表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

その日、サキュバスは吸血鬼の姉をもった

今年初雪降らず。

Dの家


「彼女は新たな養子の一員となった。仲良くしてやってくれ。では、長女から順に自己紹介をしてもらいたい。」


Dが言う。すると、養子縁組たちは顔を見合わせた後…。


「…私が長女。種族は鬼。1000年以上生きているわ。ふふふ。この姉妹の中では私が1番強いわよ。ふふふふふ。」


「俺と同じくらい強い。マジだ。将来、組織で一緒に活動してほしいと要求が送られてくるほどだ。」


先の大学生くらいの女性が自己紹介をする。緑色の肌を持つ、片手で2本の角を触れたり、もう片方の手で腹の腹筋を隠している。サキュバス少女は微妙な顔。


「…Zzz…。」


「…次はお前だ。」


「…?」


炬燵で寝ていた、1番身長の高い女性が起きた。


「…?紹介〜?…私は次女〜…。種族は巨人…。おやすみなさい…。Zzz…。」


黒髪のロングヘアで先っちょに若干ウェーブがかかっている、ぶかぶかの服を着たトロールが炬燵から起きておっとり言ったと思ったらすぐに寝てしまった。


「次。」


「私は三女。種族はドラゴン。魔法研究が日課。」


ウェーブをかけたセミロングの茶髪の子が興味もなさそうに言う。


「…四女…アルラウネ…。…花好き…。」


とても短く、本を読んだままで言う四女。人の姿は黒髪で目元まで前髪が伸びてインキャのイメージだ。


「私は5番目。種族は狼女。家事とかなら任せて。狼女だけど、いつかお嫁さんに…。」


「う、うん…。」


尻尾をふりながら、人懐っこい笑顔をして挨拶してきた。サキュバス少女はとりあえず曖昧な返事。


「あたしは六女だー!種族は比較的新種のサンドガール!砂人間だ!砂かけ婆とは違うよ!いつかエジプトを牛耳る!」


「お、おう…。」


「エジプト牛耳ったら狩られるからやめとけ。血に酔っているわけじゃないんだから…。」


めちゃくちゃ元気ハツラツとした挨拶。


「七番目。正確には七女と呼ばれるわたくしの立ち位置。種族名は機人…正式名称はオートマタと呼ばれております。以後お見知りおきを…。好きなことは…自分の改造です。」


「……。」


機械のように淡々と挨拶する機人。無表情であるが、人の姿の影響か口も動き瞬きもする。


「8番目。種族名は吸血鬼。貴方、血は好き!?」


吸血鬼が身を乗り出して、同意を求めるように聞いてきた。


「私はサキュバ…。」


「私の夢は吸血鬼の女王になること!そうなればお金も沢山…。グフフフ…。」


「話聞いてる?」


人の話を聞かない吸血鬼。


「末っ子。種族は妖精。これと言った特徴はない。」


「へ、へぇ…。」


サキュバスはそれぞれインパクトが強すぎてなんと挨拶すればいいか困る。


「「「じー。」」」


その場にいる全員がサキュバスを見る。


「えと…。種族はサキュバス…です。好きなことは…えーと…。…ありません…。」


モジモジとサキュバスが言うが…。


「好きなことがないモンスターなんていないよ〜。お姉さんに隠さないで教えてよ〜。」


吸血鬼が抱きついて、近くで言う。


「…キマシ…じゃない。ごほん。あとは勝手にやってくれ。俺は自室に戻る。…必ずノックしろ。」


「はいはい。ふふふ。」


Dが奥の部屋に入る。


「ね〜ね〜。」


「近い…。」


吸血鬼にまとわりつかれて、戸惑うサキュバスだが…。


「こら。嫌がっておろう。」


ポカ


吸血鬼が竜に軽く頭を叩かれる。


「痛くなーい。」


「…半妖怪の姿で殴るぞ?」


「へーん。やってごらん。どうせ避けるし。」


そんなことを言い合っていると…。


「こらこら、喧嘩はやめなさい。新しい子の歓迎会をするわよ?ふふふ。」


鬼が仲裁に入ってくれる。


「ほら、貴女も起きて。」


「ん〜…。鬼お姉さん…眠いよ…。」


巨人が鬼に起こされ、立ち上がる。サキュバスは今気づいたが、巨人が完璧な人の姿とは言え2mを超えた姿だ。


「…そう思ってみれば、貴方は半妖怪の姿だけど、本来の姿になれるの?」


吸血鬼がサキュバスに聞いてきた。


「本来の姿…?」


「そう。私は吸血鬼で今は半分妖怪の姿だけど…。本来の姿だと身長200cmくらいになるし。巨人姉さんは285mになるけど…。」


「に、にひゃ…。」


サキュバスは立ったままうとうとしている巨人を見る。完璧な人の姿で妖怪だとは一般人にはまず気がつかないだろう。


「…今の体だと、小さな箱に少し体を詰めたような感覚でしょ?」


「……。」


サキュバスは全く知らなかった。記憶を失った時からこの姿のため、ずっとこの姿が本来の姿だと思っていたからだ。


「ん〜…。その顔だと本来の姿を忘れちゃった感じだね…。でも大丈夫!本来の姿になることはそうそうないし。お姉さんに任せなさい!」


吸血鬼が胸を張る。妹が増えたと感じて嬉しいのだろう。


「ところで、あなたいくつ?ふふふ。」


「サキュバスちゃんは何歳?」


ローソクを用意していた鬼が聞く。その尻馬に乗って吸血鬼が聞く。


「…342歳…。」


ピシッ


吸血鬼が石化した。


「ふふふふふ。年上だったのね。ふふふふふ。」


鬼が笑い、吸血鬼は石化したままだ。


「私の方が年下だったぁ〜…!私はまだ230歳だよぉ〜…!」


「よしよし。」


石化が解け、吸血鬼が狼女に泣きつき、頭を撫でてもらう。


(可愛い…。)


サキュバスはグスグス泣いている吸血鬼を見て思う。


「まぁ、次は妹が良いっていつも言っていたし…。ふふふ。」


「…どんまい…。」


「良いことあるって!」


「日頃の行いじゃ。」


「ははははは!」


辛辣な言葉を投げかける竜と妖精を除いて、なんとか励まそうとする姉妹たち。


「うわーん。」


バタン!


「ちょ、待…。」


吸血鬼は部屋に閉じこもったしまった。


「…どうする?ふふ。」


「日本古来より扉の前で祭りをひらくのが良いと…。」


「それ…神話…。」


「ドアを破壊します。お姉様方、少しばかしわたくしの後ろに…。」


「壊しちゃダメです!私が説得を試みます。」


狼女がドアの前に立つ。


「吸血鬼ちゃん。出てきてお願いです。」


シーン…


「ダメでした…。」


「説得ってそれだけ!?」


短い説得にサキュバスが驚く。


「やはりドアを破壊します。」


「ダメだって…!」


砂女が機人を止める。


「私や狼の姉貴やアルラウネの姉貴の部屋でもあるんだよ!」


(めちゃくちゃ迷惑!)


砂女が叫び、サキュバスが心の中で思う。


「頭を使わないと相手は出て来んぞ。」


竜が部屋の前に立つ。


「ほれ。いたりあ?の新鮮なとまとよ。出てこないなら、儂が頂くぞ?ふっふっふ…。」


竜がトマトを片手にドアの近くへちらつかせる。


ガチャ…。


「じー…。」


吸血鬼がとても物欲しそうな目で見ている。しかし…。


バタン!


「!?」


数秒後、扉が閉まった。


「吸血鬼がトマトを欲しがらないとは…!?」


「そもそも血でしょ。欲しがるのは。」


砂女が竜に冷静に返す。


「むぅ…。出てこんな…。」


鬼が呟く。


「……。」


そして、サキュバスが前に出た。


「…吸血鬼…。」


『……。』


「…吸血鬼お姉さん!開けて!」


サキュバスが叫んだ途端…。


「いいよー!」


「「「はやっ!」」」


ドアを思いっきし開けた。色々な意味で全開である。


「何やら騒がしいな…。」


Dが部屋からケーキを持ってきた。メッセージに[歓迎]と書かれたホールケーキを。


「そろそろパーティーを盛大に始めようと思うんだが…。」


「ご飯出来ました〜!」


Dがコタツの真ん中にケーキを置いた。狼女はお祝い料理を沢山持ってきてくれる。


「…サキュバス。」


「……。」


「…まぁ…。…歓迎しよう。盛大にな。」


「…まぁ、ここにいるわ。吸血鬼お姉さんが寂しがると思うし…。」


「…お姉さん?」


「なんでもない。」


Dの困惑を他所に、彼女たちは盛大に歓迎パーティーをした。

歓迎しよう。盛大にな。


※登場人物の詳しい紹介は他のサイトで掲載しております。(あの分をここでもやるのは骨が折れます…。)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ