第壱話 元魔王の旅立
役逆ミニ紹介!
No.2 アリサ
年齢 ???
性別 女
職業 魔術師
好きな食べ物 野菜全般
嫌いな食べ物 肉全般
アルをどんな子に育てたかったか?
自分達を超える素敵な魔術師
「アル〜、旅の準備は終えたの?」
「もちろんだ。」
母であるアリサから声を掛けられるが、旅の準備なんぞ既に終えている。
俺は転生を成功させた。初めての試みだったため、結構心配だったが、無事に転生出来たようだ。
が、なんと俺は人間に生まれ変わってしまった。
で、生まれたのは十五年前。だから今の俺は一五歳だ。それもあってか、魔王時代の俺よりも幾らか痩せている。…いや、筋肉が無いの方が正しいか。まぁ、魔力の補正で魔王の時に使っていた剣は触れるけどな…。
俺が去った現在、魔王領がどうなっているのかは知らないが、あの勇者によってとんでもないことになっているだろう。
生まれ変わって十五年。この間、俺は何をしていたかと言うと…、修行をしていた。
魔王だった頃は修行などをする時間は無かった。勇者にぼろ負けしたのはそれが原因なんだろう。
もう勇者に負けるつもりは無い。かなり減っていたとは言え、転生前の魔力も引き継がれた。十五年も修行すれば、魔王時代の全盛期まではいかなくとも、人間だったらかなりの実力者になれるのではないか?
それと実は人間に転生したことで、俺が元から使用出来る、火・水・風・地・氷・雷・木・闇・鋼の魔法に加え、光魔法が使えるようになった。これで俺は精霊魔法以外の魔法を使うことができるのだ。
「流石、自称魔王様ね!」
実は、母には俺が元魔王であり、転生したことを話していた。母によると、俺が生まれた時は既に、魔王が死んでから十五年は経っているらしい。
で、母なんだが、村一番の魔術師だったらしく(現在では当然、俺が村一番)、基本的な火・水・風・地・氷・雷・木の七属性を取得している。それだけじゃない。俺に光魔法を伝授してくれたのも母だ。本当に母には感謝しかない。
「自称じゃない、本当だ。…って、このやりとりも今日で終
わりだな。」
「そうね…、アルが村を出るからね。」
そう、母の言う通り、俺は村を出ることにした。
理由は二つ。サガと会う、魔王テイムに復讐する、それだけだ。
「えっと、誰だっけ?サガさんだったよね?あの大魔人サガで合っているのかな?」
「ああ、そうだ。」
「…その人とはどんな関係なの?」
…ずっと話していなかったが、そろそろ言っても良さそうだな。
「サガは俺の側近で、いつも一緒に勇者と戦った。そして、再会を約束した大親友だ。」
母は「へぇ〜」と言うと、頷き、何かを決心した。そして、棚の引き出しから小瓶を取り、俺に差し出した。
「これ、サガさんに渡して。」
「…?これは?」
俺の質問に対し、母は「それはサガさんと会ったときに分かるよ」とだけを言い、その後は何も言わなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「気をつけてね。最近の魔界では危険な魔族がいるって聞い
たわ。いくら世界でも有名な元魔王の貴方でも、油断はしないでね?」
「ああ、気をつける。母さんも元気で。」
遂に俺は十五年暮らしたこの家を出発する。
十五年暮らしただけあって、少しだけだが寂しさを感じる。
「じゃ、行ってくる。」
「うん。いってらっしゃい!」
最後に俺は手を振った。
手を下ろし、「よし。」と気合いを入れると、魔王城へ向かって歩いていった。