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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
120/309

18、草原の奥に眠るもの (3)

草原の迷宮・・・最近になって発見されたダンジョンで、草原の中に赤茶けたレンガの枠と金属の扉という誰かの地下倉庫としか思えない作りだった為に誰も気が付かなかったのだ。

今回の攻略は現地集合するので、傍から見るとかなり不思議な光景だったりする。


「セルリア、レナードお待たせ。」

「あ、先輩。」

「よお、ジェシカ。」


そして、レイを紹介する。


「そして、こっちがレイ。黒の勇者だね。」

「セルリアさん、レナードさんよろしくね。」

「レイさん、よろしくお願いします。」

「よろしく頼むよ。」


軽く挨拶を済ませて、あらためて攻略の隊列を組む。

前衛が剣士のレナードとレイ、中衛に短い槍を持ったテイマーのセルリア、後衛は私がなる事になった。能力のバランスを考えれば妥当な気がする。


「じゃあ、行こうかユキ。」

「うん、ジェシカ。任せておいてよ。」

「お、おい・・・今、ウサギが喋ったんだが??」


ユキとテイムコネクトをする前にレナードが驚いている。


「あれ?レナードは知らないんだったっけ??」

「いや、聞いてないぞ・・・。」

「そうなんだ。テイムコネクト!」


私の頭にぴょこんとウサ耳が生えた所を見て、レナードが何かを納得した様な顔をして聞いてきた。


「もしかして、そのテイムコネクトという魔法はウサギと一体化する能力で・・・その間は中のウサギと話す事が出来るのか?」

「うん、そうだよ。」

「なるほど、俺は知らない間にウサギとの会話を俺との会話と勘違いしていたようだ。」


つまり、ユキとのテイムコネクト中に私がユキと話しているつもりでも他の人からは話しかけているように見えていた訳で・・・


「あらら・・・なんかゴメン。テイムコネクト中のユキとの会話が他の人にどう見えているか考えるべきだったね。」

「(僕もそこは考えてなかったかも・・・)」

「いや、むしろ何かスッキリした。よし、じゃあ改めてダンジョン攻略だな。」


レナードは何か心のつっかえが取れたみたいで、ダンジョン攻略に意気込んでいた。



ダンジョン攻略自体は・・・予想通り草原のモンスターとの戦闘になる為、このメンバーだと私がやる事ない・・・

ダンジョンの壁は入り口を作っていたレンガで出来ていて、道の広さは約2mほどで景色らしいものが無い。ボス部屋が5m四方でそれなりに広い程度。


「勇者というのは化け物ぞろいなんだな・・・ジェシカといい、レイさんといい・・・」

「いやいや、私は今日のダンジョン攻略でやる事ないからレポート作成しているくらいで。ちゃんとセルリアが斥候しているし、レイとレナードがサクサク倒すから。」


本当にやる事がなくて、レポート作成しか・・・


「そのレポート作成は普通、野営中か街に帰ってからまとめるものだぞ。」

「うっ・・・やる事ないんだもん。」

「まぁ、ヤツがいなければいいんだがな・・・」


私とレナードが話をしていると、レイが入ってくる。


「ヤツって何?」

「あぁ、いるんだよ。今の俺達で倒せるかどうか分からないモンスターがな。」

「そうか、レイにも話をしておかないとね。」


レイにあらためて西の草原の主について話をすると、レイは目をキラキラさせて・・・


「えっ?何、そのモンスターは。凄く会ってみたいなぁ♪」

「いや、遭わない事を祈っているのに・・・やっぱり勇者というのは変人ぞろいなのか?」

「レイも私も変人じゃないよ。レナードも失礼だなぁ・・・ん?セルリア??」


迷宮をサクサクと進むメンバー、その様子はほんわかしていたのだが・・・

その中でセルリアが少し落ち込んでいた。


「・・・セルリア、レナードなんでしょ?好きな人って。」


セルリアにそっと耳打ちすると、凄く驚いた表情をしていた。


「先輩、どうしてそれをっ!?」

「ごめん・・・ちょっと気付くのが遅れた。今回はこのままでいくからセルリアも頑張って。」

「え・・・それは・・・?」

「セルリアの為なんだ。ここで変な空気や距離感を出してしまえば、セルリアに悪い影響が出ると思うんだよ。」


私の意見を聞いて、セルリアは軽く頷き会話に加わる。


「そのモンスターは弱点とかないのでしょうか?万が一という事もありますし。」

「そうだな、対策は考えておくべきか。弱点は無いわけではない。まずはひっくり返す・・・草原にいるグラスタートルにはこれが有効だな。これで力尽きるまで亀は落下の衝撃を跳ね返し続ける。ただ、すごく重いと聞いているな・・・屈強な人を5人ほど用意しないと出来ないらしい。」


少し距離をとってセルリアとレナードの様子を見る、ちゃんと話は出来ている様だね。良かった・・・私が安心をしていると、ユキから声がかかる。


「(・・・ジェシカ、何か聞こえる。)」


どれどれ・・・私は意識を集中させ、音を拾い上げていく・・・


「なるほど・・・戦闘している?」

「どうしたの、ジェシカ?」

「あ、レイ。さっきユキから『何か聞こえる。』って連絡があってね。少し聞き耳を立てていたんだよ。」

「それで、どうだったの?」


レイの言葉に私は答えた。


「それが、誰か先にいるみたいで・・・戦っているみたいなんだ。」

「え、でもここってダンジョンだから当たり前なんじゃない?」


レイの指摘通り、ここはダンジョンだから戦闘をしているというのは珍しくない。


「ただ、呪文っぽいものが聞こえるんだよね。」

「それも普通じゃないの?」

「いや、詠唱する事自体が珍しいんだよ。それこそ意図的にやらないとそういう場面はないんだよ。」


この世界では無詠唱が当たり前で魔法を詠唱する事にメリットが無い事もないけど・・・

下の階層で起きている不思議な現象に私は警戒していた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

いよいよ始まる草原の迷宮の攻略。

予想通りの戦闘展開に余裕を見せつつも、草原の主への対策を考えます。

その中で下の階層から聞こえる呪文の様なもの・・・そこでジェシカ達は何を見るのでしょうか。

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