第肆話 魔王の力
役逆ミニ紹介!
No.5 勇者
本名 テイム・ハザード
年齢 20歳(アルガァ没時)
性別 男
好きな食べ物 トマト
嫌いな食べ物 魚全般、トマト以外の野菜
得意武器 槍
「僕だって、君のことが気になるしね。」
…俺の何処が気になるんだ?
気になる点はないはずだぞ。見た目は完全に村人だし、魔力とかも偽装しているし。
…あっ、<光剣>があったわ。確かにあれは殆どの者が出来ないからな。
「…そうか。」
俺はそれだけを言い、イルスの方に手を伸ばした。
「じゃ、仲間になるんだったら、俺と握手してくれ。こういうの、一度やってみたかったんだ。」
イルスは「最初が僕で良ければ…。」と言って握手してくれた。
握手を交わし、手を下ろしたその瞬間だった。
木々から狼が襲いかかってきた。数は十体か…。
実はこの狼には気づいていた。が、イルスを仲間に入れたいために、わざと無視していた。
イルスは狼に気づき、剣を抜こうとするが、それじゃあ間に合わない。
俺はイルスに力を見せるべく無詠唱で、手を下ろしたまま、魔弾を狼に向かって放った。
狼は俺の魔弾を食らい、転倒した。
「今の魔弾って、アルが出したんだよね?」
いきなり転倒した狼を見ながら、イルスは俺に質問してきた。
「もちろんだ。この森には俺達以外はいないからな。」
俺は手を地につけた。そして無詠唱で氷魔法を使用した。
「…丁度いい!イルス、この狼達でお前に俺の力を見せてやろう。仲間になったからには俺の力も知って欲しいからな。では最初は…<アイス・トラップ>!」
すると、俺達の周りに氷の床が出来た。
これは、その床に触れた者を氷漬けにする罠だ。
これなら狼達はイルスに近づくことが出来ないだろう。
「キャンッ⁉︎」
犬みたいな鳴き声が聞こえた。
つまり、罠にハマったということだ。
「凄いね。普通の<アイス・トラップ>なら、触れた部位だけ
が氷漬けされるのを、アルのは体全体が氷漬けになるんだから。同じ初級魔法でも、ここまで違うんだね。」
イルスはこれだけのことで感心しているが、俺はまだこれしか見せていない。
俺は凍っている狼を始末するべく、鋼魔法を空に放った。
「次は…<ショットガン>!」
空に放った鋼の塊が、分解され、狼目掛けて飛んでいった。
鋼の弾が氷漬けになった狼を貫き、致命傷を与える。
「…こんな魔法見たことないね。驚いたよ。」
「それじゃあ、もっと凄いものを見せてやる!<ストレージ・オープン>!」
俺はストレージと言う、大容量のアイテムボックスを空間に設置し、その中に手を突っ込んだ。
そして、求めているものを掴むと、引っ張り出した。
「…!」
出てきたものを見て、イルスは驚いた。
俺が出したものは、魔王時代に愛用していた剣で、異世界の商人から購入した、電撃剣だ。
実はこれ、かなり改造しており、性能は完全に聖剣を超えている。
ちなみに電撃剣というのは、<魔法剣>という能力を使った時、持ち主によって属性が変化するという、いわば<属性剣>だ。
しかし、<属性剣>とは違い、属性を切り替える時に魔力を消費しないという点がある。そのため、俺は電撃剣を気に入ったのだ。
余談だが、誰でも雷属性が付与できるようになっているため、初心者にもおすすめだ。
で、<属性剣>は既に魔術として存在しているため、名前を作者が決めた結果、電撃剣となった。
話を戻すが、俺が電撃剣を使う場合、精霊魔法以外の属性を剣に付与させることができる。様々な属性に対応できることで、俺は長いこと魔王の座を守ってきたのだ。
そういえば、あの勇者もかなりの属性を使えたような…。
…って今はそんなことはどうでも良い。
「さて、狼を始末しようか!」
俺は電撃剣に火属性を付与し、回転斬りをしてみせた。
回転斬りが火車となり、氷漬けになっている狼を襲う。
狼を覆っている氷が溶け、今度は炎が狼を燃やした。
「これで三つ目。一体幾つの属性を持っているんだ…?」
…これだけではないぞ。まだまだあるからな!
といっても、狼達は瀕死だな。
仕方ない。消し炭にしてやるか。
「<エクスプロージョン>」
俺の無詠唱の上級魔法が、狼達や木々を燃やし尽くした。
そして、火が収まった頃には、辺りに狼の死骸や木々は存在していなかった。
アルの武器として、他の世界でも活躍している電撃剣が登場しました。僕の別の作品を読んだ人は、「あれ?」と違和感を感じたと思います。
何故、アルが電撃剣を所持しているのか?
この電撃剣は、異世界からの来訪者から購入した物です。
ですが、その電撃剣の性能ではあまりにも弱いので、アル自身が電撃剣を改造しました。その結果、アルの主武器として、文句なしの性能になりました。
「アルの電撃剣」とあっちの世界の最新型「電撃剣ver.4」、全く違うので、比較して見てみてください。