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俺様王子とヒロイン


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 兄はあれから忙しいらしく、あまり家に帰ってこなくなった。ディオ様も、聖騎士の遠征に行ってしまった。私は、世界樹の塔と学園を往復する毎日を過ごしている。それよりも、今一番気になるのが、フローラの事だ。


「フローラ、生徒会に行くわよ」


「え……生徒会?」


 聖女最高魔法を得たフローラは、聖女として完全に覚醒したらしいがとても不安定な状態だ。蜂蜜色の瞳が七色になったり、もどったりと忙しい。


「リアナ様……私、間違っているのでしょうか」


「え?フローラ、どうしたの」


「強くなれば、きっと今度こそ守ることができると思ったのに」


「…………フローラ」


 フローラは、黒いドレスのリアナを見てから、いつもの能天気さと元気さが半分以下になってしまった。そんなことを言いながら、今日の瞳もまた七色に煌めきだした。


(――――これは重症だわ。フローラの責任なんてどこにもないのに)


 私はフローラの事を友人だと思っている。むしろ、唯一貴重な女子友達だ。そんな彼女が元気がないのは私だって辛い。何とかしたいけど……。


(まぁ、余計なことするより、いざとなったら頼りになる人に任せる方が良いのだろう)


「――――私、ロイド様のところに行ってきます。ライアス様には生徒会お休みするって……きゃわわ?!」


 背後からライアス様が、フローラに近づいていることに私は気が付いていた。まさか、そのままフローラを俵のように担ぎ上げてしまうとは思わなかったけど。


「リアナ、悪いが俺たちは急用ができたって、ランドルフに言っておいてくれ」


「な!なにするんですかっ?!私、ロイド様のところで修行するんです!」


「だまれ。お前は俺と一緒に来るんだよ」


「お…………横暴です。この、俺様王子!!」


 その言葉が、私の琴線に触れて大きな音を立てる。


「俺様……王子」


 なんて素敵な響きなんだろう。私、その枠かなり好物なんですけど。フローラのことは心配なんだけど、大好物を前に心がときめいて止まらないのは別問題なのだ。


 これは、どうしてもこの後の展開を見たい!


「――――その顔な。リアナはちゃんと生徒会に行けよ。フリードに言いつけるぞ」


「お、お兄様に?横暴です!!」


 普段、私に甘々な兄だが、与えられた仕事をさぼることに対してはけっこう厳しいのだ。それに、ただでさえ忙しい兄の心労をこれ以上増やすわけにはいかないではないか。

 そうであれば、生徒会に行かないわけにはいくまい。


「くっ。あとで展開を教えてください」


「…………何でリアナに教えないといけないんだよ」


 ニヤリとライアス様が笑う。俺様王子の悪だくみスマイル!スチルどこ!?


 そのままフローラを肩に担いで、ライアス様は去っていった。なんだか、フローラが騒いでいたけど、逃れられないのか、逃れないのかそこは研究の余地がある。ときめきが私の胸を占める。


 2人の事は猛烈に気になるけど、ちゃんと生徒会出席しないと心配した兄に怒られてしまう。

 相変わらず、ランドルフ先輩と兄は熱い友情で結ばれているのだ。さぼれば兄に筒抜けだ。


 なぜか、兄とランドルフ先輩二人の間では様々な情報も共有されている。機密文書管理官と次期騎士団長の癒着を私は見ているのか。それよりも、いったいいつ会っているんだろう。


 そこに、少しだけ想像を働かせるくらい許されるだろう。尊い。


「それで、ライアスはさぼったと」


 ちなみに、私はきっちりレイド先生に、ライアス様が消えた顛末を話しておいた。生徒会をさぼったことを叔父上に叱られてしまえばいいのだ。目には目を歯には歯をなのだ。

最後までご覧いただきありがとうございました。


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