろうか?

必要なメンバーは揃ったので、私は作戦を開始する。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ジンとの話も終わり行動を開始するジェシカでしたが、そこに父であるジェームス卿がナルの姉のアルマと一緒に来ます。

屋敷で語られるジェームス卿の話でジェシカは確執を取り除いていきます。


設定補足:父と娘の確執

雪の章では結構こじれたのに、月の章ではなんですんなりとおさまったのか?

理由は3つありまして・・・


1-雪の章ではジェシカがジェームス卿との決着をつけたいと思い王都に来てた事。


2-月の章ではジェームス卿と話す前にナルからジェシカを探したり、母の墓の整理した話を聞いていたから。


3-月の章ではジェシカが勇者なりたてで、勇者としての功績が少なかった為。単純に父と娘としての立場で話が出来た事が大きいです。

雪の章ではアルカーナ防衛と四天王撃破、宵闇龍退治などで勇者としての功績がありました。そこにジェームス卿がジェシカ後継者として色々手を回していたのが裏目に出た形になります。

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