表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
114/309

12、黒と黒と黒は衝突する (1)

遺跡に向けて出発をする日、前日に鍛冶ギルドから新しい装備品を受け取り準備は万端だった。

まずは中継地点の村に向けて馬車で移動して、村で更に遺跡攻略の準備をする。

そして、遺跡を攻略するのが今回の流れになる。


「よっ、ジェシカ。また装備が変わった様だな。」

「ジン、よろしくね。今回はグローブとブーツの強化をね。まぁ、楽しみにしててよ。」


そんな私の話を聞いたジンは軽くツッコミを入れる。


「戦闘の時くらいしか見れないのだから、遠回しに戦いを望むなよ。」

「それもそうか。あはは・・・」


ジンと軽くやり取りしてから馬車に乗って村へ移動する。

街の北には森が広がっているが、王都に行くまでの道はきちんと舗装されている。

但し、今回の遺跡が近くにある村は王都までの大きな道は通らずに途中で細い道を進んでいく。


「近くに黒龍が出てくるのか・・・気をつけておきたいな。」

「でも、4人全員でかかれば大丈夫じゃないかな。」


私は何とかなるんじゃないかなぁとは思っていたけど、ジンは落ち着いた表情をしていた。


「油断は出来ないな。俺たちは旅をしているが、まだ黒龍と戦った事はないからな。」

「そうなんだ。気をつけるよ。」



馬車に揺られて約半日、一行は村に着いた。

のどかな村で石を土台に木で壁や屋根を作った作りの建物が数件並んでいる。


「勇者様、お久しぶりです。」

「よう、元気してたか?」

「はい。今、村長を呼んできますね。」


入り口に立っていた青年がジンに軽く声をかけると、村の中に駆け込んだ。

そして、しばらくすると村長がこちらに来た。


「勇者様、よく参られました。皆の者、宴じゃ!・・・と言いたい所ですが、夜になると黒龍が徘徊する様になってしまいまして・・・今は早々に寝静まる様にしています。」


ここにも黒龍の影響が・・・村長は落ち込んだ表情でジンに話す。


「気になさらないで下さい、村長さん。黒龍は俺達に任せて下さい。」

「おおっ、ありがとうございます。ゆっくりしていただける様に宿屋を手配しておきましょう。」

「村長さんありがとうございます。」



私達は宿屋に向かうと、ジンがある人を見て声をかけた。


「あれ?レイじゃないか。」


ジンの視線の先には黒い短髪の男の子?が店で買い物をしていた。


「ん?・・・げ・・・ジンが何でここに?」


ジンを見るなり嫌そうな顔をする男の子?を見たアオイとアキラが声をかける。


「レイちゃん、久しぶり。」

「レイ、元気にしてた?」

「わぁ、アオイとアキラ久しぶり~♪」


レイはアオイとアキラに歩み寄り喜んでいた。

この様子からして、どうも女の子の様だ。


「・・・えっと、誰?」


私はもちろん置いてきぼりをくらう事になる訳で、ジンは説明をする。


「彼女はレイ。黒の勇者だ。」

「黒の勇者・・・。」


レイは私とジンが話しているのを見て、話に入ってくる。


「そこの女の子。隣の男はとんでもない奴だから近づかない方が良いよ。」

「おいおい、ジェシカに変な誤解を招くだろう。」

「ジェシカさんにベタベタくっつくなよ。バカがうつるだろう。」


私とジンの間に割って入り、ジンにシッシッと手を動かすレイ。


「レイさん、そんなに・・・」

「良いんだよ。あんな奴には近づかない方が良い。」


・・・何かモヤッとする。


「レイさん、やめて下さい。」

「ん?」

「どうして、ジンにそんな事をするのか分かりませんがやり過ぎではないですか?」


私の言葉を聞いて、レイはキョトンとする。


「ふぅん。私は気の合う人か自分より強い奴しか言う事は聞くつもりはないけどどうする?」

「おい、レイ。彼女は冒険者だけどまだ一般人だからな。」


レイの言葉は私を挑発していた。


「これは挑発だよね。私は受けるよ。ジンは手を出さないでね。」

「ジェシカ・・・お前って、時々脳筋入るよな。分かった、俺が見届けよう。」

「じゃあ、ユキはジンと一緒にいてね。」


ユキをジンの肩の上に載せる。

流石に得物はやり過ぎと判断したので、木の棒で手合わせをする。


「木の棒でいいの?その黒い装備品とか使ってもいいんだよ?」

「あくまで手合わせですからね、レイさん。」

「レイで良いよ。君とは何か気が合いそうだし。」

「私もジェシカで。じゃあ・・・よろしくね、レイ。」


私は速攻を仕掛ける。

しかし、レイは見切っているかのように私の攻撃を受ける。


そこから突きを入れる私の動きを察知して


「え、体当たり?くっ、まだまだっ!」


体当たりをする事で突きの威力を殺しながら、私との距離を取る。

何で距離を?と思いつつ、私は攻撃を仕掛け・・・


レイは静かに構える。それは侍の・・・


「抜刀・・・」

「二人とも、ちょっと待った!!」

「え??・・・ウサギが・・・」


危険を感じたユキが私達に声をかける。

途端レイの構えが緩む、そこに私の縦振りがレイの頭に・・・

勢いは単純に止められない・・・ごめん、レイ。


「ユキ、割って入ったらダメだよ。レイには謝らないとね。ユキもだからね。」

「それにしても、レイさんは何で構えが緩んだんだろう??」


レイは気絶しているので、起き上がるまで待とう。



「・・・いった~、やるねぇジェシカ。」


気絶から復帰したレイは頭に出来たたんこぶを右手でさすりながら起きた。


「ごめん、レイ。ほら、ユキも謝って。」

「レイさん、手合わせに割って入ってごめんなさい。」

「お~」

「えっと・・・レイさん???・・・ぐえっ。」


喋るユキにキラキラした目を向けていたかと思えば、レイはユキを抱きしめていた。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

青の勇者武器を求め、街の北にある村へ行くことになったジェシカ達。

そこでレイと出会います。

ジンの扱いについて手合わせをする2人にユキが話しかける事で流れが変わります。


雪の章ではピンチの所を救って貰う流れになりますが、月の章ではぶつかる事で仲良くなります。

何だかんだでレイとは気が合うという事ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ