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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
124/309

22、面会謝絶の白の勇者 (1)

キャンパスの中庭で俺達は昼食を取っていた・・・

新緑の隙間から差す木漏れ日が心地いい。


「そういえば、葵が怒った所を見た事ないな。」

「えっ、そんな事ないよ~。」


俺はふと思っていた事を葵に言うと、即行で否定するのだが隣に住んでいて

葵は普段おっとりとしていて、人当たりも悪くない幼馴染だ。


「えっと・・・ほら、この間仁君がレポートの提出期限ギリギリで徹夜した時・・・」

「いや、それは俺が落第するから窘めていたくらいじゃないか。怒るというのはその時にいた明みたいに・・・」


あの時の明は鬼と呼ぶに・・・


「あら、私の事呼んだ?」


飲み物を買っていた明が戻って来た。


「いや・・・何にも・・・」

「そう?反省が足りない様ならと思ったけど。」

「・・・聞こえているじゃないか。」


俺とアキラのやり取りを見て葵は笑い、俺達もつられて笑っていた。

俺達はいつも3人だった。


ーーー


北地区のジンが収容されている病院に着いた。

受付にジンが入院されている部屋を案内してもらい、部屋の前に着く。

前には衛兵がいて、王様からの命令書を見せると部屋に通してもらった。


「よお。おっ、この果物美味いな。」


ジンは元気にリンゴらしき果物をかじっていた。

・・・うん、もっと怪我していて大変になっているジンを想像して凄く焦っていたんだけど明らかに元気だ。


「・・・えっと、これは?」

「・・・元気だね、ジンさん。」

「・・・ジェシカ、帰ろうか。」


私とユキ、レイはジンの様子に違う意味で驚いていた。

それからジンは方向転換しようとした私とレイを引き留める。


「ちょ、ちょっと待て。お前たちを呼んだのには理由があってだな。何か気付かないか?」

「そういえば、アオイとアキラは?」


いつも3人でいるので、ジンが一人でいるというのは本当に珍しく感じる。


「ま・・・すぐにわかるよな。今は、お前たちが滞在予定の貴族の屋敷に滞在してもらっている。」

「ジン・・・もしかして・・・」


私にはこの状況と3人が一緒にいない状況からある事を考えた。しかし、本来ならあり得ないと思いたいのだけど。


「あぁ、お前が予想している通りだな・・・今回の件は俺やアキラが行動するにはリスクが高すぎてな。実はアオイに俺の襲撃の疑いがかかっている。」

「そんな事って・・・」


ジンは一息ついて、私の言葉に反応する。


「俺が襲撃された時、3人とも別行動していたんだ。覚えているのは“黒い長髪”と“『ジン君』と呼ぶアオイに似た声”・・・今の俺は国王の機転によって面会謝絶という事にして、アオイとアキラには詳細は伏せられている。」

「そうなんだ・・・。」

「誤解無い様に話すが、俺はアオイが犯人とは思っていない。だが、今後の事を考えれば俺達がお互いに疑ったという事実が発生する事態は避けておきたい。そこで、ジェシカとレイの2人に協力を頼んだという訳だ。」


良かった・・・そういう事であれば、私がやる事は決まっている。


「任せてよ、アオイの無実を晴らせばいいんでしょう?」

「問題ないね。」


レイも私と同じ反応だった。


「レイ、ジェシカ。お前たちに任せる形になって・・・すまない。」

「気にしないよ。」

「どちらかといえば、初めて会った時の事の方を謝ってほしいかな・・・まだ聞いてないし。」

「レイ、その件は本当にすまない。どうにも距離感が掴めなかった事もあるんだが、お前と仲良くしたかったのも本音だ。」


ジンの言葉にレイはキョトンとする。ジンは恐る恐るレイに口を開く。


「な、なんだよ・・・。」

「いや、こんなに素直に謝られるのもね・・・。」

「謝る機会を無理にでも作ればよかったんだが、ドタバタしていたからな。」


実際、ドタバタしてた所はある・・・私が原因というのもあるんだけど。


「分かったよ。ジン、あんたの誠意はきちんと受け取らせてもらうよ。」

「ありがとう、レイ。」


ジンとレイが仲直り出来て良かったと思いながら、2人を見ているとジンが思い出した様にある事を語る。


「お、そうだった。俺が襲撃を受けた時の事なんだが・・・王都周辺で普段は見られないスノーウルフの群れが王都の城壁周辺に出ていてな。今は何ともないらしいのだが、変だと思わないか?」

「スノーウルフ?」

「おう、王都の北西にある雪山を縄張りとしているオオカミでな。氷の魔法を得意としているらしい。王都の北西部にある森にはぐれが出る事はあるらしいのだが、王都の城壁周辺に・・・しかも、群れで出るのは珍しい様だ。そんな事と俺の襲撃事件・・・どうも怪しくないか。」


確かに怪しい。もしかしたら、スノーウルフが城壁周辺に出ていた事をジンに調べられないようにした可能性がある。


「分かったよ。スノーウルフの調査は私がやっておくよ。その間、レイはアキラとアオイの2人と一緒に行動していてよ。」

「そうだね。もし、ジェシカが狙われた時に2人がいたらそれで無実は証明できるだろうから。」

「・・・だな。俺も直接は行動できないがここで協力させてほしい。」


私とレイとジンは右手を前に出して重ね合わせる。


「ルークも後で来る予定だが、おそらくはレイとジェシカの行動にかかっていると言っていい。アオイの無実を証明する為に2人の力を貸してほしい。」

「もちろんだよ。そういえばルークは?」

「アイツはアルカーナの復興支援をした後に、グランナディアから王都に向けての街道の周辺調査をしながら王都に来る予定だ。何でも近々グランナディアと王国で魔王軍に対する会合をするらしくてな。まぁ、お前たちの方がアオイ、アキラと気兼ねなく動けると思うが。」

「・・・それもそうだね。」


ルークが来てもアオイとアキラにべったりとくっつくわけにはいかないし、そういう意味だと私とレイが適任だね。

王都で起こったジン襲撃事件を解決する為、私とレイは行動する事になった。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ジンの入院した病院に行くと、特に問題はなく元気にしていた。

そして、ジンを襲撃した人物としてアオイに疑いの目が向けられていた。

ジェシカとレイはアオイの無実を証明する為に王都での行動を開始します。

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