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56 幕間 エピローグ ねえ? あなたの名前はなんていうの?

 幕間


 ……それからしばらくして、世界に新しい朝が訪れた。

 僕は輝く太陽の光の中で、そっと目を開けて現実の世界に帰還した。その間見ていた長い長い夢を、僕は全部、その目覚めとともに忘れてしまっていた。

 ……ベットの中で、僕はなぜか泣いていた。目覚めたあと、真っ白なベットの上で体を起こした僕の頬には確かに涙の跡が残っていた。その涙の理由を僕は、はっきりとは、覚えてはいなかった。

 でも、新しい朝の中で目覚めた僕はもう孤独ではなかった。

 僕の中には確かに、一人の、自分のよく知っているはずの女の子の面影が、ぼんやりとした形を持って、残留していた。

 その面影の女の子は、僕の運命の人だった。


 エピローグ


 ねえ? あなたの名前はなんていうの?


 僕が目を覚ますと、そこは見慣れた真っ白な病室の中だった。

 ……なにか、とても大切な夢を見ていた気がする。

 その夢の中で、とても大切な人と出会って、とても大切なことを教わったような気がする。……でも、それがなんだったのか、思い出すことができない。

 夢は消えてしまった。

 なにもかもが、なくなってしまったのだ。

 病室の青色のカーテンの隙間からは明るい光が差し込んでいた。窓も少し空いていて、青色のカーテンは爽やかな早朝の風に揺られていた。

 僕はそんなカーテンの動きを少しの間観察してから、ゆっくりと白いベットの上に体を起こした。

 頭が思い。それになんだか少し胸が苦しかった。

 ぼんやりとする意識の中で僕は病室の中を確認する。机、椅子、本棚、窓、ドア、青色のカーテン、証明、そして雫の寝ている真っ白なベット。いつも通りの病室。そして、いつも通りの朝だった。

 驚いたことに僕は泣いていた。

 でも僕はなぜ自分が泣いているのか、その理由がわからなかった。

 それは消えてしまった夢のせいなのだろうか?

 僕は夢を覚えることができないタイプの人間だったので、目覚めた僕の頭の中には眠っているときに見ていた夢の記憶は、心のどこを探しても、これっぽっちも残ってはいなかった。

 でも夢を見ていたということだけは確信が持てるのだ。

 消えていく夢の残像だけが僕の頭の中に残っているという感じ。目を閉じると、まぶたの裏に青白いイメージが残像のように焼き付いている。それは僕がなにかの夢を見たという確かな痕跡だった。

 でもそれらはすべて消えてしまった。残っているのは、僕一人だけだった。

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