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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
12/309

12、再会は砂塵の中で (2)

「お久しぶりですね、ジェシカさん。」


ルークは持っていた炎の弓を瞬時に納めて、私のもとに駆け寄ってきた。


「ありがとうございます。とても助かりました。」


私がお礼を言うと・・・!!

ルークは私の手を掴んでいた。


「どうですかっ!ヒロインのピンチを救うってポイント高くないですか?」

「う~ん、それは・・・」


興奮するルークにはもう少し周りを見る事を覚えてほしい。

今は戦闘後、怪我している人もいて・・・とてもじゃないけどロマンのかけらもない。


「今は困っている人を助けよう。」

「あ、そうですよね。」


私たちとルークは辺りを見回してけが人がいないか確認をした。


「よし、大丈夫みたいだね。ユキ、いける?」

「(問題ないよ。)」


私は集中する。

東門周辺を捉え、そこに・・・


「ヒーリングっ!」


私は魔法を放った。

薄い青緑色の風は東門周辺を覆い、効果範囲内の回復・治療とどんよりとした空気を中和していく。


「これでよしっと。私は王様に報告に行きますね。ルークはどうしますか?」

「俺も行きますよ。」


ルークには助けて貰ったし報酬の一つはあっても良いのかな。

私は特に追求する事もしなかった。



「東門の一件はまことに大義であった。青の勇者ジェシカそして、赤の勇者ルークよ。」


・・・はい?

謁見の中、王様から衝撃の事実を知らされた。

さすがに謁見中にツッコミを入れるのは不敬なので、心にそっと納める事にした。



「えっと、ルークは赤の勇者だったの?」


駐屯地に戻った私はルークにツッコミを入れた。


「はい。僕、転生者で・・・ジェシカさんと会った時に運命を感じてしまったんですよ、ジェシカさんも同じ転生者ですよね?」


隠した所で仕方ないので正直に話す。


「うん。それにしては重婚にノリノリだったよね。」

「そ、それは男なら誰でも・・・分かりました、これから僕はジェシカさん一筋でいくからお付き合いからはじめていきませんか。」


「・・・」


私は言葉が出なかった。

・・・あれ?これって素直に喜ぶべきなんだろうけど・・・

だけど、私は・・・


「その・・・ごめんなさい。」


今まで言ってきた『ごめんなさい。』の中で、一番心が重い。

その様子を見たルークは何故か喜んでいた。


「お、これは脈ありと見ていいですねっ!きっと僕に振り向かせて見せますよ。」

「おっと、そいつはダメだな。」


横から口を挟むのはジン。いつの間に・・・


「俺の先約があるよな?なぁ、ジェシカ。」

「そんなものは無いよ(ニッコリ)」


私の即答にルークも呆れたのか口を滑らす。


「僕よりダメじゃないですか、ジンさん。」

「う、うるせぇよ。」


二人を見るとかなり打ち解けた感じがする。


「ジンとルークは顔見知りなんだね。」

「まあな。この間一緒に仕事をしてな。それにしてもルークのお気に入りがジェシカだったとはなぁ・・・俺とした事が迂闊だったぜ。」

「現状は僕が一歩リードしているみたいですね。」

「言ってろ、すぐに巻き返してやる。・・・おっとそうだった。お前たちに王様から伝令預かっているんだ。」


ジンは思い出した様に王様からの伝令書を出した。

内容は王都から東へ数キロ先にある魔王軍拠点の攻撃。私とルークで拠点を攻撃、ジンは王都の護衛。


「・・・俺、護衛かよ。」


ジンは中身を見ていなかったみたいで落ち込んでいた。


「よしっ、ジェシカさんに僕のかっこいい所見てもらいますよ。」

「ルーク、これは戦闘だからね。」

「分かってますよ。」


分かっていない感じのルークは放っておいて、準備を進めた。



青、白、赤の勇者が一堂に揃う。

あらためて顔を揃えるとそれっぽく見えるのはなんとも・・・


「ジェシカとルークは拠点攻撃頼んだぞ。」

「任せて下さい。僕とジェシカさんの愛の力で魔王軍倒してきますから。」


ルーク・・・恥ずかしい事を平然と言わないでね。


「あ、そうだ・・・テイムコネクト、シノブ。フォローウインド。」


黄緑色の風がジン、アオイ、アキラの3人を包む。


「護衛のみんなに風の加護を付与しておいたよ。」

「ありがとうね、ジェシカちゃん。」

「うん、護衛は任された。」

「なんだジェシカ・・・嫌っているムーブを見せつつ補助魔法とか、お前ツンデレかよ。まぁ、お前の愛は受け取っておくぜ。」


・・・ジンの補助魔法だけ解除しようかな。

というか、ルークもジンもなんでいちいち愛とか言うかなぁ・・・



アルカーナの魔王軍の拠点周辺ー

オアシスに拠点を構えていて、周辺には隠れるのにちょうどいい植物が自生していた。

そして、拠点から少し離れた所に私たちとルークはいる。


「じゃあ行きましょうか・・・レーヴァテイン。」


ルークは左手を掲げる。

掲げた左手に呼び出した炎の弓、右手に炎の魔力をまとめて矢を作る。

そこから矢を空に向けて放つ。


・・・あれ?

なんかルークの弓の動作に違和感を覚える。


放たれた矢から上空に炎の魔力の塊が生成されると、そこから無数の炎の矢が放たれる。

拠点では急襲に混乱している様で所々からモンスターの叫び声がしていた。


「あの攻撃は少しの間継続しますので、今のうちに拠点を叩きに行きましょう。」


手を伸ばすルークの手を取り、私たちは拠点を叩きに行く・・・


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

赤の勇者がルークで、こちらから攻勢に出るという話ですね。


次はジェシカの感じていた違和感の正体が明らかになります。



設定補足:ルーク

髪は短く、色は茶色。見た目は爽やか系の17歳。一人称は「僕」

軽装の中で比較的目立つのは両手の装飾が入った丈夫そうなグローブ。得意属性は火

ジェシカと同じく異世界転生者で同じく転生後の職業と勇者の二つある。

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