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8 狩り



 あと、5階層。


「なぁ、リュウコ。」

「なぁに?って、聞くまでもないけど、一応聞くねぇ?」

「人類、滅んだよね?」

 もう、そうとしか考えられない。ダンジョンを探索して一度も人間と遭遇しないなんてありえないと俺は思う。

 俺だって、ゲームの10や20はやったことがあるのだ。他にもプレイヤーがいるようなMMORPGをやっていた時も、何人か他のプレイヤーを見たことがある。ダンジョンは冒険者の資金源にもなっているだろうし、そんな場所に人間が集まらないことはないだろう。


 それなのに、一度も人間と遭遇していないというのは、そういうことだ。


「だぁーかぁーらぁー・・・人間は、滅亡することが運命だとしても、それを捻じ曲げてでも滅亡なんてしない・・・そうゆう生き物なんだってぇ。」

「だけど、おかしいだろ!立ち入りが禁止されているダンジョンでもないだろうし、なんで人間が人っ子一人見当たらないんだ!」

「確かに、この階層まで上がって、なぜ人間一人とも会わないのでしょう?私も不思議に思います。」

 どうやらウサミにとっても、この状況は異常だと思えることらしい。


「確かに、ウチだっておかしいと思うよぉ?もしかしたら、何か地上であったのかもねぇ?」

「・・・地上でか。」

 地上で何かがあったとしたら、ダンジョンどころではないかもしれない。


「・・・」

「マモマモ、まだ疑っているのぉ?」

「いや。ちょっと気になることがあって・・・まぁ、別にいいや。」

「ならいいけどぉ・・・」

 もしも地上に何かあったとしたら、もしかしてそれを解決するために呼ばれた勇者がいるのかもしれない。それが俺かもしれない・・・


 今まで考えていなかった、なんで俺がテイムという力を与えられて、この世界に転移させられたのか?

 その理由は、地上に行けばわかるかもしれない・・・


「なーんてね。」

「?」


「あと、5階層ですね・・・地上まで。」

「だな。」

「守様は、地上で人を探す旅に出るのですよね?」

「うん。特に決まった目的とかないから、とりあえずたまちゃんを探す。それと、面白い魔法やなんかがあれば、それも探そうと思っているんだ。」

「そう、ですか・・・なら、私達とはここでいったんお別れですね。」

「・・・え、なんで?」

 唐突の別れ話に驚いた。てっきりテイムした3人はどこまでも付いてきてくれると思ったからだ。だけど、それぞれ生活もあるだろうし無理強いはできない。


 ゲームじゃないんだ・・・いくらテイムしたからといって、3人を縛るわけにはいかない。


「なんでって、マモマモは人探しをするんだよね?だったら、魔物を連れて歩くなんてできないよぉ?人探しは、人がいるところじゃないとできないんだから。」

「あー・・・確かにそうだった・・・」

「でも、心配ですね。こんなにか弱い守様が1人で・・・生き残れるでしょうか?」

「無理でしょ。」

「ワシャワシャ!」

「俺も無理だと思うけど・・・そこはもうちょっとオブラートに包んで!」

「おぶらーと?」

「魔物にわかるわけがないか!いや、そもそもこの世界にあるのか!まぁ、もうちょっと言葉を選んでって話。」

 確かに俺は弱いが、弱くて守られているしかないという事実は、俺を傷つける。俺だって、好きで弱いわけじゃないし、人間だから魔物を超える力を持てないのは仕方がないと思う。




 こうして、エンシェント地下5階層。ここから、俺の特訓が始まった。

 とりあえず、一人で冒険できる程度の実力は身に着けておきたい。俺は、リュウコの爪をもらって、ウサミに剣に加工してもらって俺専用の剣を手に入れた。


イノシシのような魔物。

突進され、固まった俺をリュウコが助けてくれた。


エンシェントウリボというらしいその魔物は、人間が普通に狩れる魔物だというが・・・絶対初心者向けじゃないだろ!と声を大にして叫びたい。

突進のスピードは速かったし、たぶんぶつかれば交通事故レベルの怪我を負う。


諦めて、ムカナの餌にした。


小さなネズミの魔物。

これならやれると思ったが、全く捕まえることができず翻弄されるばかりで、しかも足を噛まれた。ウサミが瞬殺。


まぁ、剣の素振りに役だったな、うん。




「なぁ、もっと適度に大きくて、動きが遅い奴はいないのか?」

「ウリボはいい大きさだったよね?マモマモの腰あたりの高さで、マモマモより少し小柄くらいだったしぃ?」

「いや、あれの半分くらいがいい。ちょっとあの大きさはビビる。ネズミは、小さすぎて剣を当てるのが難しいし・・・まぁ、あれで止まっていてくれたら、別にいいけど。」

「あ、いいこと思いつきました!私が殺してくるので、その死体を斬りつければいいと思います!」

「ドン引きだよ!お前、凶悪な顔をしているだけあって、いい性格しているな・・・」

「きょ、凶悪!?ひどい・・・私は守様のためを思って。私だって、食べないなら殺しませんけど・・・食べないのに殺す人間に言われたくありません・・・」

「いや、俺は殺さないから!」

「・・・そうですね、今はまだ殺していませんね。でも、これから殺すのでしょう?」

「それは・・・」

「はーい、マモマモ、ウサミ、話は終わり。マモマモ、ウサミだってマモマモのためを思っているんだから、凶悪とか顔のことを言っちゃだめだよぉ?ウサミも、魔物だって子供に狩りを教えるときは、普段食べないような小物を襲ったりするよねぇ?それと同じだからぁ、ケンカしないの。」

 つまり、俺は子供らしい。




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