表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/124

禁書庫の司書

ご覧いただきありがとうございます。


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 放課後になると、ディオ様が教室まで迎えに来てくれた。わざわざ来ていただき申し訳ない。


 実は学園内の間取りは頭に入っているゲームの地図と同じことが分かったので、図書室待ち合わせでも大丈夫だったのだけれど。


 図書室でもよかったのに申し訳ない気持ちを伝えてみると「俺が早くリアナに会いたかったんだからいいんだよ」と微笑まれてしまった。逆に気を使わせてしまい恐縮した。


 禁書庫のカギは金色のハートの意匠でかわいらしい。鍵を開けて入ると閉め切られていたせいか中は少しかび臭かった。


「……ひさしぶり。ディオ。この春に生きているお前に会えるとは思わなかったよ」


「お久しぶりです。ミルフェルト様」


 禁書庫の中にはアイスブルーの髪と瞳をした幼女がいた。『春君』の世界でも、知識を高めるミニゲームでナビゲーターをしていたツインテール幼女ミルフェルト様だ。


「なるほど。そちらのご令嬢に移ったのか。……本当に忌々しい呪いだな。ん?なんだこれ?」


 ミルフェルト様がすごく近くで私を観察し始めた。可愛い。しかし引きこもりには、ご尊顔が近すぎて、刺激が強すぎます。


「ふーん。ご令嬢。運命そのものが呪いみたいな存在だな。初めて見たよ!おもしろいなぁ」


「あの……」


「理由はわからないけど、18歳で破滅する運命が幾重にも重なり合ってるな。これさあ、ひとつぐらい増えたって大して変わらないんじゃ?おもしろい。ボクに研究、させてくれる?」


 ミルフェルト様、ボクっ子だった!いや、もしかして、もしかしたら幼女ではない、ボクっ子どころか……そちらの線も捨てきれない!?


「あ、あのっ!私もミルフェルト様を研究してもいいですか?!」


「じゃあ、契約成立……なに、ディオ」


 ミルフェルト様が、紫の魔法陣を私に向けると、慌てた様子であいだにディオ様が割り込んでくる。


「リアナ、契約なんて軽々しくしてはダメです!」


「――――ボクの邪魔をするのかな?」


 目を細めたミルフェルト様。先程までの雰囲気と全く違う、すごい重圧感だ。


(あわわ!喧嘩売ったらいけない感じのお方なの?!そのことを分かっていながら間に入りましたね?!ディオ様?!)


「ふー。ま、君のことは気に入ってる。そんな必死な顔もできたんだね!面白かったから許してあげる」


 再び幼女の表情でニコニコするミルフェルト様。それと同時に、周囲を支配していた重圧も霧散した。

 もう騙されないんだからね!でも、やっぱりますます研究したい。


 これがギャップ萌えかしら。


「契約しないでいいからさ。たまに会いにきてよ。楽しい話の対価に、ボクも君の力になってあげる」


「はい!私にもミルフェルト様の楽しい話、いろいろしてくれるんですよね?!」


 ミルフェルト様が何度も瞬きをしている。ディオ様は、手のひらで顔を覆ってしまった。……何かおかしいこと言った?


「ふふふふ!純粋な魂。一体なにに目をつけられて、こんなことになっているんだい?いいよいいよ、君の力になりたい。対等な契約だ。これなら構わないだろ?ディオ」


「――――っ。ありがとう、ございます」


 さっきの契約となにが違うのかわからないけど、魔法少女になってとか言われてないし、楽しいお話が聞けてディオ様にも異論がないなら万事オッケーなんじゃない?


 今度こそ紫の小さな魔法陣を受け入れる。胸に吸い込まれていった魔法陣は、心臓に絡み付いていた呪いの蔦と一緒になった。


(んん?これはもしかすると一般的には呪いというのでは)


 ディオ様を見ると、仕方ないなって感じに微笑んでいたので、大丈夫なのだろう。たぶん。


「早速なのですが、禁書を見せていただけるんですよね?」


「ボクと契約した君なら、特別禁書中の禁書だって見せてあげる。そもそもキミはボクにとって特別なヒトだから」


 ディオ様が息を呑んだ音が、隣の私にまで聞こえてきた。


「あ、ディオはそこで待ってて?リアナだけ特別なんだから」


「かしこまりました」


「さ、行こうよリアナ?」


「はい」


 禁書中の禁書ってなにかな!?少し楽しみになってしまった私は、ミルフェルト様に連れられて禁書庫のさらに奥へと足を進めた。

ミルフェルト「これはいい暇つぶしができた。それに真面目過ぎるディオがこんなに面白くなるとは。ふふふっ」



最後までご覧頂きありがとうございました。


『☆☆☆☆☆』からの評価や、ブクマいただけるととても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公は脳筋ゴリラステータス?攻略対象より強そうですね^_^; [気になる点] ミルフェルト様のツインテール幼女姿は仮の姿?!契約したがるところはアクマっぽい〜 禁書中の禁書に解呪のヒ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ