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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
月の章
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3、その出会いは唐突に (3)

鍛冶ギルドから装備完成の報告を受けたので、早速取りに行った。

受付にユーゴがいて、満足そうな顔をしていた。


「こんにちはユーゴさん。」

「譲ちゃん来たか。リクエストがあったレイピアの改良とグローブとマントだな。」


早速装備をしてレイピアを抜いた。

刀身は少し黒みかかっていて、本体はかなり軽い。


「これが新しいレイピアですか。かなり軽いですね。」

「牙の粉末を入れる事で、今までのものより“しなり”と“軽さ”を持った感じだな。ここでは試し切りは出来ないけど良い物には仕上がっているから期待していい。防具は皮を使用したものだ。グローブは細かい作業が出来つつも防御も損なわず、マントも飛び道具を受け流しやすく作ってある。」

「良い仕事していますね。」


グローブを付けた手を開いて閉じてみて動きが良い。

そして、マントも違和感なく風に揺れている。


「まぁ、強いて言えば色は黒以外に出来ないからデザインが問題だな。」

「そうですか?光沢のある黒は綺麗ですけど。」

「そうか。流石は『変わり者テイマー』と名高い譲ちゃんか。」

「『変わり者テイマー』ですか?」


有名な冒険者になると、大体二つ名が付くけど・・・え、変わり者??


「テイマーといえば動物を使役して戦うのが普通だが、譲ちゃんはそんな様子がないって話じゃないか。」


あぁ・・・私の場合はユキと一緒になって戦っているからそう言う風に見えるのか。

でも、変わり者は酷くない?


「譲ちゃんは戦闘より調査の方が有名でこっちに来るとは思わなかったから、俺の装備品が気に入ってくれたらまた利用してくれ。」

「良い物が入ったら相談しますよ。」

「期待しているよ。」



「何かワクワクしているね、ジェシカ。」

「それは新しい装備だからね。」


鍛冶ギルドから出て冒険者ギルドに向かう。

早く使って見たくてワクワクしていた。


「ちょっと待ってくれ。」

「・・・ん?・・・えっと、私ですか?」


いきなり男性から声をかけられる。

黒髪のツンツン頭の体育会系っぽい男性。そして、その男性の後ろに長い黒髪の聖女っぽい女性と短い黒髪のローブを着た女性がいた。


「そう、君だ。」

「・・・えっと、誰ですか?」


私の疑問に男性はハッとなり


「すまない、俺は白の勇者で名前はジンだ。」

「私はアオイ、聖女をやっているよ。」

「私はアキラ。魔法使いね。」


どうも勇者パーティーらしい。ジンの挨拶に続き、アオイとアキラも挨拶をする。


「ご丁寧にどうも。私はジェシカといいます。」


私がペコリとお辞儀をすると


「えっ!?あんたが『変わり者テイマー』のジェシカさんかっ!?」

「あ、その二つ名やめてほしいなぁ・・・」

「それは悪かったな。実はあんたが勇者だという反応がこれに出ていてな。」


ジン達がペンダントを取り出すと、ペンダントが輝いていた。


「勇者?私が・・・??」


状況がチンプンカンプンだった・・・とりあえず言えるのは


「そんなこと有り得ませんよ、アハハ。」

「いや、ある場所に一緒に来てくれないか?勇者武器が間違える事は・・・。」

「それは僕の事かもしれない。」

「え・・・」


私が否定するけど、ジンが焦り

更にユキが話に加わる事で・・・


「「「ウサギが喋ったーっ!?」」」


3人のツッコミが入り、話がややこしい事になった。



とりあえず、冒険者ギルドに入ってジンからギルドマスターに話を通してもらい会議室を借りた。


「・・・で、こちらのウサギは?」


ジンの質問にユキは答える。


「僕の名前はユキ。かつて青の勇者ラピスとしてこの世界に召喚されたんだ。」


ユキから語られる衝撃の事実。

突っ込むのも野暮なので、ユキの話を聞いてみようと思う。


「そうなのか。で、ユキと言ったが・・・どうしてウサギの姿なんだ?おそらくだが、勇者として召喚されたのであれば元は人間なんだろう?」


まぁ、ウサギが魔王を倒すシュールな姿は想像つきづらいわけで、ジンはユキに尋ねていた。


「元は人間だね。僕は魔王を倒した後、この世界で好きになったお姫様と結婚したんだ。」

「あぁ、それは聞いたな。だが、それでウサギにはならないだろう?」


青の勇者の話というのは有名だったらしい。

異世界の勇者がこの世界のお姫様と結ばれるというロマンチックの塊だからね、仕方ないね。


「その後、魔王がいなくなった世界では各国で戦争が起こる様になった。魔王がいる間は共通の敵として魔王がいたから結束していた訳だけど、魔王がいなくなる事で空中分解してしまった。本当に皮肉な話だよね。そして、僕はその戦争の中で勇者の力を使って・・・それに怒った神様は僕をウサギの姿に変えたんだ。それから500年、僕は今でも罪を償っている。」

「そうなのか・・・じゃあ、ユキにこの勇者武器が反応していた訳か・・・。」


ジンは少し考えて、ユキの前脚を掴む。


「今は青の勇者がいない状態で、魔王軍には防戦一方なんだ。だから、ユキには俺達と一緒に来てくれないか?」

「それは・・・」

「それは困るよ。ユキは私の家族なんだから!」


ジンの提案に言い淀むユキ。

ユキの助け舟になる様に私が答えた。


「しかしなぁ、君達の世界が大変だと言うのに君達が協力してくれないのはどうかと思うぞ?」


ジンの反論は尤もだ。

だから、私の結論は決まっていた。


「じゃあ、私もついていきます。」


その答えにジンは驚く。


「いや、確かに調査員や斥候としての技量は高いとは聞いているが・・・。」

「その点は問題ないよ。実力なら僕が保証するよ。」

「それじゃあ、分かった。青の勇者武器の間に行くまで協力してくれるか?ユキが青の勇者じゃない可能性もあるからな。」

「ありがとうございます。」


しぶしぶ了解するジンに私はお礼を言った。



それから今後の計画を話し合う。

青の勇者武器はこの間お手伝いをお断りした遺跡に安置されているらしく、その後のジン達の調査で勇者武器と確認出来たそうだ。


話し合い途中、会議室の扉がノックされる。

ギルドマスターが入って来てジンに手紙を渡す。


「・・・どうも、確認は後になる様だ。魔王軍が集まっているそうだから、まずは防衛が優先だ。ユキ、ジェシカさんはついてこなくても・・・」

「私達も行くよ。」

「すまないな。助かるよ。」


そう言って私とジンは握手を交わした。


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

月の章でのジン達との出会いになります。

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