祝われない結婚
ここに二人の男女がいる。そして今日は、二人の愛を誓い合う日であるが、両者ともに表情は暗く、酷く沈んでいる様子だ。さらには、式の様子も可笑しい。
「今日はなんて良い日なんだろう! クズ同士をくっつけて捨てられるのだからな」
そう言った男性は、ボトム・クズフター。この世で一番無能が嫌いな人物であり、クズスター家の当主。子爵。
「ええそうね。17になるまで育ててやったのに全く魅力がないなんてね? 女は人に媚びて、初めて女になるのに……ずーっとロボットみたいに動かない表情! 気持ちが悪いわ」
続けて隣の女性が言うのは、ケバ・クズフター。自分の娘を公爵家に嫁がせるために教えてきたが、娘に才能がないため、育てることを放棄した親である。
「それはこちら側もですよ~。あの男は御存知の通り、養子なんですが……表情のひもない位に能面! 似たもの同士くっつくなんて実に幸せでしょうねw」
新郎の父親、キモ・イデエス。幸せそうな表情を浮かべている。おそらくクズ同士捨てられるから。
「これでもう会えない……名残惜しいわね。イジメる相手がいないから! 」
母親。ゴーミ・イデエス。言ったセリフには名残惜しさなど微塵に感じない。
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列席者はこれだけ。そして神父もいない。どうしてこんな式があるのか? その理由は、ただ辱める、イジメるだけである。
しばらく列席者の暴言は続いた。しばらくして、新郎が逃げ出してしまったので新婦一人で暴言を受けた。
名はエリストール・クズフター。無能で、無表情。ロボット女と呼ばれている。
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式……というより辱めの式は終りを迎えた。しかし、一人の女の啜り泣く感情があった
(お父様…お母様…ごめんなさい。なにも出来なくて)
そう思い、歩く。用意された家に向かって




