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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
118/309

16、草原の奥に眠るもの (1)

ここは街のギルドマスターの部屋

レイはユキと一緒にお留守番をしてもらい、私はギルドマスターに自分が青の勇者になった報告をしに来ていた。


「ジェシカさん、よく来ましたね。」

「マスター、私・・・勇者になりました。」

「はい。」


・・・


「あの、私は勇者に・・・。」

「分かりました。」


・・・?


「・・・あの、驚かないんですか?」

「いえ、むしろジンさんからのご指名があった時点で何となくそう思っていましたから。挨拶に来られたという事は後日勇者認定の書類が来るという事ですね。」

「はい・・・。」

「そんな寂しそうな顔をしないで下さい。勇者になったと言っても王国から給料が入るだけで、今生の別れという訳もありませんから。気が向いたらいつでもギルドの仕事をしていただいていいんですよ。」


私が寂しそうな顔をしていたのだろうか、ギルドマスターは微笑みながらゆっくり答えた。

街に来たのは5年くらい前で、私が冒険者として一番お世話になったのがギルドマスターだった。

偶然、私の冒険者適正を見てくれて今住んでいる宿屋への手配とかいろいろと見てもらい・・・本当の親ではないけど、親みたいな人だった。


「はい。」

「良い表情になりましたね。そうそう、西の草原に新しいダンジョンが発見されてセルリアさんが調査する事になったんですよ。彼女はあなたが冒険者ギルドから離れると寂しがりそうなので、一緒に受けてみてはどうですか?良い思い出になると思いますし。」

「なるほど・・・もし良かったら、私の友人も一緒に受けても良いでしょうか?」

「構いませんよ。ダンジョン攻略の成功率が高い方が良いと思いますし。」


攻略メンバーはセルリアとレナード、私とレイの4人になるそうだ。

・・・ん?レナード??


「あ、レナードさんはあなたにプロポーズしてますよね。まぁ気にしなくていいと思いますよ。」

「え・・・それって大丈夫なんですか??」

「えぇ、彼も気にしている雰囲気でもありませんでしたし。攻略は3日後ですので、準備をお願いしますね。」


ギルドマスターは気楽に笑っているけど、そんな簡単で良いのかなぁ。

ダンジョン攻略は3日後なので、メンバーにはきちんと挨拶しておこう。


冒険者ギルドのロビーに出ると、早速セルリアとレナードが仕事の話をしていた。


「今回は新しいダンジョンの攻略だからな・・・ここはこうしておくと良い。」

「はい、頑張ります。」


セルリアは少し頬を赤くしながら、意気込みを見せていて何か憧れの人と話しているかの様な。


あれ、もしかしてセルリアの好きな人って・・・


「セルリア、レナード久しぶり。」

「あ、ジェシカ先輩!」


私の声に元気よく振り向くセルリアと


「よう、ジェシカ。」


特に何ともなく返事するレナードの姿があった。

ギルドマスターの言う様に気にしなくてもいいのかもしれない。


「今度、2人の草原のダンジョン攻略に協力する事になったんだ。よろしくね。」

「よろしくお願いします、先輩。」

「お・・・おう。一応、俺の出番は残しておいてくれよ。」

「うん・・・実はもう一人いて・・・その人、黒の勇者なんだ。」


レナードの不安そうな言葉に、私は正直に一緒に来る友人の話をする。


「えぇっ!?黒の勇者さんが手伝ってくれるんですか!?」

「はあっ!?俺の出番ないじゃないかよ・・・ジェシカ1人でほとんど出番なかったのに・・・」


2人とも流石に驚いていた。やっぱりそうなんだ・・・

折角だからここで話しておいた方が良いよね。


「私、青の勇者になっちゃってね。ギルドメンバーから外れる事になったから、今回のダンジョン攻略は記念みたいなものなんだ。」

「そうなんですか・・・寂しくなりますね。」

「そうか、俺達も頑張るよ。」


・・・あれ?


「え?そこは驚かないの?」


私のツッコミに2人は苦笑いをする。


「いえ、先輩の場合・・・普段から常軌を逸していましたし、勇者と言われた方が納得できます。」

「・・・だな。それにしても、勇者2人とかダンジョン攻略は楽勝なんじゃないか?」


ダンジョンは周辺の環境に影響されるので、主に西の草原にいるモンスターとの戦いになるだろう。

西の草原のモンスターは街の周辺に住むモンスターの中では弱い方に入るが・・・


「グラスタートル・・・」

「そいつがいたか・・・」


私とレナードはとあるモンスターの名前を思い出し、ため息をつく。


「どうしたんですか?先輩もレナードさんも暗い表情していますが??」

「実はいるんだよ。西の草原にはグラスタートルというとんでもないモンスターが。普段はおとなしいけど、こちらから攻撃したら手痛いでは済まない危険な亀が。」

「あぁ、あれがいない事に賭けるしかないか。」

「そんなモンスターが・・・興味ありますね。」


セルリアの好奇心は評価するけど、私個人としては戦いたくないモンスターだね。

見た目は普通の亀でモンスターっぽくもないし・・・レイがどうやって戦うのかは興味あるかな。


ひとまずレイへの報告とこれからの準備もあるので、二人には3日後に草原の遺跡前に合流する約束をして、私は宿屋に帰る事にした。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

街に戻ったジェシカは冒険者ギルドに勇者認定の報告へ行きます。

そこでセルリアとレナードに協力して、草原の遺跡攻略の手伝いを引き受ける事になります。

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