二年目と聖女の覚醒
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二年生になった。だからといって、何かが大きく変わったわけでもない。……私自身は。でも、いつも暇さえあればクラスに来ていたディオ様や兄がいないと妙に静かに感じた。
(こんな時は、あのアイスブルーのツインテールが恋しくなる)
それなのに、首席ではない私は学園からは禁書庫に入ることができないのだ。口惜しや、ライアス様。二学期こそ見ていらして!
「また、何か良からぬことを考えているのか?」
「ライアス様……あなたには、負けません!」
「なんでいきなり、喧嘩腰なんだよ……。ほら、もう放課後だから生徒会行くぞ?」
今年もなぜか私は生徒会書記だ。成績上位と公爵家令嬢であるという理由で。ちなみに、Sクラス三位になったフローラも今年は会計として参加している。
「今年も武闘会はあるからな。去年はフリードとディオにいいとこ全部持っていかれたけど、今年は負けない」
(ライアス様は、去年私のこと瞬殺したくせに)
学年別の決勝で、瞬殺されたこと。私は永遠に忘れません。
それに……胸に絡まる蔦、だんだん締め付けが強くなっている。時々、息が苦しくて。
こんな状態でディオ様聖騎士として戦ってたのね。ドラゴンを秒で倒してたのね!?
それなら私だってまだ、負けていられない。でも、たぶんこれ以上私は剣技では大幅には強くならないだろう。
(負けたくないなら、戦い方も見直す必要があるわ)
ベースが聖女なのだ。私はどちらかと言うと回復要員なのだ。ゴリゴリ身体強化を駆使して殴りプリーストみたいに戦ってはいるが。
光魔法の聖女最高魔法が欲しい。初夏の大型連休には、避けていたあそこに、こもらねばなるまい。
「話し合いに参加しろ?」
「あ、すみませんレイド先生」
考え事をすると、深く入り込んでしまう。またしてもやらかした。
「――――リアナがそんな顔をしている時は、だいたい無茶なことを計画しているんだよな」
「へ?!ライアス様?」
「フリードとディオにも、お前をしっかり見張るように頼まれている」
「リアナ様!己を鍛える時は私も誘ってください!」
安定のフローラ。まあ、連休中の行き先は、フローラにとっても聖女覚醒に欠かせない場所だ。本当は抜け駆けして勝ち越したいけど、そんな気持ちは胸の奥に仕舞い込んでおこう。
「そうね。今年の武闘会は熱くなりそうだわ!」
「だから……その話し合いだリアナ」
「先生。とりあえず進めましょう」
「ランドルフ……」
レイド先生が短くため息を吐く。まあ、そこら辺は頼りになる常識人と私の中で高評価のランドルフ先輩にお任せしよう。
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