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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
122/309

20、草原の奥に眠るもの (5)

骨が襲い掛かってくる中で私に亀が話しかけてきたらしい。


「ユキ、亀が私に話しかけているみたいだね。」

「(え?亀が話しかけているの??)」

「うん、言いたい事は分かるけど、話を聞いてみるよ。」


あらためて亀と向き合うと話しかけてきた。


“ありがとうございます。私を助けていただいて。”


「多分、レイがいなかったら私達はあなたと戦っていたと思うんだ。だから、お礼を言うならレイに言ってあげてほしいかな。きっと喜ぶと思うから。」


“正直なんですね。彼女に話しかけてはいるのですが、届かないみたいで・・・”


「そうなんだ・・・」


こうして私と話せたら良いんだけどね。レイに伝えられたら・・・


「そうだ、私からレイに伝えるよ。あなたの名前は?」


“ありませんね。もしよろしければ名付けて貰えませんか?”


「いいの?そうだね・・・カガミでどうかな?」


“カガミですね。分かりました。”


その瞬間、私の右手とカガミの右脚に光の輪が発生して、光の糸が繋がる。


「もしかして、契約?」


“契約とは?”


「まぁ、見ててよ。」


私はレイたちに駆け寄りながらレイに話しかける。


「レイ、カガミを守らなくても大丈夫だよ。」

「え?カガミ??何の事?」

「カガミ、テイムコネクト!」


服装は特に・・・グローブとブーツの縁の部分に亀の甲羅の模様が付いている。

ただ、能力的なものははっきりとしていて・・・骨が糸みたいなものに吊るされている様に見える。


「これは・・・」


“私はあなたと一体化したのですか。これは魔力の糸ですね。そして、天井を見て下さい。”


天井?私はカガミの言う通りに天井を見上げると、そこには今まで見えなかったが巨大な骸骨が手から糸を出して操っている。


「な、何アレ・・・私はホラー苦手なんだけど・・・」


“あれは悪意と殺意の象徴。おそらく私の感知能力があなたに反映している様ですね。”


「もしかして、アレを何とかすれば骨と戦わなくていいのかな?」


“えぇ、あなたが持っていた魔法を無効化する武器なら倒せるはずです。”


勇者武器の事か。私は勇者武器を抜き、骨に向かって突撃する。


「ジェシカ、亀は??ユキ君が頭の上に乗っているし・・・」

「レイ、説明は後。まずはこの状況を打破するよっ!」


骨の攻撃を躱し、骨を足場にして大きく飛び上がる。

そして、巨大な骸骨を勇者武器で切る。


ウオオオォォォォッ!!


骸骨から叫び声が響き、操られていた骨は力を失って床に落ちる。

その様子にみんな驚いていて、レイが少しして口を開く。


「ジェシカ、何をしたの?ちゃんと説明して貰えるよね。」

「そうだね・・・レイ、まずは休憩しよう。ごめん、今日は疲れた・・・。」


何だかんだで骨相手に消耗していたので、骨を掃除した後はここで野営しながら説明する事にした。



「・・・ふーん、カガミって名前なんだね。お礼なんて気にしなくていいよ。私は動物が好きだし、君が誰かを傷つける事がないのは分かったんだから。」


カガミを撫でるレイ。カガミもまんざらではないみたいでレイにすり寄っている。


「お前ら本当に何者なんだよ。グラスタートルを手懐けるとか聞いた事ないぞ。」


私とレイを見ながら呆れるレナード。


「カガミさんですか、撫でてもいいでしょうか?」

「セルリアも順応性高いな・・・」

「え、可愛いですよ。」

「そうか、セルリアもテイマーだったな。」


セルリアはカガミを撫でたくてうずうずしていたみたいで、実際に撫でられて素直に喜んでいる。


ほっこりとしているけど、私には少し懸念があった。

ここがダンジョンで、私達はカガミを・・・私は考えながらその日は眠る事にした。



次の日


さらなる奥を目指して、ダンジョン攻略に乗り出す。


「みんな、ダンジョン攻略の事だけど・・・」


やはり私にはカガミを手にかける事は考えられなかった。その考えにみんな同じ意見だったみたいで。


「ジェシカがカガミを殺す必要なんてないよ。」

「ダンジョンがそんな仕様なら、引く事も仕方ないね。」

「まぁな。お前につらい選択はさせられないな。」

「はい。今回は引き上げましょう。」


みんな・・・ありがとう。


“あの・・・水を差す様ですみませんが・・・”


何かカガミが言いにくそうに私に話しかける。


“次の階層の入り口は出ていますよ。案内します。”


「へ?」

「どうしたのジェシカ?」

「いや、カガミが次の階層の入り口を案内してくれるって。」


カガミの案内で次の階層の入り口を見つける。床にレンガの枠と階段がある。

しかし・・・


「あれ、通れない。」

「え、どれどれ・・・」


私が先に進もうとすると、何かの力で阻まれる。その様子を見たレイは階段に・・・すんなりと通れた。


「あれ、私は問題ないみたいだけど・・・じゃあ、私が様子を見に行ってくるよ。」


レイは一人で階段を下りていき・・・しばらくすると、階段を上がってきた。


「レイ、どうだった?」

「この下が最下層で、ここに私の勇者武器の半分があった・・・偶然って凄いね。」


え?・・・こほん、とりあえずレイの勇者武器が揃ったしダンジョン攻略も出来たから素直に喜ぼう。

これで後は帰るだけだね。


「カガミは一緒に来る?」


私はカガミに尋ねると首を横に振った。


“あなた達の様な人間もいる事は分かりましたが・・・”


私達に慣れたとはいえ、他の人間の事もあるとね。私が家でも持っていたら話は変わりそうだけど。


「そうだよね。それじゃあね、カガミ。」


“ジェシカさん達もお気をつけて。”


カガミとはここで別れてダンジョン攻略も済んだ事で、私達は街の冒険者ギルドに報告をしに行く。



街の冒険者ギルドに戻ると、ギルドマスターが血相を変えて飛び込んで来た。


「ジェシカさん、レイさん。緊張事態ですので、至急王都へ向かって下さい!!」

「え??」


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

カガミの力を借りて、無事にダンジョン攻略出来たジェシカ達でしたが・・・

ギルドマスターから緊張で王都へ行く様に言われます。

次回から王都を舞台に話は進みます。


設定補足:カガミ

能力的には雪の章で仲間になったゲンさんと同じく、魔法や悪意、殺意などに対しての感知能力が大幅に向上します。

名前の由来は水鏡。攻撃や魔法を弾き返す事と性格はおとなしいので水面にたとえて名付けています。

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