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記憶と少しの勇気


 ✳︎ ✳︎ ✳︎


 その時、私たちの瞳は七色に輝いていたらしい。歴史上、世界樹の聖女が二人誕生したことはない。それでも、たしかに二人ともに七色の瞳だったと全員が証言した。


「私、どうしてここに?あれ、ライアス様までどうしているんです?」


 フローラが交互に私とライアス様を見ている。不思議そうにしているその瞳はすでに、いつもの蜂蜜色に戻っていた。


「大陸中の図書館とこの部屋は繋がっているから」


 ミルフェルト様は、禁書庫にいながら、大陸中と繋がることができるらしい。


「さて、今の出来事を説明してくれるかな?ボク、とても研究したいんだけど」


 私とフローラ、ディオ様は黙ってしまう。それぞれ見たものは違うのかもしれない。

 ちなみに、ディオ様はまだ離れてくれない。何を見てしまったのだろうか。よほど怖いものでも見てしまったのかもしれない。抱きついて口をつぐんだまま、喋る様子がない。


「ディオ様?」


「……もう少しだけ。たしかにリアナがここにいるのが信じられるまで」


 そう言ってすがるように見てきたディオ様の瞳は、まるで雨に濡れた仔犬みたいだ。


 ――――えっ、これにダメって言える人間、世界中探してもいる?!


「じゃ、私から話します!」


 ダメという人間はいないけど、空気読めない子はいた!!


「何故か黒っぽい衣装のリアナ様と戦っていました。命をやりとりする本気の戦いで燃えました」


 それって、フローラの感覚ではそうなるのかもしれないけど、もしかしてゲームのラスボス戦じゃないの?!


「でも、やっぱりリアナ様とは仲間がいいので一緒に戦いたかったですね!」


 たぶん、今回はフローラと戦うことはないだろう。そうでありたいと私も願うよ。

 でも、小さい頃友人だったらしいフローラと私の画像。『春君』には、あんなスチルなかったはず。

 そこからの、あの人を返して……。


「なんだか逆に謎が増えてしまいました」


「ふーん。そうなの?ボクにも今、教えてくれるのかな?」


 ミルフェルト様が楽しそうな様子でこちらを見てくる。でも、今はそれよりもディオ様の様子が心配だった。


「もう少し情報を整理してからお話ししたいです。今日は帰っても、いいですか?」


 ミルフェルト様が、片眉を上げる。


「まあ、多分それだけのものを見たんだろうね。いいよ!でも、絶対話しに来てね?」


「ミルフェルト様に、聞いてもらいたいです」


「わあ、本当君って素直で可愛いよね?まあ大丈夫だよ?……待つのには慣れてるから」


 待つのに慣れたらダメだと思います!必ずまた会いに来ると、ミルフェルト様を笑わせようと心に誓う。


「ディオ様。お許しが出たので行きましょう?」


「…………え?」


 抱きしめられたままだから、まるで内緒話みたいな体勢になった。


「ディオ様のお話を聞きたいです。ここじゃ話しにくいですよね?二人だけで世界樹の塔に行きましょう」


 私からディオ様の手を掴むのは、初めてかもしれない。いつも、私が困るとディオ様が手を差し伸べていてくれたから。


 フローラらしき少女がくれた花冠が、私に少しだけ歩み寄る勇気をくれた。


 

兄と父「リアナのやつ、陛下を無視してことを進めた!」


最後までご覧いただきありがとうございました。


誤字報告、いつも本当にありがとうございます。


『☆☆☆☆☆』からの評価やブクマ、感想いただけるととてもうれしいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ディオ様、くっついて離れませんね^_^; こんなふうに縋られたら、断るとかムリですよね〜 ディオ様のお話、気になります
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