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異世界でも恋愛は出来ますか?  作者: 香坂 悟
雪の章
1/309

1、星空はこんなに綺麗なのに

物語だと異世界転生しても前世通りに恋愛できるのに、何で私の転生先だけ・・・


私、ジェシカはある男性剣士から指定した場所に呼ばれていました。


綺麗な星空が見えるバルコニーで、下にはレンガ造りの情緒ある建物。

うっすらと灯る明かりが夜景ほどじゃないけど、結構ロマンチックで。


そして、隣にはかっこいい彼がいて、右手に収まるくらいの小箱。

転生した私も前世に比べたら全然美人だし、これは期待するじゃないですか。


彼は私に振り向いて大きい声で言った。


「結婚してくれ、ジェシカ!!3番目の妻として!」


はぁ・・・またかぁ・・・

今度は3番目の妻かぁ、この彼は奥さん2人もいるのかぁ。

嫁姑戦争ですら勘弁してほしいのに、奥さん同士のギスギスした関係とか私は嫌ですよ。


「・・・ごめんなさい。私、よく知らない人からのいきなりのプロポーズはお断りしているんですよ。」


あ、これは私がモテているわけではないんです。

転生先の世界が剣と魔法の世界で、現在魔王と戦争中。


しかも、戦争以前に魔力の影響でかなり出生率が低いみたいで

男性の重婚やハーレムが当たり前の世界なんですよね・・・はぁ・・・


「ジェシカ、絶対に幸せにするからっ!!」

「本当にごめんなさい。あなたには私は幸せには出来ません。」


これはイヤミではありません。

前世はやっと夢の高校デビューが叶うと思った矢先に交通事故で死亡。

異世界転生前に、神様には「素敵な恋愛結婚をしたい。」とちゃんと伝えたんですけどね・・・はぁ・・・


「くそっ!後悔するなよ、ジェシカ。」


彼は小箱をしまうと、そんな捨て台詞を吐いて建物に入っていった。

一人残された私はバルコニーから見える星空を眺めながら


「はぁ・・・星空はこんなに綺麗なのに・・・」


溜まりに溜まった文句を神様にぶつけられずにいた。




1人で星空を眺めるのも飽きたので、宿屋に戻ってベッドに飛び込んだ。


「もういやだ・・・死にたい・・・」


ふかふかのベッドに声をぶつける私。

その隣で白いウサギが私に話しかけた。


「本当に勘弁してもらっていいかな。君が死ぬと僕も一緒に死ぬんだけど。」


隣で話す白いウサギ・・・名前はユキ。

私の職業はテイマーで転生特典として貰ったのがこの子。

索敵などに特化したこの子のおかげで色々仕事がやり易い。


「だって、せっかく異世界転生したのに素敵な恋愛出来ないんだよぅ・・・ユキ・・・」

「うーん、諦めて結婚したら?案外素敵な旦那様かもしれないよ?」


うわぁ・・・凄い適当に返すなぁ・・・

毎日の様に言っているせいで最近はユキの反応もつれない。


いや、どう考えても大切にされてはいないよね?ね??


「第〇夫人とかどこの国ですか?って話だし・・・ハーレムなんて特に嫌だよ。」

「わがままだなぁ・・・相手は大事に思っているかもしれないよ?」


なんでユキは男性側の肩を持つのだろうか。


「ユキ、それ・・・本気で言ってる?」

「さあね。」


この話になると、ユキとは意見が合わない。

まぁ、この子もこの世界の住人だから仕方のない事かもしれない。


う~ん・・・あっ!!


「ユキって男の子だよね?ほら、こういう世界なら変身してカッコイイ男の子とかならないの?」


私は前世で見たある物語を思い出して、ユキに聞いてみる。

カッコイイ男の子に変身できれば尚良し♪私ながら良い考えだなぁと思った。


しかし、そんな私の言葉にユキは露骨に嫌そうな顔をして答える。


「・・・ジェシカこそ本気で言っているの?僕はウサギなんだけど。しかも、変身しないからね。」

「うん、割と本気だよ。変身は出来ないのかぁ、うむむむ・・・ケチ。」

「ケチじゃありません。」


残念・・・ユキが男の子に変身できるなら、いつも一緒だし恋愛結婚も視野に入れる事が出来るのに。

ウサギ?そこは気にしていない。だって、既に異世界転生したし私の知っている話なら異種族恋愛くらいなら全然守備範囲だから。それに私自身、ユキは好きだし。


「それは・・・まともにお話が出来る男の子がユキぐらいだし・・・」


私がそういうと、やれやれと言わないばかりに


「ジェシカ、それって単純に男慣れしてないだけなんじゃないかな。」


ユキは図星をついてくる。

それは前世含めても、まともに・・・


「うっ!・・・だって、今まで男性とお付き合いした事ないし。」

「面倒だね、ジェシカは。」

「ふん、私は面倒だもんっ!」


ユキの言葉にふてくされた私は仰向けになって、天井を見つめる。


木目が綺麗な天井を眺めながら、ふとある疑問を考えていた・・・


「それにしても、いくらこの世界が重婚やハーレムが常識でも、どうして私と仕事をした男性はすぐにプロポーズをしてくるのだろう?」


何故か仕事をした後、男性からプロポーズを受ける・・・さっきの剣士の人もダンジョン調査後にいきなり呼び出してきたのでビックリしていた。


「さあね。」


相変わらず素っ気ないユキ。


「・・・もう寝るよ。おやすみユキ。」


考えるのにも疲れてきた私がそういうと、ユキは真面目な事を言ってきた。


「ジェシカ、寝るならちゃんと髪は解いてから寝間着を着ようね。」

「分かってま~す。」


私は髪を解いて寝間着に着替えて、毛布を掛けると

明かりの灯ったランプに念を込める。


異世界らしく、それだけでランプに明かりが灯ったり消せたり出来るのだ。


「おやすみ、ユキ。」

「おやすみ、ジェシカ。」


私は温かい毛布にくるまりながら、その日は眠りについた・・・


(続く)

最後まで見ていただきありがとうございます。

今回は「異世界恋愛」についてですね。


文字数は2000~3000目安で進めていきますので、楽しんでいただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 出生率を上げるためにはハーレムや重婚はむしろ禁止するべきなのでは…。 例えば1人の男が4人の女と生む子供より、4人の男と4人の女から生まれる子供の方が ①人数が多い ②父が老いており母…
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