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文化祭の思い出は鮮やかに


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 しばらく待っていると、お兄様が駆けてきた。一晩中ずっと仕事していたと思われるのに、今日も兄は爽やかだった。


「リアナ!待たせたな?……というか、その格好?」


 そして何故か、兄が私とお揃いの騎士服を着用している。仕事というのは、騎士団の方だったようだ。


 意図せず兄とお揃いになってしまった。


「なんていうか、リアナのその姿……結構好きだな」


(そうですね。何だかフローラに、ナチュラル男装麗人風メイク施されてますしね。完成度は高いと思います)


 意外にもお化粧も得意だったフローラ。たぶん、ヒロインとしての素質をまだまだ隠しているに違いない。


 しばらく私のことを見つめていた兄が、手を差し出してくる。


 今年も繋ぐ気ですか?


 しかし、兄が爽やかに微笑んだら私に拒否権はない。こんな時の兄は、とても諦めが悪い。


「お揃いで手まで繋いだら、目立ってしまいます」


「お前がそんな格好してるから。……連れ去られたらどうするんだ」


 ん?兄は私の護衛騎士になる気ですか?マルク姫の護衛をお願いしたいのですが。


「あの、ところでお兄様?さっきよりさらに倒れている人が増えているみたいなのですが、何か襲撃でも受けているのでしょうか」


 何だか「キャーッ」という甲高い悲鳴まで聞こえてくる。気になってしまいそんなことを呟くと、なぜか兄が獲物を前にしたような表情で私を見つめてきた。


 私は兄にそのまま壁に追い詰められて行く。


「そうだね。もっと見せつけてあげようか?」


 こ、これは俺様王子お得意の壁……ドン?!

 え?兄の持ちネタじゃないですよね?

 それに妹にするのは完全アウトじゃないですか?!


「ほら、お揃いの隊服を着た騎士二人。こういう構図が好きだろ?リアナは」


 ひっ?!兄に私の嗜好がバレている。

 いや、大好物ですけど!

 あくまで自分は傍観者だから萌えるんですよ?


「で、出来ればランドルフ先輩とお兄様の……」


「面白い冗談だな。俺はリアナだけにしか、こんなことしたくない」


 ……え?私にしか、したくないって言いましたか?

 それに何だか少し怒ってます?


 岸に打ち上げられた魚みたいに、口がハクハクしてしまう。

 そんな私を見て溜飲を下げたのか、ようやく兄が私を解放してくれる。


「まあ、仕方ないか。可愛かったから許すよ」


 いや、許す許さないで言ったら、その答えを言うのは私の方なのでは?

 兄を睨んでみるが、ちょっと涙目になってしまったのでおそらく迫力はないだろう。


「うん。睨んでも可愛いだけだな。……でも、あまりの可愛さにやり過ぎた。ごめんな?」


 謝ったら何でも許されると思ってるから、爽やかイケメンは嫌なんです!


「ごめん、リアナ許して?」


 うっ……そんな目で見ないでください。私が悪いみたいじゃないですか。


「――――やり過ぎはダメです。お兄様」


「そっか。やり過ぎなければ許してくれる?」


「えっ?!」


 全く反省していない兄。

 手も離してもらえないまま、教室に向かうと、人集りができていた。


「えっ、すごい人集り」


 間違えたかとよく見ても、やはり二年のSクラスの教室だった。


「このクラスなので通してください」


 なんとか人を避けて到着するとそこには、御伽噺から抜け出してきた姫がいた。


「リアナ様、おはようございます」


 えっ、こんな麗しい人学園にいたっけ?

 美人なんて見慣れているはずの兄まで、そのあまりの美しさに固まっている。


 あれ、クラスメートの女子たちがなんだか自慢げにしている?


「えっ……。まさかこの絶世の美女って」


「分からなかったですか?マルクですよ?それにしてもリアナ様の騎士姿。凛々しくて美しいですね」


 な、何ですって!マルクくんのプリンセス役は予想を大きく超えてきた。


最後までご覧いただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] フリード様の壁ドンスチル!ありがとうございます(//∇//) さらには「やり過ぎなければ〜」のダメ押し攻撃!さすがです♪
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