SS サプライズパーティー
卒業式のあとの、リアナの誕生日話SSです。
卒業式が終わると、なぜか生徒会メンバーもフローラも見当たらなくなってしまった。いつも、学園が終わるとうるさいほどなのに。
(みんな用事でもあるのかしら?仕方ない、世界樹の塔に帰ることにしよう)
しかし、世界樹の塔の最上階に着くとミルフェルト様行きの扉が出現していた。
「……フローラ?」
なぜかすでに、制服からうさ耳とエプロンドレスに着替えたフローラが扉の前に立っていた。
「待ってました。リアナ様?さ、こちらに着替えてくださいね。忙しいんですから!」
なぜかフローラとお揃いの、こちらはアイスブルーのフリルのエプロンドレス。メルヘンチックで可愛らしい。
「お揃い……?あれ、これって」
ヒロインの誕生日限定不思議の国イベントじゃないの?!
まさかね!?ヒロインじゃないし!
しかし扉を開けると、そこは不思議な国のティータイムだった。赤と白の薔薇が一面に飾られ、トランプをモチーフにした飾り付け。
「ふわぁああ?!すごい!」
その真ん中には、なぜか猫耳をつけたミルフェルト様が。
制服から着替えた生徒会メンバーも脇に控えている。
「ふふ。気に入ってもらえたかな?フローラにここでやるって聞いた時は、ボクもまさかって思ったんだけど。こんな面白くなるとはね」
ど、どうりで王宮の図書館工事中で禁書庫に入れなかったはずだわ。
「ライアス様……」
「悪く思うな。開催前に入られたら台無しだろ?……その様子じゃ、喜んでくれたみたいだな。ま、リアナがそこまで嬉しそうな顔すると、俺まで楽しくなる」
「おっ、お兄様?」
「リアナの誕生日だからな。……準備に力を入れるのは当然だ」
「ランドルフ先輩……」
「ま、二人きりもいいけど。来年に取っておこうか?楽しんで欲しい」
なんだか攻略対象者揃い踏みで、誕生日限定の台詞!なぜか相手が私になってる?!豪華すぎませんか?おかしくありませんか?!
フローラが、うさ耳をぴょこぴょこしながら、私を覗き込む。
「本当は、闘魂!生誕記念武闘会を企画したかったのですけど、止められちゃいました!でも、こういうのも良いですね?」
いやいや。サプライズの武闘会とかいらないから!たぶん、多分それ正しくはライアス様ルートの誕生日サプライズ舞踏会だから!!
「さ、世界の図書館から集めてきたレシピを公爵家の料理人が作ってくれたよ」
そこには色とりどりのお菓子が。マカロンにデコレーションされたカップケーキ、このケーキ何段あるの?!
そして、いつもよりも笑顔が輝いているディオ様。えっ、みんなが笑顔でこちらを見てるこの場面、尊すぎないか……スチルなの?
「愛しいリアナ、ずっと毎年こうして過ごそう」
ディオ様が、天使のように微笑んだ。これは永遠に忘れられないスチルとして心のアルバムにしまっておこう。
最後までご覧いただきありがとうございました。




