攻略対象者はライバル
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「え?武闘会ですか」
「そう。武闘会の成績で実技の評価が決まるらしいわ」
その後も、毎日のようにフローラは世界樹の塔に勉強しに来ていた。
今や彼女は、知識のパラメーターが高いインテリ系ヒロインに成長を遂げている。座学の方も、申し分ないだろう。……でもまだ、負けないからね!
「武闘会なんて。私、ワクワクが止まらない!」
しかし、フローラの魂はやはり脳筋のようだ。でも、なんでフローラはこんなに強さにこだわるようになったんだろ?お淑やかな設定だったと思うけど。
「ね、なんでフローラはそんなに強さにこだわるの?」
多分また脳筋系の返答が返ってくるんだろうなぁ。って予想していたのと裏腹に、なぜかフローラの瞳が七色に煌めく。
「――――大切な人を守りたいじゃないですか」
『――――私にもっと力があったら。きっと未来は変わっていたのに』
砂嵐のような耳鳴りがする。泣き叫ぶ私の前で、静かに涙を流していたフローラが口を開き、呟いた。
これは、いつの記憶なんだろう。それともただの想像?もちろん目の前のフローラは泣いてない。無邪気に今日も笑っている。
「それに、闘ってる瞬間だけは、たしかに生きてるって実感できるから」
なんかいいこと言ってるみたいだけど、やっぱりそれ闘いに飢えてる人が言う台詞だからね!でも、とても気になることが一つ。
「他の時は生きてる実感が出来ないってこと?」
「……そんなわけ、ないじゃないですか」
眉間に皺を寄せたフローラが瞳を瞑り、次にその目を開いたときには、瞳の色はいつもの蜂蜜色に戻っていた。
「やっぱり、戦っている時の高揚感に比べてしまうとね!今回の試験でSクラス残留決めたらトレーニングルーム開放。約束ですからねっ!」
なんとなく、はぐらかされた感じもしたけれど私も話題を変えることにした。
「そういえば、最近ライアス様とはどうなの?」
「ライアス様……大好きです」
「えっ!!」
まさか二人にライバルじゃない方向での進展が?!
「公務で忙しいのに。激務の合間を縫って手合わせしてくれるんです。はぁ、ライアス様との手合わせ。ほんと好き」
「うん?」
「次回こそ勝ってみせる!!」
「うん。頑張って」
二人の中は多分進展しているわけではなかろう。大好きなのは手合わせなんですよね。そうですよね。
でも今度、ライアス様にも聞いてみよっと。
ライアス「フローラに負けないように今日も訓練だ!騎士団長、付き合え!」
脳筋系王太子は、公務も勉強も頑張ってるのでかなりの努力家です。
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