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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
100/309

100、エピローグは祝福の空に

「んん・・・」


胸元に暖かくてふんわりとした重みを感じる・・・

目を開くと、目の前にはキョトンとしたユキとモニカとウィルの姿があった。


「ジェシカっ!!」

「あはは・・・ユキ、ただいま。」


私はゆっくり半身を起こして、帰って来た喜びをユキと分かち合う。

戻ってきて良かった。


「そういえば、傷はっ!!あ・・・消えてる。」


私は右手で傷がある場所を擦ったが

脇腹にあっただろう傷もなくなっていて、服の破れと血の痕だけが傷があった事を証明している様だ。


ぐぅ~


安心するとお腹がなって、余りの緊張感の無さにみんな笑っていた。



ロッソに帰ると勇者全員が集まっていた。遠くから見てくったくたになっているのは分かる。

作戦は無事・・・って言ってもいいのかな。みんなは怪我がないみたいで良かった。


「ただいまっ!」

「!!・・・ジェシカっ、お前・・・お腹が・・・いてっ、何をするんだよ。」

「それはこっちの台詞だよ。何、こことぞばかりに私の脇腹さすっているのよ。」


ジンがお腹をさすって来たので頭にチョップをする。


「ふむ、お主たちは元気じゃのう。」

「「「ま、魔王っ!!」」」


みんな驚いて、武器を構えるけど・・・

私は間に入ってみんなを止める。


「ちょ、ちょっとまって!モニカはもう魔王じゃないよ。」

「ん?力試しをするって話じゃないのかの??ちょっとワクワクしてたのじゃが。」


モニカ・・・それめんどくさくなりそうだから、やめようね。

私はみんなに説明をするとキョトンとしていて・・・


「相変わらず無茶しやがって・・・これだから、俺がおま・・・ぐふぅ」


相変わらずジンが私の両手を掴んでくるけど、他のみんなが駆け寄ってきてジンは突き飛ばされる。


「良かった。ジェシカさんが無事で・・・え、ちょ・・・」


今度はルークが私の両手を・・・でも、押し流されていく。


「ほらほら、ジンとルークは毎度毎度くっつかない。それにしても、ジェシカが無事でよかったよ。」


レイは私の頭を撫でる。この展開は珍しい・・・


「ジェシカちゃんは無茶し過ぎだよ。めっ!」

「うん、あんまり無茶するなら縄で括り付けて・・・」

「アオイごめん、アキラは私を何だと思っているのよ。」


アオイ、アキラも一緒に笑う。

本当に終わったんだなぁ・・・


「ジェシカ。」

「どうしたの、ユキ?」


肩に乗っていたユキが私に声をかける。


「君がいなかったら、この世界がいくら平和になってもみんなは笑顔で終わらなかったんだからね。」

「反省します。」


ユキの言葉が重く響く。


「これで終わったんだ。」


ユキの前脚は私の頭を撫でる。


「うん・・・。」


私はユキの前脚に手を合わせて戦いの終わりをかみしめる。



王国に黒龍の巣の殲滅、神殺し討伐の報告を済ませたり

戦いが終わったらやっておきたい事、やりたい事を済ませていき・・・


いよいよ私とユキの結婚式が始まる。


控室でウエディングドレスに身を包んで、いよいよ結婚するんだなぁ・・・とワクワクしていた。

扉がノックされたので「どうぞ。」と答えると、ユキが入ってくる。


「綺麗だよ、ジェシカ。」

「ありがとう。ユキは・・・ちょっとネクタイが曲がっているよ。」


私は少し曲がったユキのネクタイを直した。


「これでよし。」

「ありがとう。」


ユキの言葉に改めて振り返る。長かったなぁ。


「・・・ここまで来たんだね。」

「・・・そうだね。じゃあ、僕は先に式場で待っているよ。」

「ユキ、またね。」


これから幸せになるんだし、控室でガッツリと語らなくていいかなぁと思った私達は軽くお互いの顔を合わせる程度に終わらせた。


少し控室で待っていると、父が入ってきた。


「ジェシカ・・・ライザにも見せてあげたかったなぁ・・・うぅ・・・」

「お父さん・・・」


感極まって泣く父の背中を私は撫でる。


「すまないね。年を取るとどうにも・・・ね。」

「お母さん、見てくれていたらいいな。」

「きっと、見てくれているさ。見るなと言っても見ているんじゃないかな。」

「うん。」


父のエスコートでヴァージンロードを歩いていく。

前にはユキが待っていてくれて・・・いよいよなんだ・・・とドキドキしていて・・・

さっきから同じ事を考えている気がする。


幸せになるんだ。


これ以上は結婚してから考えよう。目の前にいる大事な人を前に、私は気持ちを落ち着かせる。


結婚式の流れはこの世界でも変わらなかった。

神の前で愛を誓いあい・・・そして、指輪を交換は出来なかったけど・・・


口づけを交わす。


ポンッ


・・・ん?

この世界の結婚式ではサプライズでもやるのだろうか??


ユキと口づけを交わすと、すごく間の抜けた爆発音と一緒に・・・

私の目の前に、銀色の短髪で青い瞳の顔だちの良い新郎衣装の男性が立っていた。


「え・・・えっと、ユキ??」


私も結婚式に参加してくれたみんなも今起きている状況に唖然としていて、どうも誰かがサプライズで準備をしていた訳ではないらしい。


「どうしたの?ジェシカ・・・??」

「・・・そうだ、ユキ。自分の手見える?」

「僕の手?何を言って・・・え、嘘・・・。」


ユキも自分の手が人間に戻っている事に驚いていて


「ジェシカ、これをっ!」


レイが投げた手鏡を受け取ると、私はすぐに鏡でユキに自分の顔を見せた。


「人間の姿に戻っている・・・。」


本人の確認が取れた。

正直な所・・・このタイミングで神様がユキを戻すとは思えない。


私は少し考える。

そして、1つの結論を出した。


『ユキの罪は1つではなかった。』


これが1番しっくり来た。

確かに、魔王とは関係のない戦争で多くの人の命を奪った事は問題だけど、ユキは500年間きちんと悔いてきた。

そして、ソフィアさんとの愛を信じる事が出来なかった事。

これについてはやっと本人と話しているからね、仲良くなれて良かったよ。


後は、私の転生後にしばらく放置してた件かな。

一応、神様からお目付役を指名されたんだから、サボったらダメだよね。


ユキの罪はちゃんと償えていたんだ・・・


「ふふふ。」

「どうしたの?ジェシカ。」

「いや、一人称は『僕』だったから、てっきり可愛い系の男の子を予想してた・・・。」

「合ってないかな?」


私はユキの言葉に首を横に振る。


「ううん、ユキはユキだから・・・あ。」

「今度はどうしたの?」


元に戻ったという事は、名前を・・・


「やっぱり、ラピスって呼んだ方がいいよね?」


今度は私の言葉にユキは首を横に振る。


「いや、ユキのままが良いんだ。」

「何で?」

「君が僕に初めてくれたものだから。捨てる訳にはいかないよ。」


本当にずるいなぁ・・・ユキは。


「ユキ・・・」

「ジェシカ・・・」


私達はあらためて誓いの口づけを交わした。


(終わり)

最後まで見ていただきありがとうございます。

ユキルート完結になります。


プロット自体はジンとルークのルートも考えていたのですが、ユキルートでの話でまとめました。

伏線回収はしたつもりですが抜けてる箇所があったらすみません。

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